見えても信じず、見えてないのを信じる科学者
不思議でならないことがあります。
望遠鏡を作ったガリレイが他の学者たちにそれを見せた時、彼らは地上のものを見た時は誉
め讃えたそうですが、天体を見せた時、当時の「科学常識」は宗教の影響を強く受けていた
ために、望遠鏡で見えた星の表面のでこぼこがそれとは違っていたので、望遠鏡は星を誤っ
て写しだすので星を見るには適さないようなことを言ったという話を目にしました。
学者は、実際に自分の目で見ても、それまでの「常識」と異なるときは、それを信じられずに
何かそれは間違っていると疑うのは今に始まったことではなく、昔からなんですね。
たまたま、ネットサーフィンしていて、そういう分野の物を調べていたわけではないのですが
"EM Drive"なるtermを初めて目にしました。私自身、初めて聞く名前でしたから、全く不案内
でしたので、ちょっと調べて見ました。なんとWikipediaにあったのですが、日本語Wikipedia
ではほんの少しだけ、一方英語版Wikipediaでは詳しく色々と書かれていました。
英語版Wikipediaでは"RF resonant cavity thruster"という名前で記載されています
(⇒ここ)。
そもそも、イギリスの航空宇宙技師Roger Shawyerという方が提案したものだそうで、彼は、
2001年にSatellite Propulsion Research Ltdという会社を立ち上げ、UK Department of Trade
and Industryからの資金バックアップを受けて、自分の提案したものの製作に取り組んだそう
です。そして、2002年12月にプロトタイプの製作に成功したと発表したようですが・・・
英語版Wikipediaにはそのプロトタイプの写真があります。
その原理と言うのが簡単に言えば、「密閉容器の中にマイクロ波を閉じ込め、壁での反射に
よる共振状態で、その容器を動かす」というものだそうです。よく考えてみると、これって、
ニュートンの第三法則に反するものですよね?Shawyerは反抗力のない駆動装置というよう
な説明をしたようですが、当然ながら、物理界からは「物理常識」に反しているとして、大攻
撃の嵐。当然のように、ネット上でも、「病的懐疑論者」からは「ばか、ペテン師」などという
嘲笑罵倒がなされたそうです(いずこの国でも同じですなぁ)。
ところが、その後、なんと中国で再現実験に成功したというニュースがあり、恐らくそれを受
けてではないかと思うのですが、NASAもやったそうで、中国の発表値よりは相当得られた
出力は低かったものの、再現自体には成功したようです。他でも2か所くらいやっていると
か。それぞれ、その動作に対する仮説(hypothesis)を出しているそうですが・・・
どうも、こうやって、第三者が再現に成功しても、研究に雪崩を打っていないらしいのを見る
と、物理学者と言うのは、「物理常識」に反していて「理論が確立していない」ものはいくら
第三者の再現実験があろうとも信じなようですなぁ。NASAがやってもそんなですかぁ・・・
多分に、未だに『疑似科学』扱いなのかもしれません。おかしいですよね?
例の"Cold Fusion"も同じなんですよね。未だに、特に日本ではそうですが、「疑似科学扱
い」してますよね。Cold fuison、 New Inquisition(新しい異端審問)の項で言及したように、
アカデミズム科学界の中で再現実験の成功があり、世界的には次第に信じる科学者が増
えてきているというのにね(国内では一部の科学者のみ、白眼視されている中で取り組ま
れています)。
一方、♪ああ、それなのに、それなのに、ねぇ・・・
宇宙物理学者や天文学者は、誰も見たことの無いのに、単に相対性理論の主張との整合
性のためだけに辻褄わせだけで主張している「空間は膨張するが天体は膨張せずに張り
付いている」こととか「超球」や「インフレーション」の実在性を信じられるのが私にはどうし
てもわかりません。
どう見ても、"reality"より「数式理論」を重んじているのが明らかですね。「自然を見ない。
数学の方を信じる」というようなことを言う学者もいるそうですし、実証観測結果が出るたび
に既存理論と会わないためか、海外では、とうとう「理論が美しいなら、実証観測など不要」
などと、「自然科学」であることを忘れたとんでもないことを言う物理学者までいるそうです。
ばかばかしくてなりません。
地球上の「科学の常識」なるものは、過去の科学者により出されたhypothesisが当時の観
測結果をうまく説明で来たから、「正しいのだ」とされ、基本的なものになっているだけとい
うのが本当のところではないでしょうか?近年では観測技術の発達により、そういう昔の
「うまく説明できた」として、「科学の常識」になってきたものとはずれるものがでてきても不
思議でも何でもないと思うのです。
再三批判してきましたが、どなたかのように、ご自分の専門の研究そっちのけで、そういう
「科学の常識」に合わないものを「疑似科学」と決めつけ、批判という生易しいものではな
く何か「撲滅運動」に勢を出していることで名を売っている学者「とそのsupporterがおられ
て、彼らの言い分では、科学の常識」に合わないからそんなものは再現実験などする必要
性自体ないとまでいっていますけど、前述のEM Driveは、それでもあえて4か所の第三者
機関が再現実験に取り組み、再現性を確認しているという事実をこの方とそのsupporter
の方々はどう考えているのでしょうか?「科学の本質」を理解しているのはどちら側でしょ
うか?ネット上には、「疑似科学批判」は最早、「科学」的分野ではなく、「社会学」的分野
のものだという批判もあります。
私に言わせてもらえば、単に「アカデミア権威」を守りたいだけの学者のいかにも「正義」を
かざしてのような言動に、「病理学的懐疑論(patho-skepticism,pathological skepticism)」
のsupporterが乗っかってやっているだけとしか思えません。「科学」を装いながら、ちっと
も「科学的態度」ではないと考えます。
「科学常識に反するAという現象が見付かった」という主張が出てきたとき、「科学常識に
反するからそんなものは間違いだ」と簡単に決めつけるのではなく、公正には第三者が
その実験観測に立ち合い、彼の主張が正しいかどうか確認してもらうというのが「科学的
態度」ではないでしょうか?勿論、公正な条件下でやるというのが基本中の基本ですが。
それをさせない・それで再現しないならそれこそ欺瞞ということになるのです。ここで、な
ぜ「公正に」と強調しているかといいますと、過去に、「不公正」が行われ、それで、「再現
しなかった」として切って捨てられたものがあるからです。
(⇒New Inquisition(新しい異端審問))
ときに、発見者は「偶然見つけられた」とおっしゃることがありますけど、私は違うと思い
ます。科学常識に囚われすぎている方は、恐らく「測定誤り」とかそう考えて、折角の新
発見を見過ごしてしまう可能性が高いです。科学を劇的に発展させる真の「科学的態度」
というのは何かということを真剣に考えるべきではないでしょうか?
('16/5)
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