ニコラ・テスラ〜なぜ不当な扱い(7)(’17/12)
〜隠された発見とTeslaの実験研究課程の詳細A〜
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本記事ではインパルス「電流」と書いていますが、後の記事では変更していますのでご留意くださいm(__)m
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既にNikola Teslaの発明した画期的な"Tesla transformer"とそれによって彼が見出した発見に関しては、ニコラ・
テスラ〜なぜ不当な扱い(5)で海外サイト記事とか1892年の講演予稿から引用紹介しましたが、以下、今回この本のこの
章を読んで知りえた更に詳細な驚くべきことについて触れておきたいと思います。
Teslaの"Teslian Thechnology"(この本の中で使われている用語)のkey wordは前項の(※1)(※3)の中に述べら
れている「インパルス技術」と「テスラの電気エネルギーは電波又は荷電粒子よりずっと気体の光学ビームに似ていた」に
現れています。
まず最初に強調しておきたいことは、既に前にも言及しましたが、
現在、『テスラコイル(Tesla's Coil)』と称せられているものは、NIkola Teslaが発明した
"Tesla Transformer"とは全く異なるものである!!
ということです。現在、『テスラコイル』と称せられているものは、Sir Oliver Lodgeにより完成された装置の直接的結果だそう
です。何が異なるのか・・・現在、『テスラコイル』と称せられているものは、電磁気学応用のAC(交流)電気装置であり、一方、
"Tesla Transformer"は原理的にまるで異なり、「AC電気装置」ではないということです。これが「数学的にがっ
ちりしているモデルの盲目的威光に従ってきて、単に、他の現実が存在できるあるいは存在することに気づくことを阻止され
ている」(〜前項の※2内での指摘)科学界から誤解され続けてきた一つの最大の問題だったのでした。
それと、私自身がぼんやりと感じていたことなのですが、この本の中で次のようなことが書かれていました。
Tesla was a classical lover of conundrums and enigmas, and knew how to use them to encrypt
his meanings. When Tesla spoke, everyone listened intently. But few persons understood his
meaning. To know Teslian Technology, one must be willing to suspend conventional knowledge,
listening only to the descriptions and cunning understatements by which Tesla craftily
concealed his priority discoveries. Confusion over a surprising few distinctions has proved to
be the only stumbling block keeping professional engineering communities from achieving the
Tesla agenda.
(テスラは、難問と不可思議の古典的愛好者であり、いかにしてそれらを彼の意味するところの暗号化に用い
るかを知っていた。テスラが話すとき、誰もが熱心に聞いた。しかしながら、ほとんどの人が彼の意味するとこ
ろを理解しなかった。テスラ技術を知るため、人は慣習的な知識を進んで一旦中断し、ただ、その詳述と、テ
スラがそれによって彼の先駆的発見をずるがしく隠した抜けめのない控えめな表現を聴かなければならない。
驚くべき少しの記述を覆っている混乱が、プロフェッショナルの工学界をテスラの課題の達成から躓かせ続け
ている唯一の障害物であることが証明されてきた。)
更に次のようなことも述べています。
The discovery has not been adequately described among those who claim to know something
beyond the initiatory facts concerning his work. Those who believe that only experimentation
will reveal the truth concerning Tesla may be in for a sad defeat. Indeed, those who undertake
the reproduction of Teslian transformers know the disappointment and subsequent disinterest
which has followed so many others before.
Few are honest enough to admit the possibility that their own failed experimental reproductions
are entirely due to their own misunderstanding.
(その発見は、彼の仕事に関する初歩的事実を超えた何かを知っていると主張している人の間では適切には
述べられてこなかった。実験だけがテスラに関する真実を明らかにしていると信じる人々は、悲しい敗北感の
中にいるかもしれない。実際、テスラトランスの再現を請け負う人は、以前に大変多くの人がそうであった失
望と続く無関心[になる]ことを知っている。
ほとんどの人が、彼ら自身の失敗した実験が、完全に彼ら自身の誤解によるものである可能性を受けいられ
るには十分正直ではなかった。)(※4)
多分にNikola Teslaは高周波高電圧AC関係の実験科学者であったこともあったのかもしれませんが、そして、Nikola Tesla
は彼の従来知見にはなかった異常な現象を1889年に発見し、その後の慎重な追加実験研究を経て、1892年12月に満を持
して"ON THE DISSIPATION OF THE ELECTRICAL ENERGY OF THE HERTZ RESONATOR"という論文を出
版したのですが、当時のノーベル賞受賞学者にさえ「『高周波高電圧AC』に関するもの」と誤解されてしまいましたのは、
例えば、その年の2月の講演の予稿集のタイトル"EXPERIMENTS WITH ALTERNATE CURRENTS OF HIGH
POTENTIAL AND HIGH FREQUENCY"のような表現がなされていたりしたことも要因ではないかと思いました。
普通、DC(直流)とかAC(交流)というと下図1のような形をみなすぐに思い浮かべるのではないでしょうか?
DC AC
図1
図1に示すように、通常、"AC"といえば、"Alternative current"ですから、『交番』という意味であり、時間と共に大きさが変
わり、区間ごとに、「電流方向が代わります」。しかしながら、Nikola Teslaの発明したテスラトランスの電流はそうではない
のです。本文には図はありませんが、前回、1892年2月の講演予稿集の"ALTERNATE CURRENTS OF HIGH POTENTIAL
AND HIGH FREQUENCY"から転載して示しました下図2、3がそのテスラトランスの模式図(図2は初期のもの、図3は改良
版)を再掲します。この真のテスラトランスの「みそ」は中央の回路部分にあります。
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図2 初期のもの
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図3 改良版
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これらの装置における「二次誘導コイル」の一次側、図2ではp,図3ではp2に流れる電流は、図1のような「AC」電流ではな
く、「急峻な一方向連続インパルス電流」だったのでした。彼の実験研究では、彼が見出した後述の驚
くべき現象は、通常の「高周波高電圧」"AC"電流では現れないこともTesla自身が実験確認していました。
彼が発見した驚くべき現象は、このように、図2,3の二次誘導コイルの一次側コイルに流れる電流が、
一方向+連続インパルス
であるということが絶対的条件だったのです!すなわち、「マイナス側がない」ということです。
図のA,B間のアークがいわばスイッチになっています。図2の初期のものは、「通風」によってアークを消していましたが、図
3の改良版は磁石を用いて自動スイッチ化したもののようです(「ようです」と書きましたのは詳細が示されていないので、凡
才の私にはよく理解できていないためです(^^;)。尚、一時誘導コイル一次側の発電機は普通の低周波低圧発電機です。
(通常の定常電流回路ではなく、云わば過度現象のものであり、特にTeslaのみが発見した現象で、従来の教科書的な考察
では理解困難なものです)
既に前稿でも書いたように、そもそも1889年にTeslaは、1887年にHertzが発表した電磁波発見に関して、公開されたパラ
メータに忠実な再現実験を試みたのですが、それでは報告されたような結果を生まないことを見出しました。Teslaは引き続
き、超高圧に充電した油を満たしたマイカコンデンサを用いて急激でパワフルな電気放電での実験を開始し、これらの急放
電で薄肉電線を破裂させることが可能であることを発見しました。Teslaはこの一連の実験において何か重要なことをかすか
に受け止め、Teslaはこの一連の実験を捨て、ずっと、その不可解さを考えこみ、ヘルツは真の電磁波に対して空気におけ
る静電誘導または電化衝撃波を誤って結びつけたことに感づき、Hertzに面会してそのことを告げたのでした(Hertzはその
Teslaのプレゼンに納得し、1887年の発表を撤回することにしたのですが・・・結局、色々なしがらみでそのままになったので
したが)。
Teslaは、Hertzが失敗したと感じたところを成就する−真の電磁波を生成し発見したいと望んだ−彼自身の試みにおいて、
有力な方法を開発したのでした。この装置の一部には、非常にパワフルなコンデンサバンクの実装を必要とし、このコンデン
サ「蓄電器」は、非常に高電圧に蓄電され、短い銅ブスウバーを通して連続放電をするものでした。
Teslaは、この彼の装置における放電火花を"disruptive discharges(破壊的放電)"と称しました。一つには、
前述のように、「薄肉電線を一瞬にして蒸発させうる」ことを発見したことと、もう一つ、「彼の体の前全部を横切る大きな力で
彼を襲った非常に鋭い衝撃波」を感じたゆえでした。この1889年の偶然の観測が、その後のNikola Teslaの研究人生を変えた
epoch makingな出来事だったのでした。
電気的インパルスが生じる効果は、通常、単に光と関連付けられていたのですが、この「爆発現象」は彼に、過去に問題化
した高電圧DC発電機で観測された同様の出来事を思い出させたのでした。
これも前稿で触れましたが、まだ電気がDCだった時代、次第に大電力送電になったために問題化したもので、そんな事態
を予想もしていなかった当時のアメリカの各電力会社を悩ませた"DC Anomalies(DC異常)"というものでした。
これは、発電所などで発電機と送電電線を繋ぐスイッチをONにした際、短時間(数ミリ秒)の間、機器と大地との間で放電が
起き、付近にいた作業者や電気エンジニアの体内を通り死亡するという問題で、発電機はわずか数千ボルトの値であった
にも係らず、このようなミステリアスなサージは10万V、百万Vさえ示し、絶縁破壊が生じたのでした。
この初期の『過給(supercharge)』の技術的研究が電力会社の主要な課題となり、安全装置とサージ防止装置に関して沢山
の特許が出され、そのときエンジニアの間での一般的コンセンサスは、これは「静電気『チョーキング』効果」
だというものだったそうです。テスラは、その奇妙な過給効果が彼の爆発的コンデンサ放電と丁度同じく、ただ、発電機が電
線に繋がれるまさに瞬間にのみ観測されることを知っていました。二つの事例は完全に異なるけれども、それらは共にかな
り同様の影響を生じたのでした。Teslaはそれがなぜ起きるのかについて考察していました。Teslaは、発電機端から見た電
線や構成物の抵抗が、電荷が突き抜ける不可能な「障害物」であるように見え、この障壁が『集積』効果を引き起こした−静
電荷は、文字通り、電線の抵抗、電源スイッチが閉じられた短いミリ秒の時間にのみ存在する障壁により瞬間的に止まり保
持された−と考えたのでした。この「仮想的バリア」に対する突然の力は、電荷を普通のコンデンサでは得ることが不可能
な密度にまで押し込み、短時間の電力印加、異常な電気緻密化状態を齎す抵抗障壁に抗しての電荷の衝撃であったと考
え、それが、彼の現在の実験における導線がしばしば破裂する理由と考えたのでした。
しかしながら、アカデミー実験家界は誰も注目せず、あいかわらず高周波高電圧ACの実験にいそしんでいて、Teslaただ一
人がこのインパルス放電の研究をしたようです。彼は、実験室では観測されてこなかった爆発的インパルスを作り出しつつ
あり、全ての構成要素が注意深く絶縁され、完全な安全性を確保するため、彼自身に絶縁棒とゴム製の衣装を与えました。
そして、一つのポイントですが、
Whatever the conditions observed in previous systems, he had now learned how to maximize
the effect. Balancing voltage and resistance against capacity, Tesla learned to routinely
produce supercharge state which no existing device could equal.
(前のシステムで観測されたその状況がなんであれ、彼は今や、その効果を最大化する仕方について学んだ。
容量に抗して電圧と抵抗をバランスさせ、テスラは同じ装置が存在しない存在する装置が等しくできなかった
過給を日常的に作り出すことを学んだ。)
ようです。実験的に装置毎の最適条件を決めたというわけです。[←和訳の誤りがによる誤解があり抹消します]
経験的観察は、長い間、普通のコンデンサ放電は脈動電流であり、、各々のコンデンサプレート間で、それらの蓄積された
エネルギーが消費されるまでの文字通り、『集積される』火花電流であると教えられてきました。前述のDC異常において
発電機の高電圧は、交流では不可能な緻密化された電荷に、このような強さの無方向の圧力を及ぼし、唯一可能な引き
波(backrush)は変動(oscillation)でした。この場合、過給が消費尽くされるまで長い連続区間で電荷が急増して止まり、この
ような変動を力づけるパラメータは、実際には、その全エネルギー供給を表す過給(supercharge)、であり、テスラは、永久
に、過給途中でその濃縮エネルギーを消費させるかもしれない『引き波』とその他の混ざり合った電流反響を阻止する方
法を開発するのに多大な時間を費やしたようです。数学物理学理論的なものがないため、言わばCut&Tryで考察しながら
作り出した装置だったということでしょう。
ここで私は簡単に"cut & try"でと書きましたけれども、当時、Teslaを理解していると思っていた人達でさえ再現実験に
失敗(前述の※4)していたわけで、この本では、
What Tesla achieved could not have been made possible without his extraordinary sensitivity
and keen awareness of his own perceptions. In this absence of physical evidence, Tesla all
too often worked his way toward natural truth. In this manner he discovered what theoreticians
would never seek
(テスラが達成したものは、彼の膨大な感性と注意深い彼自身の受容を除いては可能にはならなかった。この
物理学的証拠を除外して、テスラは、大抵は、自然のままの真実に向かって突き進んだ。このやり方で彼は、
理論家が決して見出さないだろうことを発見した。)
と書いています。Nikola Teslaという人は、従来知見に拘らず、「大自然」が発している声を素直に聞くことができる『感受性』
に優れた科学者だったと思いました。それゆえ、前に書いたように彼の少年時代に彼を苦しませた異常体質を逆利用して
の発明に結びつけられたのでしょう。
そのTeslaの革命的な新発見に関してこの本の著者は、
Indeed, it was through the development and application of this new physical agency, his
greatest discovery, that Tesla encountered unexpected and devastating hostility throughout
both the academic and the financial worlds.
(実際、それは、この新しい物理作用の発見と適用を通して、テスラがアカデミー界と財界を通して期待されず、
破壊的な敵意に出会った、彼の最大の発見であった。)
と書いています。それほどNikola Teslaがこの「『真の』テスラトランス」による実験研究で見出した発見が既存勢力にとって、
はなはだ不都合なものであったということであり、それゆえ、20世紀になって次第に疎んじられるようになり、forgotten扱い
されてしまったということであることは間違いないでしょう。真相も知らないで、伝聞だけでNIkola Teslaを"Mad scientist"扱い
したり「とんでも」呼ばわりされている方たちは、単に、そういう彼のなした本質的に科学技術界において人類の真の幸福に
寄与するはずであった革命的発見が不都合である勢力(科学権威、国際的金融筋等)に、愚かにも気が付かないまま利用
されているだけに過ぎないことを是非自覚していただきたいものです。
さて、そのようにして構築した「テスラトランス(Tesla Transformer)」によりNikola Teslaが見出した驚くべき結果とそこから彼
が考察した結果について述べたいと思います。
まず、前述で、「彼の体の前全部を横切る大きな力で彼を襲った非常に鋭いShock Wave(衝撃波)」を感じたと述
べましたが、彼の装置で「スイッチを突然素早く閉じる」ことが、実験室を通しての突出した衝撃波を齎し、鋭い圧力と貫通す
る刺激の両方として感じられた(特に顔と手には刺すような痛みが感じられた)ため、テスラは、蒸気状態に近づいた物質粒
子が、電線(図2,3の二次誘導コイル二次側)からすべての方向に文字通り押し出されたと信じたのでした。更に、Teslaは装
置と自分の間にガラスシールドを置いても結果は同様であり、「その刺すように痛みは、スイッチを閉じた瞬間、1秒未満の
ごく短時間続いた」のでした。で、テスラは、これらの奇妙な効果は、強くイオン化された雷鳴のようなものよりむしろ、空気
中でイオン化された衝撃波の簡単な効果であると信じたのでした。
更に彼は、より遠い距離からの衝撃波の圧力を測定する新たな一連の実験を創案し、それに必要な自動の『作動スイッチ』
を考案し、それにより、その効果のずっと制御され、繰り返し引き金を引くことが可能になりました(図3のもの)。Teslaはこれ
により広い実験室内を歩いて効果を見ることができるようになりましたが、そのとき、衝撃波による痛みを感じたくないため
にテスラは彼自身を種々の物質でシールドしたのでしたけれども、それでも遠距離にて同様の刺すような痛みを感じたので
した。結局、「スイッチが閉じされた瞬間、電線から解放されたものがなんであれ、連続してガラスや銅のシールドを貫通した。
あたかもシールドがそこに全くないかのように、各々の物質を浸透する効果に何も相違がなかった」ことになり、Teslaはここ
で
物質的な結合なしで空間を直接伝達する電気効果="Radiant Electricity"(放射電気)(※5)
を発見したでした。
この現象は、Faradayによって確立された静電荷原理を変えるものでした。すなわち、「静電誘導は通常、金属シールドの表
面上に広がり、金属を貫通しない」ゆえ、Teslaが発見した現象はまさに、『非電気的現象(non-electrical characteristics)』
だったというわけでした。
それで、テスラは、この奇妙な新しい現象により真に困惑し、その性質に対する参照文献を探し、二人の実験家による内密
の観測におけるもののみを見出したようです。
一つは、1842年にJoseph Henryという人が激しい火花放電によって、鋼製針の磁化を観測したもので、その火花により磁
化するLeyden Jarが電気的に不浸透な建物の上階に置かれていて、その針は地下室の貯蔵庫に中に収納されていたの
に、煉瓦の壁、熱い樫の木のドア、重い石と鉄製の床、錫の天井といった自然の障壁を通して火花がその針に作用したこ
とになり、Henry博士は、「火花は特殊な『光のような線』を開放し、これらが、磁化に対して応答しやすい貫通媒介である」
と信じたようです。
もう一つは、1872年にPhiladelphiaのハイスクールの物理学教師Elihu Thomsonによって観測されたもので、彼は大きな
Ruhmkorrf Spark Coilの火花をもっと見やすくしようと目論み、そのコイルの一つの極を冷水パイプに取り付け、そのコイル
を再活性化した時に、火花の性質が青色から白色に変わることを発見、更に、他の極を大きな金属製のテーブル表面に取
り付けたところ、悲鳴を上げる銀-白色火花を生じたのでした。で、彼は同僚のEdwinに知らせようとドアに急ぎ、絶縁された
樫の木のドア上の青銅つまみに触れたところ、予想もしなかった焼けるような衝撃を受けたのでした。Ruhmkorrf Spark Coil
を止めるとその現象は止まり、Edwinの前で再びRuhmkorrf Spark Coilを動かしたところ、その痛烈な電荷効果が再現、コイ
ルから遠く離れていた、または床から絶縁されていたものにペンナイフまたはねじ回しでタッチしたところ、長い連続する白
い火花を生じたのでした。このこのことは同年Scientific Americanに短い記事として掲載されたそうです。
Teslaは、これらは共に彼が今回の実験で観測したものに通じていることに気が付きました。ともかくも偶然的に、各々の実
験者は、爆発的な過蓄電効果を生じる処理をしたということに。Henry博士の場合、その爆発的破裂は、静電機械が初期
電荷を集めるのに用いられる、一回の閃光の中で起きたこと、二番目の場合は、それが過蓄電効果の保持され連続的な
生成を証明していたことでした。いずれにしろ、過去にも経験されてはいるが、Teslaはその効果は、それが明らかに、非常
に厳しい電気パラメータを必要としたのでまれなものであり、自分が発明した装置が、過充電の「完全」で最大の出現を成
就する唯一の手段を確保−他者が明白にしなかった静電気分野の様相を開放できる装置−であることに気が付いたので
した。
彼はこの効果の予備的観測結果として、1892年に"ON THE DISSIPATION OF THE ELECTRICAL ENERGY OF
THE HERTZ RESONATOR"という論文を出し、この本では、「これは、テスラが高周波交流の研究と発展を捨てる出発点
である」と書かれています。この論文では衝撃波とインパルスの他の効果について述べたようです(ようですと書きましたの
は、この論文は公開されたものですが、私自身、それを入手していないのでどの程度述べられているかを直接目にしていな
いゆえです)。彼が性格的に控えめに述べたそれらの物理学的センセーションに加え、テスラはまた、その現象と関連した
『ガス状』様相についても述べていたようです。
この「ガス状様相」(“gaseous” aspects)ですが、彼の実験において急激に充電された電線が、オイルバスに浸されたとき、
奇妙なガス状ストリームを放射することを観察し、彼が一旦は、完全に電線に吸着された気体によるものと考えた現象につ
いて、彼は、その効果は、普通の吸着された気体の量ではその流れを供給できない一つの電線から連続して生ずることが
できることを発見したことでした。そして、Teslaは、油に浸漬した電線端から放射された見事な突出する「ガス」の真の性質
を理解し始め、これらの衝撃的な空気パルスの真の原因と性質を決定するために一連の拡張試験を計画、その結果として
Teslaは、
They "imply the presence of a medium of gaseous structure, that is, one consisting of independent
carries capable of free motion"
(それらは「気体構造、すなわち、自由に動くことができる独立したキャリアからなる媒体の存在を意味している」)
と考え、それは空気ではないので、「空気に加えて他の媒質が存在する」と述べているそうです。
ところで、先に図2、図3を見ていたために私の中に誤解が少しあったのですが、"RADIANT ELECTRICITY"という小見出し
の節の冒頭で、
Though successive experimental arrangements, Tesla discovered several facts concerning
the production of his effect. First, the cause was undoubtedly found in the abruptness
of changing. It was in the switch closure, the very instant of “closure and break”, which
thrust the effect out into space. The effect was definitely related to time, IMPULSE time.
No reversal of current was permissible, else the effect would not manifest. In this, Tesla
made succinct remarks describing the role of capacity in the spark-radiative circuit. He
found that the effect was powerfully strengthened by placing a capacitor between the
disrupter and the dynamo. While providing a tremendous power to the effect, the dielectric
of capacitor also served to protect the dynamo windings.
(連続する実験の取り合わせを通して、テスラは、彼の効果の生成に関する種々の事実を発見
した。第一に、その原因は疑いもなく、急激な変化において発見された。それはスイッチを閉じ
ること、その効果を空間に放射する『閉じる、切断する』まさにその瞬間にあった。その効果は
明確に、時間、インパルス時間に関連していた。どんな逆電流も許されなかった、そうでないと、
その効果は判然としなかった。ここにおいて、テスラは火花放射回路における[静電]容量の役
割を記述する簡潔な意見を述べた。彼は、その効果は、断続器と発電機の間にコンデンサを置
くことで強められることを発見した。コンデンサの誘電体は、その効果にとてつもないパワーを
与える一方、発電機巻線を保護するのに役立った。)
と書かれています。どうやら、最初は図2でアークスイッチABと小ギャップabだけの回路だけでこの異常現象を発見し、つい
でコンデンサを装着したみたいですね。 [←私の誤解でしたm(__)m]
Teslaは既に、この予想だにしなかった効果の重要性を理解し、まだ、この現象における働きのプロセスは確定していなかっ
たので、その増幅と利用に対して必要な経験的理解を目論みました。この奇妙で不思議な新しい現象をその完全な発展性
に持っていくアイデアは、既に彼の心の中で、わくわくさせる新しい可能性を示唆していたのでした。
彼は、その効果は、電圧を上げ、スイッチを『中断する』率を早め、実際のスイッチを閉じている時間を短縮化することで新
たなずっとパワフルなレベルまで強化できることに気が付きました。で、それまでは『回転スイッチ』を使っていたのですが、
これらの機械的インパルスシステムではめざす最大効果を得ることができず、そこで彼は工夫して、図3のような「DC発電
機の高電圧出力に、放電路に接近させて非常に強力な永久磁石を置いた彼の新たなアーク機構を通して対の導体を繋ぐ」
を装置開発したのでした。この結果、放電アークは、この磁場によって、自動的、連続的に『吹き消され』ました。
強調するため、輻輳しますけど、
Imperative toward obtaining the desired rare effect, the capacitor and his connected wire
lines had to be so chosen as to receive and discharge the acquired electrostatic charge
in unidirectional staccato fashion.
(望まれた珍しい効果に対して是非しなくてはならないこと、コンデンサと彼の接続された電線は
一方向スタッカート形態で、必要な電荷を受け放電するように選ぶべきであった。)
と述べられていて、更に、
Electrostatic charge rises to a maximum, and is discharged much more quickly. The constant
application of high voltage dynamo pressure to the circuit insures that continual successions
of “charge-rapid discharge” are obtained. It is then and only then that the Tesla Effect is
observed.
(静電荷充電量は最大にまで上昇し、ずっと素早く放電されている。回路に対する高電圧の発電機
電力の一定印加が、継続する「急電荷放電」が得られるのを確保している。テスラ効果が得られる
のは、そのとき、唯一そのときだけである。)
と述べられています。
Teslaは一連の実験を通して、簡単に既存の力として取り扱えない新しい電気力を発見したと信じ始め、しばしば、その効果
を、『電気動力学』とか『静電気以上のもの』と述べていたようです。
また、Teslaは実験から、固有の回路定数を適切に合わせることにより、テスラは、要求に応じて、非常に急峻な一連の一
方向インパルスをどのようにして生ずるかも会得したようです。テスラは、衝撃効果は、明らかに強度損失なしで大きな空
間に浸透することを発見し、衝撃効果は、難なく、相当大きな金属シールドと最大の絶縁体を貫くことも発見、更には各々
の連続するインパルス間の断続時間間隔と同様に、毎秒当たりのインパルス数を制御する手段も発見しました。
次第に、新しい効果の原理を発見し始めたのでした。Teslaが発見した"Radiant Electricity"は科学界が知らなかった特殊
な性質を有していたのでした。
シンプルであるが力強い彼のオリジナル装置の具現化と共に、テスラは、放射エネルギーはただちに、強力な電気効果を
引き起こすことを発見しました。これらの効果は、交流、交流波ではありませんでした。それらは、連続する衝撃波か
らなる縦波であり、短い中立帯を従えたおのおのの衝撃波の進行は、一緒に放射場を形成、これらの衝撃波の連続に
対するベクトル成分は、いつも一方向性でした。Teslaの言う「テスラ波」は、この「テスラトランス」から空間に放射される
"radiant electricity"であり、それは「衝撃波(shock wave)」であったことから「縦波」と考えたことがこれでわかりました。
前述で、「強力な電気効果」と書きましたが、装置の近くに置かれた物体は、磁石によるアークの断続器でアークを止めた
後("after the magnetic discharge had been deactivated"と書かれていますけど、私はこう解釈しました)、何分もの間、同一
符号の電荷が残って強力に電化されていたと述べられています。物体をこの放射空間に持ち込むと、その物体は王冠(crown)
状に形成された白色の火花に囲まれたとのことで、このことは、他では前には見られなかった強力で浸透する荷電を証拠づ
けています。そして、
The fact that these radiant forces travelled as light-like rays distinguished them from the
electromagnetic waves of Maxwell. The waves were weak, but these rays were strong.
Uncommonly strong.
(これらの放射力が、光様の線として進行した事実は、それらをMaxwellの電磁波と区別させた。
その波[Maxwellの電磁波]は弱いが、これらの線は強かった。とても強かった。)
また、指向性効果は、衝撃波を放射する電線を形作ることにより得ることができ、「全方向でもっともよく均等に放射する条
件は、各々の線が半円であり、全装置が円周状に配置されていること」も発見しています。そして、この新たな放射線は、
Hertzが電磁波実験で見出した「距離の逆二乗法則」にはのっとっていない−近隣での測定では減衰しないことを観測−こ
とも発見しました。
ここまで、淡々と書き連ねてあることをピックアップして書いてきましたけど、どうでしょうか?現在、「テスラコイル」と称せら
ている装置ではこういう現象は全く報告されていません。こういう異常な現象すら知られていません。
Nikola Teslaが発明した真の「テスラトランス(Tesla Transformer)」は単に「テスラコイル」と称せられているものが発する放電
による高周波高圧トランスとは全く異質なものであることは明白です。隠されてきましたけど、Nikola Teslaが発見したものは、
現在「テスラコイル」と称せられているものをいじくりまわしても全く出てこないということを理解する必要があります。くどいで
すが、現在「テスラコイル」と称せられているものは、全くNikola Teslaとは無関係な代物である!ということです。一般下々は
これまで、真実を知らない・真のTeslian Thecnologyをわかっていない人々から誑かされ続けてきたのです。
ただ、ここまでを読まれたら気が付いておられると思いますが、彼が最初に発見したこの衝撃波(Shock Wave)は、絶縁防御
していてもそして装置から離れていても「刺すような痛みを感じてしまう」ものでした。これは危険な武器となってしまいます。
しかるに彼は、この逆二乗法則に乗らないで減衰しにくくかつ強い「放射エネルギー」であることから、電力伝送への適用
を夢見ました。「多相(Polyphase)交流」を発明し、現代文明の基本になっているACの実用化に多大の功績があったTesla
ならではの発想だったと思います。そしてそれは、Nikola Teslaの道徳心・科学哲学だったのでした。
しかしながら、そうなると、この性質が「玉にきず」の課題となるのは明らかです。
彼は、装置を改良しながら更に周波数を上げる(インパルス幅を小さくしていく)実験を進めました。その結果、まず、
1個のインパルス幅が100μsになったとき、刺すような痛みは解消される
ことを発見しました。人体に直接悪影響が及ばない条件を見出したのです。
更に彼はインパルス幅の短縮(更なる高周波化)を進めました。その結果は、前にニコラ・テスラ〜なぜ不当な扱い?(5)〜
Radiant Energyについての追記〜で示しましたが、再掲しておきます。
・1.0μsで強い物理的熱が感じられた。
・それより短いインパルス幅で、白色光で部屋と真空管を満たすことができる自然照明を齎した。
・更に短いインパルス幅では、気分と意識の高揚を伴う涼しい部屋を貫くそよ風を生じた。
「これらのインパルスエネルギーは、Sir Oliver Lodgeが一般化し、その後、マルコーニ波ラジオで具現化された高周波共振
交流の利用を通しては複写できなかった。ほとんどの人がテスラによってセットされたパラメータの観察の絶対的必要性を
理解しなかったので、ほとんどがこれらの効果を再現できなかった。」のでした。それゆえにアカデミア科学界から無視され
てしまったのでした。
20世紀後半になって、前述のイギリスの電気技師Eric Dollardが全て再現に成功したと発表し、Tesla研究家の間で見直しが
始まって今に至っている−この本も重要な位置づけになっているようです。やはり、こういうのはアカデミア物理学の専門家
よりも、より実践的な在野のEngineerの方が理論への拘りがない分、「感受性」に秀でていて成功するのだろうと思います。
「理論より先に"reality"あり」ではないかと思います。理論というのは後からついてくるものでしょう。
長くなりましたので、ここでまた一旦区切ります。
(続く)
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