ニコラ・テスラ〜なぜ不当な扱い(11)(’18/2)

〜隠された発見とTeslaの実験研究課程の詳細E(まとめと私の不明点)〜

繰り返しになりますけど、Nikola Teslaに関して海外サイトを当たっていた時、Tesla's Radiant EnergyRadiant Energy:
Unraveling Tesla’s Greatest Secret
Radiant Electricityなどのサイト記事を目にし、また、Teslaの1892年の講演の予稿集
"EXPERIMENTS WITH ALTERNATE CURRENTS F HIGH POTENTIAL AND HIGH FREQUENCY"のフルコ
ピー(ここにあり)を見つけて読み、驚きの中で、自分へのまとめと、とにかく紹介しておこうという気になり、まず、ニコラ・テス
ラ〜なぜ不当な扱い?(4)Radiant Energy
そしてしばらくしてニコラ・テスラ〜なぜ不当な扱い?(5)というarticleをしたためた
のでしたが、実は、私は、それらの断片的記事だけでは不満足でした。それで、今回、それらのサイト記事の中で示されて
いた種本たるGerry Vassilatos著"The Secret of Cold War Technology"という本のpdfが海外サイトにあるのを見つけ
ていて、先にDLだけしてあったのを読み気になりました。Nikola Tesla関連はこの本の"Chapter1: Nikola Tesla and
Radiant Energy
"というところにあり、ここまで、ほぼその本の内容に従ってニコラ・テスラ〜なぜ不当な扱い?(6)〜隠さ
れた発見とTeslaの実験研究課程の詳細@
ニコラ・テスラ〜なぜ不当な扱い?(10)〜隠された発見とTeslaの実験研究課
程の詳細D
という記事をしたためてきましたが、詳細な引用記事が多く、やや散漫的になっていた感がしますので、今一度、
それらのarticleで示したこのTeslaの実験研究における驚くべき観測結果と彼の想定したこと(hypothesis)のポイントをまと
めておくとともに、実は当初誤解していた点やまだ私の中で不明点が残っているので、それらについて書いておこうと思い
ます。

ポイントをまとめますと、

 a)1889年〜1892年になされた実験研究結果であり、対外的には、1892年12月クリスマス前に出版された論文
  "ON THE DISSIPATION OF THE ELECTRICAL ENERGY OF THE HERTZ RESONATOR"
  や、同年先にTeslaによってなされた講演の予稿集"EXPERIMENTS WITH ALTERNATE CURRENTS
  OF HIGH POTENTIAL AND HIGH FREQUENCY
"などで発表していたものの、当時の科学界からは理
  解されず誤解さえされてしまって、当時の実験家は再現できなかった。
  (現在、「テスラコイル」と称せられているものは、Teslaが発明した"Tesla Transfomer"とは全く原理的に異な
  り、彼の装置を「AC装置」と誤解したSir Oliver Lodgeが構築したものである)

 b)この実験研究の端緒は、1887年にHertzが発表した「電磁波発見」について、1889年に慎重に論文に忠実
  な再現実験を試みたとき、再現せず、要因を考察、その結果、TeslaはHertzは静電誘導などの現象を見誤っ
  たと結論(Hertzに面会してデモンストレーションを行い、一旦はHertzは了解し論文撤回を考えたそうですが、
  結局、諸般の事情からそのままとなり現在でもこの1887年の発表が伝えられている)、そこで「真の電磁波」
  を見出すべく行った「コンデンサバンクによる急放電」実験を行ったところ、驚くべき現象(薄肉電線の爆発蒸
  発、電気絶縁防御をしていても同様であった、痛みを伴う衝撃波を感じた)を観測したことにある。
  尚、これはTeslaにかつて電気の送配電がDCだったころ問題化した高電圧DC発電機における「DC異常
  (Teslaはこれを、電線抵抗が障壁になり、DC発電機と電線を接続した途端の極短時間、電荷が電線側にス
  ムーズにながれず、電線内に過剰電荷["supercharge"]が発生し、発電機能力をはるかに超える異常高電
  圧となり絶縁破壊が起きて、時にはオペレータや付近にいた電気技師の体を貫通して死に至らせた大地と
  の間に放電が起きたと結論づけていた)を連想させ、その後の"Tesla Transformer"の発明に繋がった。

 c)Teslaの発明した"Tesla Transformer"は、低周波AC発電機または高電圧DC発電機から「電荷」
  が供給され、基本的には、「コンデンサと"magnetic arc disruptor"からなる装置」であり、等周
  期の(最終的には100ns未満の)極短時間の「完全な一方向インパルス流」が高サイクルで流れる
  ものでるあった。

 d)Tesla transformerの二次側コイルには、その方向に長さに比例する(Teslaは結局は「抵抗に比例する」とし
  ています)異常高電圧が発生しているにも係らず、「電流はゼロ」であったこと、そしてこの二次回路の
  開放端のギャップ間の放電が通常の電気放電とは異なり「白色(銀白色)であったことなどから、これ
  は導体内を通る電荷の流れによるものではなく、「導体の外を、その表面に沿って流れるガス流」に
  よるものと結論づけた。実際、Tesla Transformerの二次誘導は、巻数比とは無関係であり、通常の電磁誘
  導とは異なる現象であった。

  そして、その現象は空気とは関係がなかったため、その「ガス流」を、過去から決定的な実証証拠が見出さ
  れてこなかったものの(少なくとも19世紀までの)科学界では広く信じられてきた宇宙空間を占めている媒質
  =「エーテル(æther)」ガス流と考えた。すなわち、ここに至ってTeslaは彼が発明したtransformer
  は電気装置ではなく、(過去、誰も構築できなかった)「エーテルガス流」発生装置であると結論付けたので
  ある。

 e)magnetic arc disruptor部で、電荷の放散による紫白色の放電があり、arc disruptorの空隙を挟んだ両極
  間のアークが「白色(銀白色)」であったことから、Teslaは、発電機から供給されるエネルギー流は「電荷の
  流れ=電流」と「エーテル流」とからなり、通常は、「エーテル流」は「電荷の流れ=電流」による現象の陰
  に隠れてしまっているが、このmagnetic arc disruptorにより、その流れから電荷による分全てが空間に放
  出されることにより純化されてその姿を現して来て前述のような現象が発生したとTeslaは結論付けた。

 f)Teslaは、この空間に放出された「ガス流」は、抵抗無しでどの金属と有機体物質も貫くことを発見し、特に
  導体で通常の電子と比較したとき、「エーテル粒子」は、事実上質量がなく、非常に動的で、ほとんど苦も
  無く物体をすり抜けることを発見、最終的に、「エーテル粒子」は無限小で、電子自体より大変小さいもの
  と考え、このTesla transformerから放出された「衝撃波(shock wave)」を"Radiant Energy"である
  と結論付けたのである。

 g)前述のように、「一方向インパルス流」による「衝撃波」ゆえに、Teslaはこれを時間的でなく空間的なpoint
  -to-pintの「縦波(londitudinal wave)」と考えた(これはMaxwellが検討した結果、作り出すのは
  事実上不可能だろうとして排除したものであり、縦波−粗密波−ゆえ「電気音波」という言い方もしている)。


ということです。

@Dは、ほぼ本の小見出し順に引用記述しましたので、途中で、"Radiant Electricity"という用語も出てきていますけど、
Teslaは、最終的に、このTeslaが発明した装置から放射されるものは、"Electricity"ではなく「エーテルエネルギー流」であ
ると結論づけたのでした。それは通常の電気放電には十分通じていたTeslaにとって、それとはまるで様相を異にする(かつ
て直接誰一人観測したことがなかったそして過去の電気理論では解明できない・従来理論では導き出せない)驚くべき現象

であったゆえです。尚、なぜ「テスラ波」と称せられるものが、「縦波(londitudinal wave)」とされているかについては、この実
験研究の結果を知らないとわからないことだと思います(私はやっとそれを理解しました。ちなみに以前、私はこれらについ
て不案内のまま、テスラ波を"londitudinal electric wave"とし"electromagnetic wave"ではないと書いたことがありますが、
確かに、「電磁波(electromagnetic wave)」ではありませんけど、Teslaの結論は「電気波(electric wave)」でもありませんでし
た。訂正とお詫びをしておきますm(__)m

いずれにしろ、この1889〜1892年のNikola Teslaのその後の生涯の研究の元になった"Tesla Transformer"の発明と驚くべ
き数々の発見そしてそこから彼が導き出した結論に詳しく言及しているサイトは海外でも意外に少なく、Teslaに関する記事
は、Teslaによる公的資料・発言などを元にしているものが大半のため、それらにはない内容に注目して記事にしてきました。
どうやら、これもサイト記事で目にしたのですが、そもそもこのGerry Vassilatos氏の本自体、そのタイトルから知れるよううに
やはり、suppressionを受けたようで、「知る人ぞ知る」ものらしく、ましてや、Nikola Tesla関連は第一章だけであり、熱心な
"Teslian Technology"研究家を除いて知らない方々も多いのではないかと思われます。

それにしても、なぜ、Gerry Vassilatos氏が、「"Polyphase(AC)"とともにNikila Teslaの二大発明発見である」と書いている
この"Radiant Energy"に関する研究課程における詳細については未だに一部の方々にしか知られていないのでしょうか?

以上のTeslaの数々の発見と彼の見出した理論("hypothesis"ですが)は、当時も今も、アカデミズム物理学常識に反するも
のばかりですから頭から全否定される方々も多いと思います。しかも多くの人は、現代文明を担う大発明"polyphase(AC)"
が、Nikola Teslaによるものであることさえもご存じなく−当然ながら、Nikola Teslaが大学卒業後、エジソンの設立した電気
会社(現・GEの前身)の欧州事務所で働いていた時、エジソンに憧れ、エジソンからの招きもあって故郷クロアチアからアメ
リカに移民してエジソンの会社で電気技師として働いていたものの、その後、感情的もつれもあってエジソンとは袂を分か
ち、この発明で一躍有名人となり(ノーベル賞受賞対象になったそうですけど、仇敵エジソンとの同時受賞という話から辞退
したようです)、新興のウェスティングハウス社の創立者ウエスティングとの友好関係で特許を売って莫大な研究費を稼ぎ、
それを元に実験助手も使って実験研究を続けていた在野の科学者・電気工学者であったこともご存じないと思いますが−
悪意で流されてきた伝聞から、彼を「とんでもさん」"mad scientist"と思い込まれている方も内外に多々おられる(ネット検
索してみればよくわかります)くらいですから。偉大な"Polyphase(AC)"の発明者であったからこそ、SI単位系にテスラの名
がつけられ(磁束密度の単位)、またアメリカ電気学会IEEEに「テスラ賞」なるものが設定されていることくらいは是非、知っ
ておいていただきたいものです。Nikola Teslaは決して夢想家などではなく、全て実験観測から見出したものであるというこ
とにも是非心を配っていただきたいと思います。

この実験研究結果は、当時の科学界からは理解されず誤解さえされてしまって無視されてしまったのですが、しかしながら、
驚くなかれ、Nikola Teslaはなんと"Radiant Energy"と明記した特許を取得しています。例えば、

 No.685957"APPARATUS FOR THE UTILIZATION OF RADIANT ENERGY"

というのがあります(海外サイト上にそのコピーのpdfがありました。アドレスは省略しますm(__)m)。
その中に図が五個示されていますが、どうやらRadiant Energyの「受信側装置」の特許のようです(海外サイトを当たるとこ
の図を引用しての"Radiant Energy"に関するサイト記事がいくつもヒットしますが、そういう位置づけで述べられていますの
で私の判断は間違ってはいないと思いますが)。Teslaが1897〜1899年のColorad州のColorad Springsという所に設けた研
究所時代につけていた元々私的の非公開日誌(現在はクロアチアにあるテスラ博物館に保管されています)である
"Colorad Springs Journal"の全引用サイト記事(Colorad Springs Notes)の前書き解説にもこの中の図が引用されてい
ます。特許は申請だけはできますけど、アイデアだけでは公式認証されません。前にも触れましたが、Teslaは小型の装置
を持ち込んでデモを行って特許庁を納得させたゆえに特許取得の運びになったそうです。で、恐らくこの特許があったゆえ
だと思いますが、当時Marconiの会社がラジオ無線技術を独占していたのに対抗しようとMorgan財閥が強引にTeslaに接触
し、財政支援を行いましたけど、結局Nikola Teslaの研究の究極の意図を知って財政援助から手を引いてしまいました(要
するに「儲かりませんから」むしろ邪魔な研究だと判断したのでした)。
Gerry Vassilatos氏は、

 No doubt, those whose fortunes relied on fuel and powerlines did not appreciate
 these candid talks.

  (疑いもなく、その将来を燃料と電力線に頼る人々は、これらの率直な語りの真価を認めなかった)

と批判的に言及しています。結局、Nikola Teslaのこの実験研究とそれを発展させた生涯の研究は、

 Indeed, it was through the development and application of this new physical agency,
 his greatest discovery, that Tesla encountered unexpected and devastating hostility
 throughout both the academic and the financial worlds.

  (実際、それは、この新しい物理作用の発見と適用を通して、テスラがアカデミー界と財界の至る
  所で期待されず破壊的な敵意に出会った、彼の最大の発見であった。
)

とGerry Vassilatos氏は語っています。「アカデミー界からの敵意」というのは、ひょっとすると、例えば、前述の論文予稿集
の中に記載されている

 Usually in operating an induction foil we have set up a vibration of moderate
 frequency in the primary, either by means of an interrupter or break, or by the use
 of an alternator. Earlier English investigators, to mention only Spottiswoode and
 J. E. H. Gordon, have used a rapid break in connection with the coil. Our knowledge
 and experience of to-day enables us to see clearly why these coils under the
 conditions of the tests did not disclose any remarkable phenomena, and why able
 experimenters failed to perceive many of the curious effects which have since been
 observed.

  (通常、誘導破片の操作に置いて、我々は一次側では、断続器あるいは遮断器によって、又は
  オルタネータの利用によって、適度の周波数の振動を用意してきた。初期のイギリスの研究者、
  SpottiswoodeとJ. E. H. Gordonのみに言及している[が]、はコイルと接続された急激な遮断を
  用いていた。今日の我々の知識と経験は、我々をして、その試験条件下におけるこれらのコイル
  はどんな特徴的な現象を表さなかった理由、有能な実験家が観測されたものから多くの興味深
  い結果を受け取るのに失敗したかの理由をはっきり見ることを可能にしている。
)(※1)

という言い方も「かちっ」とさせたかもしれません。当時の高電圧高周波での研究者に対して当てつけみたいに捉えられそ
うな物言いですから。ましてや、当時実験家は誰も再現できず、再掲しておきますと、Vassilatos氏は

 Indeed, those who undertake the reproduction of Teslian transformers know the
 disappointment and subsequent disinterest which has followed so many others
 before. Few are honest enough to admit the possibility that their own failed
 experimental reproductions are entirely due to their own misunderstanding.

  (実際、テスラトランスの再現を請け負う人は、以前に大変多くの人がそうであった失望と続く無
  関心[になる]ことを知っている。ほとんどの人が、彼ら自身の失敗した実験が、完全に彼ら自身
  の誤解によるものである可能性を受けいられるには十分正直ではなかった。
)

と書いています。しかしながら、なぜ当時の科学者は理解できず、誤解までされてしまったのでしょうか?
Vassilatos氏はそこには直接言及せず、

 Tesla was a classical lover of conundrums and enigmas, and knew how to use them
 to encrypt his meanings. When Tesla spoke, everyone listened intently. But few
 persons understood his meaning. To know Teslian Technology, one mustbe willing
 to suspend conventional knowledge, listening only to the descriptions and cunning
 understatements by which Tesla craftily concealed his priority discoveries.
 Confusion over a surprising few distinctions has proved to be the only stumbling
 block keeping professional engineering communities from achieving the Tesla
 agenda.

  (テスラは、難問と不可思議の古典的愛好者であり、いかにしてそれらを彼の意味するところの
  暗号化に用いるかを知っていた。テスラが話すとき、誰もが熱心に聞いた。しかしながら、ほとん
  どの人が彼の意味するところを理解しなかった。テスラ技術を知るため、人は慣習的な知識を進
  んで一旦中断し、ただ、その詳述と、テスラがそれによって彼の先駆的発見をずるがしく隠した
  抜けめのない控えめな表現を聴かなければならない。驚くべき少しの記述を覆っている混乱が、
  プロフェッショナルの工学界をテスラの課題の達成から躓かせ続けている唯一の障害物である
  ことが証明されてきた。
)(※2)

とだけ書いています。Vassilatos氏はどこから、「テスラは、難問と不可思議の古典的愛好者であり、いかにしてそれらを彼
の意味するところの暗号化に用いるかを知っていた。
」というのを知ったのでしょうか?私は見つけられませんでした。しか
しながら、確かに、なぜかTeslaはストレートに事細かな説明をしていなかった節は十分伺えます。それは(※1)が書かれて
いる1892年の講演の予稿集のタイトルが"EXPERIMENTS WITH ALTERNATE CURRENTS OF HIGH POTENTIAL
AND HIGH FREQUENCY
"であり、"ALTERNATE CURRENTS"とあること、そして中身においても、

 Of the various branches of electrical investigation, perhaps the most interesting
 and immediately the most promising is that dealing with alternating currents.

  (電気的発見についての種々の部門の内、恐らく最も興味深く、直接的に最も有望なものは交流
  電流を扱う事である
)

とか、

 Is there, I ask, can there be, a more interesting study than that of alternating
 currents?

  (尋ねる、交流電流研究よりずっと興味深い研究があるか、ある可能性があるか?)

と書かれていますし、

 In the experiments such as performed this evening, we operate the coil either from
 a specially constructed alternator capable of giving many thousands of reversals of
 current per second, or, by disruptively discharging a condenser through the primary,
 we set up a vibration in the secondary circuit of a frequency of many hundred
 thousand or millions per second, if we so desire; and in using either of these means
 we enter a field as yet unexplored.

  (今夕なされたような実験において、我々はそのコイルを何千もの毎秒あたりの電流反転を与える
  ことが可能な特別に構成されたオルタネータか、一次側を通しての急速なコンデンサ放電による
  かのいずれかで働かせ、もし望むなら毎秒あたり何十万サイクルの周波数の二次回路での振動
  を作り出している;そして、これらのいずれかを使って、我々はまだ発見されていない場を導入す
  る。
)

という文節もあります。「急速なコンデンサ放電」についても、

 Here is a coil which is operated by currents vibrating with extreme rapidity, obtained
 by disruptively discharging a Leyden jar.

  (ここに、Leyden jarの急放電により与えられる急激な電流振動により動作しているひとつのコイル
  がある。
)

などと書かれていて、これらからは到底、これまで引用紹介してきたようなことは少なくとも凡人の私には推察できませんで
したがいかがでしょうか?結局、理解されなかったのはNikola Teslaの説明の仕方にも起因するのではなかったかと思いま
す。ま、彼が見出した発見はあまりにも当時の(現在もですが)電気理論とはかけ離れていたために、Tesla自身がそういう
既存概念に近いものと考察した説明が逆に余計に誤解された元になったのかもしれません。例えばこのVassilatos氏の本
の文章の中に、

 Here was an action more nearly “electrostatic” in nature, although he knew that
 academes would not comprehend this term when used in this situation.

  (ここには、彼はアカデミーがこの状態で用いるとき、この用語を理解していないだろうということを
  知っていたけれども、自然の中のずっと「静電気」に近い作用があった。
)

というのもあります。前述の(※2)で引用したように、Vassilatos氏は「人は慣習的な知識を進んで一旦中断し」と書いていま
すけど、よく色々と知っている科学者程、プライドもあって、自己知識で解釈判断してしまいやすいのではないかと思います。
そして、たとえ「頭をからっぽにして」聞こうとしても、それにしては公的にはあまりにも少ない情報しか出していなかった
ゆえに理解できないかった人が大半だったのは必然的だったのかもしれません。

そして、当時はそうであったとしても、その後もなぜか今に至るまで、アカデミア科学界では振り返ろうとする科学者はほと
んどおらず無視され続けてきたのは、彼の晩年の発言から異端者扱いされてしまったこともあるとは思いますけど、多分に
「エーテル(æther)」が語られているゆえではないかと思われます。実際、Maxwellもそのオリジナル理論は「エーテル」に基
づいているため、今の電磁気学では決して触れられていません(既に一連のMaxwellに関する記事では、再三、現在「マック
スウェルの方程式」とされている式群はMaxwellのオリジナルのものではなく、Heavisaideによって書き換えられたものであ
ることを示してきました)。実は熱力学の第二法則でも、構築したClausiusが出した1865年教科書ではエーテルに触れられ
ていますけど、現在、そんな話は一切触れられていません。現代の物理界は19世紀までに確立した理論を語っていますけ
ど、巧妙に、「エーテル」への言及を避けてきているわけです。

それは、既に言及しましたが、勿論、1905年にEinsteinがSRTを発表するとともに、「エーテルは不要」と述べたことに端が
あり、1887年になされたMM実験の誤解と相まって、SRTに魅せられた理論学者がそれまでのエーテル研究を放棄し、次
第に物理学界において、「エーテル」は存在しないとして用語自体がタブー扱いになってしまったことによります。
確かに、当時まで、アカデミア物理学界で認められた存在の実証証明がなされていなかったということもありますが、実際
には「存在しない」という確実な実証証拠などなかったわけで、単に「好き嫌い」だけで排除されてしまったと云えます。
実際には、当時実験科学者の多くは未だ「エーテル」の存在を信じていましたし(それゆえ、SRTに反対した)アカデミア科学
界が認定せず無視されて隠されてきただけで、前述のようにNikola Teslaは初めてそれを具現化したと主張していたのでし
た。そういう背景があったらばこそ、何回か引用してきたように、Nikola TeslaはEinsteinの相対性理論がエーテルを否定して
空間をemptyと考えながら、「空間の曲がり」を論じていることに対して反対し、

 On a body as large as the sun, it would be impossible to a disturbance of this kind
  [e.g., radio broadcasts] to any considerable distance except along the surface. It
 might be inferred that I am alluding to the curvature of space supposed to exist
 according to the teachings of relativity, but nothing could be further from my mind.
 I hold that space cannot be curved, for the simple reason that it can have no
 properties. It might as well be said that God has properties. He has not, but only
 attributes and these are of our own making. Of properties we can sonly peak when
 dealing with matter filling the space. To say that in the presence of large bodies
 space becomes curved, is equivalent to stating that something can act upon nothing.
 I for one, refuse to subscribe to such a view.

 (太陽のような大きさの物体において、その表面に沿う以外の任意の考えうる距離に対してこの種
 の外乱を予測することは不可能である。私は、相対性理論の教えによって存在すると仮定している
 空間の曲がりに対して言及しており、私の心の中にはそれ以上のものはないことが推測されるであ
 ろう。私は、それは特性を持つことができないという簡単な理由で空間は曲がることはできない[とい
 う意見を]持っている。それは、神が特性を有していると言うのと同じである。彼は持ってはいなくて、
 ただ、帰しているだけであり、そして、これらは我々自身が作ったものである。特性については、我々
 は空間を充満する物質を扱時、いう事ができるのみである。大きな物体の存在で空間が曲がるとい
 う事は、何かがなにもないものに作用できることを始まりとするのに等しい
 私個人としては、このような見解に対して署名することは拒否する。
)

と述べたのでしょう。尚、頑なに「エーテルは否定されたもの」と信じ込んでいる方たちへのメッセージとして、前に、エーテ
ルに関する興味深いアカデミア物理学者の記事紹介
というarticleをしたためています。「何かがなにもないものに作用でき
る」という考え方、すなわち「空間はempty」と言う考え方には満足していない物理学者がアカデミア物理学界の中に出てき
ていること、新たな考え方で「エーテル」と言う名の下でその存在を論じている当のアカデミア物理学者で量子力学の女性
専門家の教授が書いている記事の引用です。海外サイトを当たりだしたころ、海外では「エーテル」を普通に語る方々がい
て驚いたのでしたけど、この物理学者が自ら書かれた記事から、それは、「とんでもさん」の素人だけのものではないことを
是非認識していただきたいと思います。「エーテルはSRTで否定されています(キッパリ)」などと言われる方は、単に習い覚
えたことを真実であるかのように信じているだけで、私がこのコーナーで綴ってきている真の科学史や海外の情勢に無知
であるにすぎないことを是非自覚していただきたいものです。これも書いたのですが、「エーテル」が何かタブー扱いされて
しまっているため、前述のようにFaradayが実験観測で発見した電磁気現象の数々を理論解明したMaxwellのオリジナル理
論には言及できないため、電磁気学の教科書では例えば「マックスウエルの応力」などで歯切れの悪い言い方がされたり
していることに注目していただきたいものです。

本当に素直に素朴に自分に正直になって考えるなら、「何かがなにもないものに作用できる」とか「なにもないemptyの空間
が性質を持つ」などということがいかにおかしなことかわかるはずですが、多分に「多くの科学者が『真空はemptyであり、昔
考えられていたエーテルなど存在しないのだ』という」からそう信じているだけではないでしょうか?しかしながら、考えてい
ただきたいのですけど、誰一人、「ではどうして、『emptyな空間が性質を持つ』のか?」について説明をしていません。単に
「SRTが否定しているから」と言うだけで、1905年のEinsteinの発言の亡霊に引きずられているにすぎないのです(これしか
エーテルが否定された根拠がないことは、前述の女性量子力学物理学者の記事でも示されていましたので私の独断では
ありません)。再三書いてきましたが、不都合ゆえに隠されてきましたけど、当のEinstein自身が1920年に公式の場でエーテ
ルの実在性を認めているにも係らずです。そして、あまりにもせこいのですが、エーテルを否定しながら、ご都合主義的に
main streamのビッグバン宇宙論ではダークマターなどという概念をいかにも事実みたいに語っているのです。けしからんこ
とに正統派はこの批判指摘には皆、だんまり状態ですよね。素直に素朴に考えるならいかにおかしいかわかるはずです。

いずれにしろ、1973年頃、Edwin Gray氏というフリーエネルギー研究家?の人が100%効率モータを作ったと発表し、Tesla
技術に言及したそうで、また、この本で著者のVassilatos氏が言及しているように、1985年にアメリカの電気技師のEric
Dollard氏が、テスラのなした実験観測を全て再現したとVTRで紹介したことから、Nikola Teslaのこの実験研究に注目する
テスラ研究家の人々が現れたこともあり、忘れられた存在になっていたNikola Teslaの見直しが一般社会で特にアメリカの
一般社会で行われてきていて、前にも述べたように"Tesla Society"という組織が、アメリカ・スイス・母国クロアチアにできて
それぞれ独立に活動をしているようです(母国クロアチアではこれとは関係なく、英雄扱いであり、公共団体が維持運営して
いるテスラ博物館があるくらいです)。

どうやら、2009年に相対性理論に疑念を抱いて以来、内外のサイトを当たってきた結果として、実践的な工学者・Engineer
の方々の方が、従来科学のタブーなどにとらわれず、「自己知識の全能化」(日本人の気質:自己知識の全能化からの無断
引用していますm(__)m)に陥らないことが多いことがわかりました。Nikola Tesla自体元々電気技師ですし、前述のDollard
氏しかりです。また、ここで引用紹介したProfessor Omar A.H. Shabsigh, Ph.Dと言う方も属性はElectrical Engineerと書かれ
ていますし、ここで引用紹介したEM driveの発明者は航空機関係のエンジニアだそうです。私が本コーナーでその方のウエ
ブ論文(sicence essay)に引用されているものを孫引用させてもらってきた「反相対論」で論陣を張られているイギリスの方も、
物理フォーラムにあったやりとりの中でElecrical Engineerであると言明され、「私の周りの知る限りのElecrical Engineerは皆
相対性理論批判者である」ようなことを述べられていました。私がTesla Societyなる組織の存在を知ったここで引用したウェ
ブ上にあった"longitudinal wave"の実験検証のパワーポイント報告(スイスのTesla Societyで発表したものだそうです)の著
者(イタリアのRoberto Handwerkerと言う方)も電気工学系の博士号を有するElectrical Engineerと明記されていました。

尚、私は以前は誤解していたのですが、前述の1889〜1892年の実験研究はこのColorad Springs時代のものではなく、元々
のNew Yorkの彼の研究室でなされたものです。Colorad Springs時代は後の、1897〜1899年のことであり、応用を指向して
いた時代の話です。また、前述のようにMorgan財閥が資金援助から手を引いてしまい、頓挫し手放さざるを得なくなって第
一次世界大戦中に取り壊されてしまったWardenclyffe Towerは、その応用研究(「ワイヤレス電力伝送」)の大規模実用化実
験設備でした。New Yorkに戻ってからの20世紀最初の頃のものです。
そして、その基のNikola Teslaが見出した"Radiant Energy"は、Marcorniらの高電圧高周波AC無線技術とは完全に一線を
画す画期的なもの(電磁界理論には基づかないもの)だった!
のでした。


ところで、これまで分かった風に書いてきましたが、実は恥ずかしながら誤解していた点に気が付き、また、自分自身の解
釈の妥当性に自信がない箇所もあります。浅学菲才の身であることと、弁解ですが、とにかく図がないこともあるからです。
「誤解していた」というのは、上記b)で述べた最初の発見の時の「「コンデンサバンクによる急放電実験」のことです。私は先
に既にDで引用していたように「DC異常」の話を知っていたためこの実験が既にそれを考慮したものと誤解してしまいまし
た。

  In his own attempts to achieve where he felt Hertz had failed, Tesla developed a
  powerful method by which he hoped to generate and detect real electromagnetic
  waves. Parts of this apparatus required the implementation of a very powerful
  capacitor bank. This capacitor “battery” was charged to very high voltages, and
  subsequently discharged through short copper bus-bars. The explosive bursts
  thus obtained produced several coincident phenomena which deeply impressed
  Tesla, far exceeding the power of any electrical display he had ever seen.

 (彼が、ヘルツが失敗したと感じたところを成就する彼自身の試みにおいて、テスラは、それに
 よって、真の電磁波を生成し発見したいと望んだ有力な方法を開発した。この装置の部分は、
 非常にパワフルなコンデンサバンクの実装を必要とした。このコンデンサ「蓄電器」は、非常
 に高電圧に蓄電され、短い銅ブスウバーを通して連続放電をした。このようにして得られた爆
 発的破裂は、彼がかつて見てきたいくつもの電気的表示のパワーを超えていることでテスラを
 深く印象付けた種々の同時に起きる現象を生じた。
)

という文章も私を戸惑わせていたもののまだ誤解をさせていました。しかるに、その後の方で、

 The explosive effects reminded him of similar occurrences observed with high
 voltage DC generators.

 (爆発現象は彼に、高電圧DC発電機で観測された同様の出来事を思い出させた。)

とあって、私自身の思い違いに気が付きましたが、ではこのb)に述べられた最初に驚くべき現象を発見した装置はどういう
ものなのか?Hertzの電磁波実験装置の発信側装置と何が異なるのか?がいまいち理解できていません。特に「急放電」
という所です。ま、私は、前述の講演予稿集の中のTesla自身の言葉である「初期のイギリスの研究者、SpottiswoodeとJ.
E. H. Gordonのみに言及している[が]、はコイルと接続された急激な遮断を用いていた。」とありますから、それと高電圧
を印加して多くの電荷をチャージさせた大容量のコンデンサバンクとの組み合わせを行ったのかなと想定してはいますが。
それなら、そういう実験自体、当時誰もやらなかったのでしょうか?Teslaは驚いて色々と調査したようですから、恐らく、そ
れまで誰一人やらなかったということでしょう。そして、もしやっているなら、b)の結果が事実である限り、誰にでも容易に観
測できたはずのことですから。

「自分自身の解釈に自信がない」というのは、Teslaが最終的に作り上げた最高効率の「Radiant Energy発信機」についてで
す。この本にはその図が全くありませんが、"magnetic arc disruptor"に言及しており、前述のTeslaの1892年の講演予稿集
にその"magnetic arc disruptor"が示された図(これまで追記して図4として示してきたもの)があり、私はそれがその模式図
だと判断しましたもう一度再掲しておきます。

 
                 図4 テスラトランス模式図(再掲)

本の説明では、「強力磁石により、"magnetic arc disruptor"の極間のアークが消されるときに、発明の本質的なものである
「(完全な)一方向インパルス流が図のp2に流れる」ということです。で、私は、自動復帰するアークスイッチゆえ、「アークが
消される⇒電荷の流れを復帰さえようとするがこの瞬間の極短時間、コンデンサと電線に過剰電荷(supercharge)が起き、
異常高電位となって、この"magnetic arc disruptor"で急アーク放電が発生する
」と解釈しています。DC異常からの連想で
す。いかがでしょうか?

ただ、この図で、電気を供給する左側の部分は「低周波AC発電機(alternator)+変圧器」となっています。しかしながら、こ
の本では

 A simple high voltage DC generator provided his electric field source.
 (簡単な高電圧DC発電機が彼の電場源を供給した)

」と書かれています。すなわち、図4の「低周波AC発電機(alternator)+変圧器」が「高電圧DC発電機」になっています。
で、私はいくらテスラの発明した装置の1サイクルの一方向インパルス流時間が10〜100nsオーダの極短時間であるとして
も、「高電圧DC発電機」の方がベターな気がするのですが、なぜTeslaは講演予稿集の回路で「低周波AC発電機(alternator)
+変圧器」としたのかよくわかりません。そして、もし、電源として「高電圧DC発電機」が示されていたなら、AC装置という
誤解もされなかったのではないかと思うのですが・・・。

実はもう一つ戸惑っている点があります。それは、この装置を"Tesla Transformer"としていますので、図4の二次側回路の
存在は疑問はないのですが、この本の説明の仕方が私を戸惑わせたのです。それは、

 Tesla made a most startling discovery the same year, when placing a long single-
 turn copper helix near his magnetic disrupter. The coil, some two feet in length,
 did not behave as did solid copper pipes and other objects. The thin-walled coil
 became ensheathed in an envelope of white sparks. Undulating from the crown
 of this coil were very long and fluidic silvery streamers, soft discharges which
 appeared to have been considerably raised in voltage. These effects were greatly
 intensified when the helical coil was placed within the disrupter wire circle. Inside
 this “shockzone”, the helical coil was surrounded in a blast which hugged into
 its surface, and rode up the coil to its open end. It seemed as though the
 shockwave actually pulled away from surrounding space to cling to the coil
 surface, a strange attractive preference. The shockwave flowed over the coil
 at right angles to the windings, an unbelievable effect. The sheer length of
 discharges leaping from the helix crown was incomprehensible. With the disrupter
 discharge jumping 1 inch in its magnetic housing, the white flimmering discharges
 rose from the helix to a measured length of over two feet. This discharge equaled
 the very length of the coil itself. It was an unexpected and unheard transformation.

 (テスラは同年、彼の磁気断続器の近傍に長い1ターンの銅のヘリカルコイルを置いたとき、驚く
 べき発見をした。長さ約2フィートのコイルは、固体銅管や他のもののようには振る舞わなかった。
 薄肉のコイルは、白い火花の外被の鞘の中に覆われた。このコイルの頭頂部からの波動光は、
 非常に長い流動性の銀のストリーマ、かなり電圧が上昇したように見える柔らかい放電であった。
 これらの効果は、ヘリカルコイルがその断続器電線円内に置かれたとき非常に強められた。この
 「衝撃[波]ゾーン」の中側で、ヘリカルコイルは、その表面に抱え込まれ、そのコイルを開放端側
 にまくれ上がらせる爆風内に囲まれていた。それはあたかも、衝撃波が実際に、周りの空間から
 引き離されてそのコイルの表面にくっついている、奇妙な引きつけの好みのように見えた。衝撃
 波は、その巻線と直角に流れる、信じられない効果であった。ヘリカルの頭頂部から飛び出てく
 る全くの放電の長さは不可解であった。その磁気ケースの中で1インチジャンプしている断続器
 放電ととともに、白色のちらつく放電は、そのヘリカルから、2フィート以上の測定長にまで起き上
 がった。この放電は、まさにコイル自身の長さに等しかった。それは予期せぬ聞いたことがない
 変容であった。
)

とあり、更に、

  He began referring to his disrupter line as his special “primary”, and to the helical
  coil placed within the shockzone, as his special “secondary”. But he never intended
  anyone to equate these terms with those referring to magnetoelectric transformers.
  This discovery was indeed completely different from mageto-induction. There was
  a real and measurable reason why he could make this outlandish statement. There
  was an attribute which completely baffled Tesla for a time. Tesla measured a zero
  current condition in these long copper secondary coil. He determined that the
  current which should have appeared was completely absent. Pure voltage was rising
  with each inch of coil surface. Tesla constantly referred to his “electrostatic
  induction laws”, a principle which few comprehended. Tesla called the combined
  disrupter and secondary helix a “Transformer”.

 (彼は、彼の特殊な『一次側』としての彼の断続器ラインと彼の特殊な『二次側』のような衝撃[波]
 ゾーン内におかれたヘリカルコイルを参照し始めた。しかしながら、彼は、決して、何かを、それら
 の電磁気変圧器に言及しているこれらの用語と等しくするつもりはなかった。この発見は実際、
 磁気誘導とは完全に異なっていた。彼がこの奇妙な口述ができた現実の測定可能な理由があった。
 一時、完全にテスラを困惑させた特質があった。テスラはこれらの長い銅の二次コイル内で電流ゼ
 ロ状態を測定した。彼は、現れるべき電流が完全に欠落したと決定した。純粋な電圧は、コイル表
 面の各1イン チごとに上昇した。テスラは、ほとんど誰も理解しなかった原理、彼の『静電誘導法
 則』に絶えず言及した。テスラは、組み合わせた断続器と二次ヘリカルを『変圧器』と称した。
)

と書かれています。私が凡人ゆえなのか、図のないところでこれを読むと、後から二次コイル(ITのヘリカル)を一次回路の
そばにおいて二次回路の電圧と電流を測定してみたら通常の電磁誘導現象とは全く異なる結果になったという風に読めて
しまいます。しかしながら、前述のTeslaの1892年の講演予稿集に記載されたmagnetic arc disruptorで改良する前の図(A
の図2)でも二次コイルはあります。ですから、単に説明の仕方だけかなという気もしていますがいかがでしょうか?
私が気にしているのは、本を読んできた限りにおいて、実質的に"Radiant Energy"を放射しているのは、発電機に繋がれた
コンデンサとmagnetic arc disruptorからなる回路であり、"Tesla Transformer"の二次コイル部は二次高電圧が発生してい
る箇所という位置づけと理解しました。ですから、Teslaが「ワイヤレス電力伝送」に使った発信側というのは最終的にはどう
いう構成なのかということです。上記のヘリカルコイル端からの白色放電が発信に使われているのでしょうか?私がまだ、
十分に理解できていないのはその点です。

 ('18/2)

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