続・相対性理論への疑念(26)

〜マイケルソン=モーリー実験 & Dayton Miller再び〜(’17/1)

本項では、特殊相対性理論への疑念(全面改定版2)で、マイケルソン=モーリー実験(Michelson
-Morley Experiment/以後M.M実験と省略する)について、そして、続・相対性理論への疑念(18)
〜Dayton Millerの論文@〜
及び続・相対性理論への疑念(19)〜Dayton Millerの論文A〜でその
後にDayton MillerがM.M.実験を考えられる条件を変えて行った長期にわたる膨大な実験結果か
ら得た彼の結論・見解についての概要をまとめていますが、実は自分の中で完全には理解できて
いない点が残っていたことを白状しておきます。

M.M.実験論文とDayton Millerの論文は英語サイトのANTI-RELATIVITYというところにPDF文書
でありましたので、上記は主にそれを読んでまとめたものでした。その際、このサイトの記事を参
考にしたのですが、もう一度、このサイトにおけるM.M.実験に関する主張とM.M.実験論文をじっ
くりと読み返しました。恥ずかしながら、長年のななめ読み・飛ばし読みのくせでM.M実験論文の
結論部分についていくつかのことを読み落としていました。

で、以下、上記既報内容とダブル部分もありますが、この方の主張を抜粋して示し、また、M.M.
実験論文に関しては既報内容の訂正も合わせて行いたいと思います。尚、件の方の主張の方
は、原則、私の下手な和訳のみを示しておきます。ちなみに、この件の方の主張は、上記サイト
の"Experiments"というタブをクリックし、左のリストにある"Michelson Morley"項をクリックすると
出てくる記事です。前述のM.M.実験論文やDayton Millerの論文のPDFはその記事の中にある
リンクから出てきます。

冒頭で、多くの方々がSpecial RelativityのPostulateU(light speed is constant)の証拠に上げて
いるM.M.実験について、

 何年か後にEinsteinはこの実験のことを知らなかったと主張している一方、
 SR[注:Special Relativityのこと]の中心であるLorentz方程式は特にこの
 実験によりHendrick Lorentzにより発見された。これらの方程式は、それ
 がなんであれ、ある意味を持っている光速が一定であるということを必要
 としている。Einsteinのこの実験について知らなかったという断言は単に、
 彼の仕事が実際には、純粋に剽窃であったという主張を支えてるにすぎ
 ない。この実験なしでは最初の段階で光速一定を仮定する理由はなかっ
 


と主張されています。私は、色々と調べ、既にこれまで指摘してきましたが、この主張を支持いた
しております。これは別のところで指摘されていたのですが、確かに、EinsteinはSRの論文を発表
したときは科学アカデミア界にはいなかったので(発表から5年後の1910年に招かれた)、M.M.実
験論文は読んではいなかったのは事実であろうが、彼はLorentzの講演(講義?)を学生時代に聞
いて、その中で当然、M.M.実験についての話を聞いていたのは間違いないと思うからです。です
からその講演での断片的な話から着想を得たということは十分考えられ、Einsteinの主張というの
は単に、M.M.実験論文を読んでいなくて詳細を知らなかったというだけだろうと思うのです。
前に指摘しましたが、英語版の1905年のSRの論文の中には、一言、この実験結果を示唆する
文章が入っていますので全く実験の存在自体知らなかったというのは大嘘であることは明白です。
誰も触れていませんが・・・。

ま、これも海外サイト記事で知り、既に触れましたが、このM.M.実験を殊更、postulateUの実験
証拠だなどと最初に主張し、広めたのは、Einsteinご本人ではなく彼の論文編集者だったようです
けどね。ま、名前は失念しましたが、ただの事務屋ではなく科学界の人であるようで、Einsteinに
もその自分の見解を伝えたようです。未だに、このM.M.実験をSRのpostulateUの証拠のよう
に学生に教えている科学者というのは、綿々と伝えられてきたその一論文編集者の見解にすぎ
ないものを学生時代に教えられ信じ込んでいるだけでしょうね。

ただ、前に続・相対性理論への疑念(11)〜Einsteinians〜で指摘したように、Einsteinはまだ科学
アカデミア界に入る前の1905年に発表したこのSR論文の着想・理論構築段階に関しては生涯
ほとんど語らなかった(科学アカデミア界に登場しすぐにプロフェッサになった後、1915年に発表し
たGR−General Relativity−については大いに語り書いたそうですが)ため、伝えられていること
の大部分は、Einstein's supporters(「相対性理論学者relatvists」を含む)による好意的「想像」で
広められただけのもののようです。
そういうEinstein's supportersの主張のpostulateU(光速一定)についての主張の一つに、「『マッ
クスウェルの方程式(Maxwell equations)』から着想を得たのだ
」というのがありますが、件の方
はこれについて、次のように批判をされています。

 Einsteinの光速一定のideaはマックスウェルの方程式から来たもので、
 それらはともかくも系なしで一定を必要とするという主張が存在してい
 る。これは、マックスウェルが彼の方程式を1透磁率、1誘電率を持つ
 エーテル
の仮定に基づいて公式化したものであるうえ、全くナンセン
 スである。


この主張も私は支持しています。私は、SRに疑念を抱いた当初、このMaxwell equationって座
標系はなんだろうと気になり調べたりしていたのですが、偶々、現在、教科書に掲載されて教え
られているMaxwell equationというのは、実はMaxwellのオリジナルのものではなく、Maxwellの死
後にベクトルポテンシャルを毛嫌いしたHeavisideが、1880年代に米国のGibbsが、1840年代にハ
ミルトンが一人で創設したややわかりにくいクオターニアンに対抗して構想提案したベクトル解析
法の確立に協力し、その適用第一号としてオリジナル式を書き換えたものであることを知り、全く
そんなことを知らなかったゆえの驚きから詳細について、Maxwellの方程式(1)Maxwellの方程
式(6)
で述べまMaxwellの最初の論文をざっと読みましたが、間違いなく、空間に"medium"(=ether)
を想定して導出されたものであることがわかりました。
件の方は、

 SRの初期、エーテルはほとんど100年間の科学的事実であり、
 この媒質は空気のようにふるまった。
(※1)

と書かれています。現在の教えられている「科学常識」で考えるのはナンセンスでしょう。
1905年にEinsteinがSRの論文を出した時、「エーテルなど考えなくても」と述べたこと(多分に前年
にLorentzにより発表されたLorentz Ether Theoryがエーテルにad-hocな性質を持たせるような説
明になっていたことに対抗して、自分の理論にはそんなものの存在は入っていないという自負心
のなせるわざだったと推測するのですが)が、SRに魅了された(そのEinsteinの主張ゆえだろうと
思いますが)科学者の間でたちまちのうちに「エーテルなど存在しないのだ」という話になってしま
い、「エーテル」がタブー視され、かつマックスウェルのオリジナル方程式がHeavisideにより、数学
的処理で電磁ポテンシャル(静電ポテンシャルとベクトルポテンシャル)を除外した式に書き換えら
れ、より簡単な線形方程式化されて工学的に計算しやすくなったことで支持が拡大し、現在では
前述のようにそれ(海外サイトには"Maxwell-Heaviside equations"だと称する向きもあります)を、
"Maxwell equation"だとされてあとづもでの説明付で教科書に記載され、授業で教えられていて、
元々、Maxwellが導出したオリジナル方程式が記載されていても、あえてそれらのMaxwell's Theory
との関連性は説明されず、その本来のオリジナル式の導出過程をうやむやにしてしまっているの
で気が付いていない方が大半でしょうけど、(※1)が「科学常識」だった時代に出されたものである
ことに留意すべきです。。ここに再度、オリジナル式(但し、後年の19世紀末ごろに確立したベクト
ル法での表現−元々発表されたときは、それは存在せず、論文ではx、y、z三軸成分表示だった)
の核心のものを示しておきます。

・・・(1)
・・・(2)
ここではベクトルポテンシャル(Maxwellは論文の中では"Electromagnetic momentum"と称して
います)で、これより、磁場(磁界)はベクトルポテンシャルの渦(回転)に起因するものであり、電場
(電界)はベクトルポテンシャルの時間変化に起因するものであると言えます。で、ベクトルポテン
シャルは1985年に故・外村博士により実在性が実証証明されていますので、この(1)(2)式は重要
な式であると思います。ちなみにMaxwellはヘルムホルツの完全渦流体理論を流用して(彼の考
察の基本は唯一確立されていたニュートン力学からのアナロジーにありました−1855年論文に
よる−)このオリジナル式を導出しているようです。Maxwellの優れたところは、物理的イメージを
描くことに秀でていたということであり、これも前(⇒Maxwellのphilosophy)に示しましたが、1855年
論文で次図を掲示しています。


尚、以上は、元々のオリジナルの"Maxwell's equations"を導出した"Maxwell's Theory"の根幹に
思いをはせることなく、勝手に一つの運動系における方程式だと思い込んで、以前から

 『Maxwellの方程式』が『相対性原理』には則っていない

という問題になっていたとし、極めて不自然な形でLorentz変換を持ち込んでつじつま合わせ説明
がなされてきている
ことへのアンチテーゼでもあります。
それに、もう一つ、これはネット上でも指摘されているANTI-RELATIVITYの方達が指摘されてい
ますけど、「ガリレイの相対性原理」は「物体(理論的には質点系)の運動に関するもの」であり、
「全ての物理現象は相対的である」というのは、金輪際実証証明などされたことがないEinsteinが
信じ込んだだけの"Einstein's Principle of Relativity"("Special Relativity"のpostulateT)でしかな
いことは、physicist、Einstein's supporter(relativitsやbelievers)が曖昧に誤魔化しているために一
般には誤解されている節も伺えますが、本質的にはきちんと留意すべきことであり、Maxwell's
equationsがそれに従わねばならない絶対的根拠などないわけです。

いずれにしろ、口ではMaxwellをたたえながら、実際には、Maxwellが自己の確固たる哲学−最初
の1855年の論文の前書き部分で、この理論化研究を進めるにあたっての彼の取り組みの基本的
姿勢が明記されています−に基づいて、実験物理学者のFaradayがなした革命的な実験結果に
対して長年の研究(最初にMaxwell equationsを提示したのはそれから10年後の1865年頃の論文
です)によって理論づけを行ったMaxwell's Theoryをないがしろにして、Maxwellの死後にHeaviside
が書き換えた
正確には"Maxwell-Heaviside equations"(ないしは当初そう称せられていた"Heaviside-
Hertz equations")で、ご都合主義的なつまみぐい説明だけしてきたのが実態でしょう。

後、一つ、件の方が、前述の"Maxwell's equations"を根拠にする主張に関連し、

 (今日まだ使用されているが)ガリレイの相対性原理が光速一定を仮定するEinsteinの
 動機であった
ということと同等である。


と指摘していますが、「postulateUは『ガリレイの相対性原理』から考え付いたものだ」という主
張もあるようで(これについては前に引用したpostulateUはpostulateTから導出されると主張し
ている科学者がいることを指しているのかどうかは私的には不明ですが)、それについても例を
挙げて否定されています。

 ガリレイの相対性原理は実験に沿って媒質を運ぶと仮定している。
 すなわち、ガリレイの例は、船の中でのものである一方、我々は例とし
 てジェット[機]の中の音を取るだろう。それはジェット[機]の「系」で音速
 で移動する、なぜならば、媒質(空気)はそれを引きずるから。しかしな
 がら、船の前と後ろに空気が通り抜けられるように開けられた穴があ
 るなら、ガリレイの相対性原理はもはや適用されない


と。そして前述の、(※1)と続けられていて、

 マックスウェルの方程式またはガリレイの相対性原理の中で発見され
 るような光速一定のインスピレーションは絶対にない。


と強調されています。ご本人が「黙して語らず」だったゆえに、他の科学者や後世の科学者の中
のEinstainians(=Einstein's supporters/Einstein's believer)が自分で考えたに過ぎないことをもっ
て、Einsteinのことを好意的に解釈して色々言って来ただけに過ぎない
のは色々な事実(fact)と
照らし合わせれば間違いないでしょう。「偉人」扱いされた人にはよくある話の一つでしかありま
せん。つい最近、英語サイトで引用されていたのですが、Philip Ballという方が

 " Tony Rothman said to me that "I've long maintained that
 the conventional history of science, as presented in the
 media, textbooks and by the stories scientists tell themselves
 is basically a collection of fairy tales.
 " I'd concur with that."

 「Tony Rothmanは私に、『私はメディア、教科書、科学者が自ら
 を述べる物語で示された便利な科学史は基本的にはおとぎ話
 である
ということを長く維持してきた』と述べた。私はそれに同意
 する」


と述べられているそうです。私も色々と調べた結果として、これに完全に同意いたします。
自分が支持する「偉人」に対して好意的な方達がご都合主義的に作り出した「勝者側が描いた」
歴史がさも事実かのように喧伝され、それを読んだ方達はそれを信じているだけに過ぎません。
件の人はこの件についての締めくくりとして、

 唯一のインスピレーションは実験ないし人間の経験の利用なしの反直観的
 プロセスの純粋なイマジネーションからだけでるか、この実験[注:M.M.実
 験]であらねばならない。


と主張されていますが、全く同意いたします。


さて、件の方はこのような主張を前提として、その上で、M.M.実験についての過去の解釈の誤り
を指摘されています。それは、Dayton Millerの実験とそれによる彼の結論に従う所大です。そし
て私も既に書いたように同様な結論に至っています。

 M.M.実験の結果は"NULL"ではなく"NON-NULL"だった!!

と。したがって、

 この実験結果を"NULL"だとして導出された"Lorentz Ether Theory"も
 "Special Relativity"も共に間違っている


というのが既に下して来た私の結論です。

ただ、前には、このマイケルソン=モーリーの実験論文をじっくりとは読んでおらず、今一度、じっ
くりと読み直してみました。その結果、前に書いたものは少し早とちりの誤解があったこと(マイケ
ルソンを完全引きずり説派だと勘違いしていたこと→前回の記事は見え消ししました)を知りまし
た。

ここで今一度、19世紀の初めにFresnelが提案して以来、1940年代にStokesが反対する説を出
すなどで大いに議論されましたが、19世紀半ばになされた Fizeauの実験によりもっともらしいと
19世紀後半には主流になっていた『静止エーテル説』の厳密な原理原則を示しますと

 エーテルは透明物質内を除き静止している(※2)

という『部分引きずり説』であるということに留意が必要です。

一方後から出されていたStokesの説は(※2)は不自然だとして出した『完全引きずり説
であり、前述のように Fizeauの実験により主流が『静止エーテル説(部分引きずり説)』になった後
も尚、当のStokesを初め少数派ではありましたが、実験結果の解釈により『完全引きずり説』を支
持していた科学者はいて議論が続いていたようです。

Michelson-Moreley experimentの実験論文の前書きの中に、なぜこの実験をすることにしたかに
ついて次のように述べられています。

 The discovery of aberration of light was soon followed by an explanation
 according to the emission theory.The effect was attributed to a simple
 composition of the velocity of light with the velocity of the earth in its
 orbit.
 (..)But it failed to account for the fact proved by experiment that the
 aberration was unchanged when observations were made with a telescope
 filled with water.For if the tangent of the angle of aberration is the
 ratio of velocity of the earth to the velocity of light, then, since the
 latter velocity in water is three-fourths its velocity in a vacuum, the
 aberration observed with a water telescope should be four-thirds of its
 true value.
 On the undulatory theory, according to Fresnel, first, the ether is
 supposed to be at rest except in the interior of transparent media, in
 which secondly, it is supposed to move with a velocity less than the
 velocity of the medium in the ratio(n^2-1)/n^2 , where n is the index
 of refraction.These two hypotheses give a complete and satisfactory
 explanation of aberration.The second hypothesis, notwithstanding its
 seeming improbability, must be considered as fully proved, first , by
 the celebrated experiment of Fizeau , and Secondly, by the ample
 confirmation of our own work.
 The experimental trial of the first hypothesis forms the subject of the
 present paper.

 光の光行差の発見は、すぐに放射理論に応じた説明が続いてなされた。
 その効果は、光速度をその軌道における地球の速度との簡単な合成に
 帰するものであった。
 (中略)しかし、その光行差は、水で満たされた望遠鏡で観測がなされた
 とき、変化しないということが実験により、証明された事実の説明に失敗
 した。なぜなら、もし、光行差角のタンジェントが、地球の速度の光速度
 に対する率であるならば、そのとき、水中にける後者の速度は真空中の
 速度の3/4となり、水中望遠鏡で観測された光行差は真値の4/3である
 べきであるから(*)。
 波動理論に基づき、Fresnelに応じて、第一に、エーテルは透明媒質の
 内部を除き、静止していると仮定し、第二にその中で、媒質の速度より
 比(n^2-1)/n^2,ここで、nは反射率 で減ずる速度で動くと仮定する。
 これら、二つの仮説は、完全で満足のいく光行差の説明を与えている。
 第二の仮説はありえそうにないように見えるにも係らず、第一にはFizeau
 の有名な実験により、第二に我々の仕事の十分な確証により、十分証
 明されていると考えなければならない。
 第一の仮説の実験試行がこの論文の主題をなしている

(注:*については、

 It may be noticed that most writers admit the sufficiency of the
 explanation accordingly to the emission theory of light; while
 in fact the difficulty is even greater than according to the
 undulatory theory. For on the emission theory the velocity of
 light must be greater in the water telescope, and therefore the
 angle of aberration should be less; hence, in order to reduce
 it to its true value, we must make the absurd hypothesis that
 the motion of the water is the telescope carries the ray of
 light in the opposite direction.

 大部分の著者は光の放射理論に応じての説明で十分であること
 を認めていることは留意されているかもしれない;一方では、実際、
 その困難さは波動理論に従うよりより大きくさえある。なぜなら、
 放射理論において、光速度は水中望遠鏡より大きく、それゆえ、
 光行差角は減じるべきである;これより、それを真値まで減じるた
 めに、我々は水の運動は、望遠鏡が光線を反対方向に動かすと
 いう不合理な仮説を作らなければならない。


と脚注で述べられています)

上記で、「波動理論に基づき、Fresnelに応じて・・・二つの仮説は、完全で満足のいく光行差の説
明を与えている。」というのは当時の主流派の見解でしたが、『静止エーテル』説が『部分引きず
り』説であったがゆえに、それを「不自然だ」と批判したStokesとそれを支持する少数派がいて、
議論されていました。彼らの指摘は、この文章が示すように、

 Fizeauの実験結果は『光行差』の観測結果を説明するためのhypotheses(仮説)
 のうちの第二の仮説を証明しただけのものであり、第一の仮説である『部分引
 きずり』説の証拠にはなっていない


というものでした。
私だけが誤解してそのように受け止めていたのかもしれませんが、多くのよくある説明から、てっ
きり「『Fizeauの実験』が『静止エーテル説』の実証証拠」だされたと思っていましたけれども、この
Michelosonの実験論文によれば、実際には、水封入望遠鏡での観測結果がそれまでの光行差
の説明を覆したためになされた仮説の一つ(上記の第二の仮説)を実証証明しただけだったとい
うことに留意が必要です。現にStokesらは、この第一の仮説である『静止エーテル説(部分引きず
り説)』に対抗して提出していた自らの『完全引きずり説』とFizeauの実験により実証された第二の
仮説と組み合わせて前述の光行差の説明を出していたのでした。
ですから、この実験は、その決着を図ろうとしたものであり、決して「エーテルの存在を確認する」
ためのものではなかったということは留意が必要です。

ただ、知らなかったのですが、Michelson論文の結論部分において、

 Stokes has given a theory of aberration which assume the
 ether at the earth’s surface to be at rest with regard
 to the latter, and only requires in addition that the relative
 velocity have a potential

 Stokesは地球の表面におけるエーテルは後者に関しては
 静止していると仮定し、ただ、付加的に相対速度はポテン
 シャルを持つということを要求する
光行差理論を与えた。


とあり、続けて、

 but Lorentz shows that these conditions are incompatible.
 しかし、Lorentzはこれらの条件は相いれないことを示して
 いる。


と述べられています。前に別のところで得た情報で、Lorentzが反論したと書いたのは、実にこの
ことだったんですねぇ・・・
そして、完全に読み落としていたのですが、

 Lorentz then proposes a modification which combines some
 ideas of Stokes and Fresnel, and assume the existence of
 a potential, together with Fresnel’s coefficient.
(※3)
 LorentzはStokesとFresnelのいくつかのideaを結び付けた修
 正を提案し、フレネル係数と一緒に、ポテンシャルの存在を
 仮定している。


と書かれていました。したがって、結論の最後に書かれていた

 If now it were legitimate to conclude from work that the
 ether is at rest with regard to the earth’s surface,
 according to Lorentz there could not be a velocity
 potential, and his own theory also fails.

 もし、今、仕事から、エーテルは地球の表面に関して静止
 していると結論つけることを正当化するなら、Lorentzにし
 たがえば速度ポテンシャルが存在できない、そして彼自身
 の理論もまた間違っている。


の"his own theory"というのは、(※3)のものだったということでした。私はちょっと早とちりしていた
ようです(^^;

さて、件の方の主張をかいつまんで紹介しておきますと、まず、

 不幸にも、その実験はnullとは非常に非常に遠かった。それは期待された
 値よりも小さかったけれども、完全な答え、エーテル風の速度はただ、期
 待値の1/3であっただけ
である。相対速度を干渉計の構成と結びつける
 やり方により、検出できるものは全て二次オーダ効果と称せられる何か
 である。このことは、主効果は主にキャンセルされ、より小さな効果[だけ]
 が残されていることを意味している。


とし、"False Claims(誤った主張)"のその一として、"The Experiment Was Null(実験
はNullだった)"
"に対し

 科学研究の種々の領域で用いられる最も共通の切り捨てポイントは5%
 域である。私はマイケルソンによって導かれた元のデータ解析に疑問を
 投じる一方、彼の解析は実験効果の1/6をこえず1/4以下であることを
 示していた。これは16-25%であり、”null”として受け入れられる基準を<
 よく超えている
。Arthur Eddingtonの話したり書いたりしたメディアでの
 繰り返しての告知のみがMMXを”null”として誤った繰り返しを引き起こ
 したのである。


と主張されています。そして、"The Readings Obtained were Within the Error of the
Experiment(えられた読み値は実験誤差内であった)
"に対しては、

 1887年の実験のみが科学的重要性をもち、その実験はnullないしは
 誤差内であったとして広く受け止められている。しかしながら、マイ
 ケルソンにより続きの論文で報告された誤差範囲は波長または干
 渉縞の1/100であった。彼が報告した高度に平均化され曖昧に比
 較された読み値は誤差レベルの4倍以上であった。実験の列デー
 タは誤差範囲の40倍で変化している読み値を示した

 ある実験家バイアスと適切な温度補正の欠如は、うまく、検出され
 た実際の信号以下の発表された結果を生じた。列データも適切に
 整理され平均化されたデータもどちらも「実験誤差以内」には近づ
 いてはない


と主張されています。

そこで、Michelsonの実験論文ではどうなっているかについて触れておきます。
冒頭で、「実は自分の中で完全には理解できていない点が残っていた」と書いたのですが、そん
な私のちょっとした理解不足を解消してくれる言葉がちゃんとありました。
 The difference is therefore
 If now the whole apparatus be turned through 90°,
 the difference will be in the opposite direction,
 hence the displacement of interference fringes

 should be (※4)
 それゆえ、差は、
 今、もし装置全体が90°回転されるなら、その差
 は反対方向となり
、これより、干渉縞の変移は
 
要するに、装置を90°回転させると、干渉縞の位置が反対方向となるという予測です。
実験自体は、装置を回転させ、円周上等間隔16か所の位置での干渉縞のずれをマイクロメータ
で測定していて、複数回回転したその干渉縞の位置の読み値の平均値は下記と示されています。

これから、Michelson論文では、

 The actual displacement was certainly less than the
 twentieth part of this, and probably less than the
 fortieth part.

 実際の変移は確かにこれの1/20より小さく、恐らく
 1/40より小さい。


と書いていますが、更に、ここがポイントですけど、

 But since the displacement is proportional to the
 square of the velocity, the relative velocity of
 earth and the ether is probably less than one sixth
 the earth’s orbital velocity, and certainly less
 than one-fourth.

 しかし、その変移は速度の二乗に比例するので、
 地球とエーテルの相対速度は恐らく地球の軌道
 速度の1/6以下であり、確実には1/4以下である


と書いています。件の方はこれを受けて前述のように書かれていたわけです。

そして、これも見落としていて、今回気が付いて驚いたのですが、Michelsonの論文には

 In what precedes, only the orbital motion of the
 earth is considered.
 If this is combined with the motion of the solar
 system, concerning which but little is known with
 certainly, the result would have to be modified;
 and it is just possible that the resultant velocity
 at the time of the observations was small though
 the chance are much against it.

 前提になるもとして、ただ地球の軌道運動のみが
 考慮された。
 もし、これが、確かにそれに関してはほとんど知
 られていないが、太陽系の運動と結びつくなら、
 その結果は修正すべきであろう
;そして、その機
 会はそれに多く反しているけれども、まさに観測
 時の結果として生ずる速度が小さいことが可能

 ではある。
(※5)

とちゃんと書いていました。当時は、まだ太陽系が銀河系に対して動いていること自体不明で、ど
ちらにどんな速度で動いているかなどは観測結果がなかった時代ですが、どうやら、太陽系全体
が動いているのではないかというような予測は既に当時あったらしいことを伺わせる一文です。
そもそも、この実験は1887年になされたものであり、19世紀においては「光は『波動』である」とい
うことが確定し、それゆえ、「波動は伝達する媒質が必要」ということで、性状自体は不明なまま、
その媒質を「光学エーテル」と考え、更にはFizeauの実験の結果主流説は(※2)という「静止エーテ
ル説(部分引きずり)」となりましたが、「静止エーテル系=絶対静止系」と言う考えだったと思われ
ます。少なくとも19世紀まだは、Newtonの「絶対空間・絶対時間」の概念が普通の科学界の一般
常識でしたから。但し、Michelsonの「前提になるもとして、ただ地球の軌道運動のみが考慮され
た。」という前述の記述のニュアンスから、「とりあえず、『太陽静止系=静止エーテル系』と仮定
して、実験理論予測値を求めた」とも読めます。以上は完全な当時の科学界における詳細な議論
についてのものを目にしていませんので私の推測でしかありませんが。

ま、いずれにしろ、大半の教科書・本・科学者解説において、この「マイケルソン=モーリー実験
の結果は"NULL"だった⇒光速は一定だった」と述べているだけで、この実験論文については、
せいぜい装置の図をコピーして試験方法を示していればまだいい方で、全然内容の詳細検討等
など解説されているのを目にしたことがありませんでした。そんな中で、ここで取り上げているサ
イト記事から1920年代に後からアメリカ物理学会長を歴任されたDayton Miller博士がその試験
方法と結果を分析し、自らも膨大な追加実験を行ってそのデータと論文を提出していたことを知
り、驚きの中で、これはどうしても速攻で事実情報として拡散しておかねばという思いから、中途
半端な読み方と理解だけで冒頭で示した記事を書きなぐってきたのでしたが、(※5)という重要な
文言を見落としていたことをこの記事を書き始めるまで気が付かずにいた私でした(^^;、
既に指摘してきたように、この実験論文の中にはどこにも「結果は"NULL"だった」などとは書か
れておらず、以上示して来たように、実験結果による彼の検討結果での主張なるものは

 @地球とエーテルの相対速度は恐らく地球の軌道速度の1/6以下であり、
  確実には1/4以下
 A(この結果が実験理論予測値よりかなり小さくなったのは、その)前提
  になるもとして、「ただ地球の軌道運動のみが考慮された」からであ
  り、太陽系の運動と結びつくなら、その結果は修正すべきであろう。
  そのとき、観測時の結果として生ずる速度が小さいことは可能
 BLorentzが提案した「静止エーテル説」と「完全引きずり説」の折衷
  案(みたいなもの)は間違いであった


というだけことです。私が注目しているのはAです。
実は、私的には、続・相対性理論への疑念(18)〜Dayton Millerの論文@〜で紹介した、この実
験結果を受けてケルビン卿が当時の科学界に投げかけた、「誰か、"Ether drift"検出を精確にや
ろうとするする人はいないか」というような呼びかけがあり、Dayton Millerがそれに応じて膨大な
実験をやったことの本質的な背景が、これで理解できたのです。ケルビン卿もそうですがLoretz
も理論家であり実験家ではありませんでしたね。LorentzはAをどのように考えたのかわかりませ
んが、FitzGeraldの提案したad-hocな考え方を踏襲し、実験結果を"NULL"とした上で"Lorentz
Ether Theory"を2回にわたって提出し、それが結果的にEinsteinの"Special Relativity"へと「化け
て」しまって、それまでの検討を全部捨ててしまうことになり、現在に至っているわけです。
だからこそ、私は、殊更、前述のように、

 M.M.実験の結果は"NULL"ではなく"NON-NULL"だった!!
 この実験結果を"NULL"だとして導出された"Lorentz Ether Theory"も
 "Special Relativity"も共に間違っている!


と声を大にして主張してきているわけです。そして、このことに詳しく言及されているのは私の検
索の中では、本項で取り上げているサイトくらいしか目にしておりませんが、是非このサイト主さ
んが述べているように、大変僭越ながら、そこにpdf版が付属されている、Michelosn Morley
Experimentの論文
 "On the Relative Motion of the earth and the Luminiferous Ether"
及びDayton Millerの論文
"The Ether-Drift Experiment and the Determination of the Absolute Motion of the Earth"
を一度読んで判断していただきたいと存じます。

さて、Dayton Millerの実験を高く評価されている(私も同意しますが)当サイトでは、Michelson実験
自体の不備とMichelsonの結果分析に対して批判の目を向けられていて、最初からの独自の前
提を示され、Dayton Miller実験理論も考慮して、それに従ってのM.M.実験の再解釈をされてい
ますので、以下に紹介しておきます。この「前提」はMichelsonとかDayton Millerが直接示している
ものではありませんのでご留意ください。

それについては、"General Concept"というサブタイトルの中で述べられています。
まずは、そこの冒頭で、

 There are certain basic assumptions that the experimenters
 had that greatly affected the outcome and interpretation
 of the experiment. You must be aware of all of these and
 their implications to fully understand the experiment.

 実験家が実験の結果と解析に大きく影響するある基本的な
 仮定がある。あなた方は、実験を完全に理解するために、
 これらすべてとそれらの解釈に注意を払わねばならばない。


と述べられています。そもそも、この方は、この記事が含まれている"Experimrent"の冒頭で、

 It is easy to see "experimental evidence" as "the truth" but
 the truth is not a fruit so easily reached. More often than
 not, the data gained from an experiment is tainted by the
 experimenter himself. This is called the "experimenter effect"
 or "confirmation bias". In some cases, a better nomeclature
 might be "the accidental illusionist" effect; especially
 when it comes to Special Relativity.

 「実験的証拠」を「真実」として見るのはたやすいが、真実は
 そんなに容易に到達される成果ではない。
 たいてい、実験から得られたデータは実験者自身によって
 汚染されている。これは、「実験者効果」または「確証バイア
 ス
」と称されている。ある場合、よりよい述語は「偶然の手品
 師」効果かもしれない;特に、それが特殊相対性理論に帰す
 るとき。


と述べられているような信条の方ゆえの批判ではあります。
引用は省略しますが、典型的な例として"Ives-Stilwell experiment"というのを挙げられています。
これについては、"Garbage in - Garbage out ...(ゴミを入れればゴミが出てくる)"と揶揄
されています。
私も2009年の1月に"Special Relativity"に疑念を抱いて以来、色々と科学に関してネットサーフィ
ンするようになった中で、同じような考えを持つようになりましたので、この

 More often than ot, the data gained from an experiment is tainted
 by the experimenter himself.


には完全に同意しています。本コーナーで殊更「実証観測第一主義」を標榜してきていますけれ
ども、その結果に対して、「客観的」でなく往々にして「主観的解釈」がなされてきたことについて
批判的見解を示してきました。

件の方は、"Ether"を排除した20世紀物理学ではなく、"Ether"が普通の知見であった時に戻って
説明を試みようという立場であり、まず、次の4つのassumption(仮定)から始められています。

(1)Light propagates in a medium called ether.(today called Aether)
 Light is not an entity itself nor does it have particles any more
 than sound has particles. It is a disturbance of this medum that
 occurs at a specific speed in relation to that medium
.

 光はetherと称せられている(今日ではAetherと称せられている)媒
 体内を伝搬する。光はそれ自身実体ではないか、または音が持つ
 粒子以上の粒子は有していない。それはその媒体との関係において、
 特定速度で生ずるこの媒質の乱れである。


(2)Ether is a universal reference frame that has specific coordinates.
 All of the bodies in the universe move in relation to this one
 singular coordinate system
.

 エーテルは特定の座標系を持つ普遍的参照系である。宇宙におけ
 る物体の全てはこの一つの単独座標系に関して動いている。


(3) The earth moves with respect to the sun at a speed proven by
 astronomy and that speed is ~30 km/s.
.

 地球は太陽に関して天文学によって証明された速度で動いてい
 て、その速度は30km/sである。


(4)The solar system as a whole is travelling toward some place in
 the galaxy
.

 太陽系は全体として銀河系のある場所方向に移動している。

この(4)はMichelson自身が(※5)と言っていて、Dayton Millerは論文内で自身の観測結果からそれ
を逆に推測しているものです。当時はまだ観測されていなくて、普通の科学常識にはなっていない
時代でしたが、"Ether"の存在を信じれば、実験結果からこういう推測が出てくるのは別におかし
いことではない気もしますけど、Lorentzらはそれを考えなかったのでしょうか??

で、件の方は、上記(1)〜(4)の仮定から、"purpose(目的)"自体として

 実験の目的は太陽系が全体として銀河を通って動く方向と速度を
 決定しようというものであった。地球、太陽系、銀河などの成分
 運動が普遍的参照系に関しての非常に大きな速度に加わるので、
 大変大きな影響が検出されるというのが完全な期待であった

 この静止系というは全く僭越なものであるが、その時の支配的見
 地であった。


という独自論を出されています。そして、

 その試験は実際にはnullとして返されたのではないけれども、そ
 れは期待されたものではなかった。多くの人は、その結果は全て
 の場合において、機構誤差内だと主張しているが、これはDayton
 Miller実験においてはまさに確かに真実ではなく、同様に、我々
 がそれを全ての証拠に照らし合わせてみるとき、他の(実験に)お
 いても真実ではない


と述べ、

 残念ながら、問題は実験についての期待に置かれている。我々
 がほとんどそれについて何も知らない媒質に関する多くの仮定
 がある。電磁波は物体を通して進行する;このことはエーテルも
 また、物体を通して進行することを意味していないか?物体は
 完全に透明なのかまたはある程度エーテルと干渉するのか?


と続けています。

次に"Entrainment"というサブタイトルで以下のようなことを述べられています。

 エーテル風がなぜ期待されたものより小さかったかに対する提
 案の一つは、恐らく物体がエーテルを概ね引きずっているとい
 うものであった。完全にエーテルに対して非透過で、それを周
 囲に引きずるだろう。(中略)
 興味深い理論である一方、それはそれがどのようにしてそれを
 通る物体の速度を遅くするかのような多くの理由とは類似して
 いないように見え、我々はこれの証拠があるとは信じられない。
 加えて、エーテルを引きずろうとしたり、その引きずりをこの
 レベルで検出しようとするいくつかの試験があった。これらは
 全て否定的結果であった。


これについては私も存じています。そして、

 Dayton Millerは実験を金属ハウジング内に封じ込み、実験を
 地階で行うことがほとんど確実に実験効果を減じるだろうと信
 じた。このことが、他の実験家を超える細かな結果に対する
 彼の推論であった。


と述べています。

もう一つ、別の解釈を紹介されていて、引用しますと、

 より新しい思考の学校は、物体近くのエーテル流は重力等の一
 部だというideaに対して学ぶ。この最新の概念は、MMXとMiller
 の両者により検出されたエーテル風は、「引きずり」が磁気圏に
 よって生じるかまたは幾分密接にその中に含まれていることを
 示している南北方向に流れているように見えたという事実の周り
 に集中している。これは、その風が元々期待された方向とは完
 全に反対である


これは知りませんでした。

いずれにしろ、件の方は、次に、MMX実験で期待されたことに対し、

 Wrongful Expectations

と批判され、

 What should have been expected?

として、実験の詳細な説明・解釈と自論を展開されていますので、これも引用しておきます。

direction(方向)
 まず、その風が地球の運動により生ずるなら、北側の視点から
 太陽系を見るとき、地球は太陽の周りを反時計回りに回転して
 いる。このことは、正午にはその風は西から吹き、真夜中には
 その風は東から吹く
ことを意味している。今、物体はエーテル
 に対して透過か非透過かについてはあなたの判断に任せるとし
 て、6時は北/南の風か全く吹いていないかを示す、なぜならば、
 その風は直接頂点からやってきていずれかの脚の通路に沿っ
 ては流れないから。マイケルソンは地球が非透過であることを
 期待し、6時には北/南の風をそこに期待した。これが、彼の試
 験が正午と6時になされた理由である


これを私は自分の理解のために図にしてみました。

「正午にはその風は西から吹き、真夜中にはその風は東から吹く」というのは下図でしょう。


「マイケルソンは地球が非透過であることを期待し、6時には北/南の風をそこに期待した」という
のは、太陽側から見た下図でしょう。


magnitude(大きさ)

ここではまず次のような指摘をされています。

 もしあなたが天体観測から地球が太陽を回る速度が何かを
 知っているなら、地球が太陽を回る速度を決めるのは簡単
 なことであり、それは〜30km/sである。これはまさに、マイ
 ケルソンによって考えられ期待された速度である。

 しかしながら、一つの大きな考察が見過ごされているように
 見える、それは"helicopter effect"と呼ぶことができよう。
 (これは、全太陽系が動いていることの考察である)。ヘリコ
 プターが前に飛ぶとき、羽根は両側で異なる風速を経験す
 る。もし、例えば、ヘリコプタの羽根が約50マイル/hrで回転
 していて、その航空機が50マイル/hrで前に飛んでいるとす
 ると、羽根の先端における風速は一方側は100マイル/hrで
 他方は0となるであろう。この試験がわずか3日間行われた
 だけであるという事実と結びつけると、エーテルが存在して
 いてさえnull結果を示すことはまさに可能である


その上で、MichelsonとMorleyは何を観測したかについて書いています。

 彼らは干渉縞と称せられる縦じまを見ていた。(中略)
 観測経路が風の中で回転するにつれて、交差する光線
 (cross beam)は他方の「前に進み」、その線[群]は一方側
 に移動する。そのとき、交差する光線(cross beam)が風路
 の中に移動するにつれて、それは観測されたものより遅れ、
 縦の線は他の方向に動く。
 明らかに、このことはあるランダムな動きがあるのではな
 く、しっかりとした前後のスライドがあること、そして装置
 の完全1回転の間、2回前後に動くであろうことを意味し
 ている。それは、十字形装置が360°回転するにつれて、
 左それから戻って右、それから左そして戻って右と言う全
 ての経路である。

 期待されたものは、完全な干渉縞/線の路が一組の線間
 の距離の0.8倍として測定されることであっただろう。その
 ことは、中心からのスペースの0.4倍左へ動きそして右へ
 0.4倍動くこと、完全な1回転の間にこれらの端の各々を
 2回到達することを意味している。


ほぼ直訳であり(と言っても私の和訳があやしいかも(^^;)「観測経路が・・・他の方向に動く」というところ
の原文は、

 As the observed path was rotated into the wind, the cross
 beam would "get ahead" of the other and the lines would
 shift to one side. Then as the cross-ways beam shifted
 into the path of the wind, it would fall behind the observed
 one and the vertical lines would move to the other side.


となっています。装置の回転につれて、二つの直交する光路が最初の方向から回転していくとい
うことはそれぞれの「エーテルの風」に対して角度が変化することになりますので、そのことを言っ
ているものと解釈しました。回転角度が45度の位置では両方は同じ関係になり、そこから90度
までは両方の光路とエーテル風との関係は逆の関係になります。

これは、「静止エーテル」を仮定しての理論的な推測でしたが、

 彼らは実験誤差を見積もるのにより多くのデータを好ん
 だので、装置を何度も何度も回転し、等しい成分の全て
 を平均化した。これは、これらの読み値がグラフ上にプ
 ロットでき、もし実験されたすべてがランダム誤差であ
 るなら、明らかとならないようなまさにサイン波状を示
 すべきであるので重要である


と主張されています。Dyaton Millerもこの「サイン波状を示した」ことを重要視してました。
そして、

 この実験の残念で理解しがたい部分は、その見積もりが
 干渉縞の0.4であるにもかかわらず、0.04の読み値が1/10
 の大きさないしは速度の読み値ではなかったことである。
 この読み値は2次オーダ効果と称せられる何かであり、数
 学の二乗性質ゆえに実際の速度における非常に小さい差
 が非常に詳細な読み値のサイズを変えることである。
 〜30km/sの速度が0.4の読み値に等しい一方、〜10km/s
 の速度はわずか0.04の読み値を与えるであろう。


と述べたうえで、

 それらの理解の欠如ゆえに、多くの人々は、その結果は
 見積もりサイズの1/10であるというマントラを繰り返して
 いて、あなた方は、今、この論述が真相では、いかに事
 態の大きな誤表現であるかということを見るべきである。
 けれども、最も重要なことは、ランダム様相の代りに期
 待された風に読み値が変化したという事実である。
 実験技術における多くの誤りがあってさえ、正弦波状
 パターンをまだ見ることができる


という指摘をされています。

そのあと、続いて、"Experimental Errors and the Experimenter Effect"と題して、M.M.実験に対
するMichelsonのデータ分析に異を唱えられていますので、引き続き引用紹介します。

まず、"Temperature"として、

 初期の干渉法における最大の誤差は温度変化によって生じた。
 装置の膨張・縮小は、非常に小さいが、その結果を変えるに
 は十分である。マイケルソンは、干渉計の発明者であるが、
 彼自身の装置を働かせることにおいてそれほど対処の経験を
 有していなかった。多くのその後の実験、特にDayton Miller
 によりなされた1万のものは温度変動の考慮の必要性を晒した。
 ミラーの干渉計は、マイケルソンのものが約6分で回転するの
 に対し、1分で約1回、回転した。マイケルソンのものは、ま
 だ、早い率であるが、恐らくミラーのものほど信頼性はない。


と述べ、更に、

 マイケルソンのデータについて非常に奇妙なことは各々の回転
 の後に、初めのスロットの余分の読み値が置かれている一方、
 それは結果を合わせるのに用いられていなかったことである。
 たとえば、もし、16個の読み値があってその読み値が、読み
 値の最初における点に対して「10」であるが読み点の周りに全
 回転するとき、その読み値が「15」であるなら、あなた方は回
 転時間中に5ポイントの温度ドリフトが生じているとみること
 ができる。その変化が一定で、無方向性であるとすれば、温
 度誤差は、リニアで直観的な方法で読み値から簡単に削除
 できる。


と続け、

 マイケルソンは、その誤差が彼のデータで明らかである一方
 で、それを訂正しようと試みなかった。誤差が残っていたば
 かりか、異なる温度(一つは上昇、一つは下降)での対比した
 誤差を一緒に平均化した。温度の考慮の欠如は彼の解析の
 厳密性を大きく損なった。


と批判されています。ただ、その後で、

 幸いにも、それらは各々は修正されるべきですでに異なる温
 度誤差の可能性で品質低下をしているにもかかわらず彼のオ
 リジナルデータのいくつかが我々に対して処理するべく残され
 ている。


と述べ、実験データの再分析の可能性を示唆されています。

次に、"Micrometer VS Estimation"として、Millerの方法との比較について詳細に述べています。
その違いを引用しておきますと、

 干渉縞(線)の変移量を測定すため、マイクロメータが視界の
 中に置かれ、各々の読み点において干渉縞の中心になるよう
 に調整されマイクロメータの読み値が書き下された。
 一方、ミラーは視界内に不動中心マークを置き、読み手は干
 渉縞中心が干渉縞の10倍の点からの距離を見積もった。
 ちょっと見では、前者の方法が後者より優れているけれども、
 この直観は真実からはなはだ遠い。


"Micrometer"はM.M.実験でなされた方法、"Estimation"はDayton Millerの方法というわけである。
その理由として、

 ・マイクロメータのねじを回して装置に当てると言う問題
 ・干渉縞の物理的サイズは、取られた測定が変えられていない一方で、
  装置がリセットされる各々の時間と同様、温度で変化する問題


を挙げています。Dayton Millerの実験では

 装置の窓の中にマークを置き、平均が「同一条件であるよ
 うに」干渉縞の1/10で視的見積もりをした;
 それは、また、装置に触れないようにした。ミラーが観測
 者の見積もり誤差を消去するためにとった、純然たる膨大
 な読み値と結びついている各々の個々の読み値についての
 温度ドリフトを取り除くことは、ミラーがどれだけ多く
 エーテルドリフト実験技術を進めてかを示している。


として、M.M.実験に対してより優れた実験であることを強調されています。

Dayton Millerの論文を読めば明らかですが、Millerは殊更「温度ドリフト」の影響には気を使い、そ
の影響を見極める実験さえやっています。明らかに、Miller実験とその論文に焦りまくったらしい
EinsteinはMillerによれば、「論文を読みもしないであやこや言ってくる」ので放置しておいたら、勝
手に「温度ドリフトの影響だろう」と決めつけたようですが、事実は全く異なることに留意すべきで
す。で、Dayton Miller自身が、M.M.実験データの再分析を行い、自らの結果と合わせて論文内で
示しています。再掲しておきます。
 
 1887年のMichelson-Morley experiment結果(arranged by Miller)

これについて、件の方は、

 各々の組の長い波は、異なる三日で、それぞれの日に6回
 回転させての、干渉計を360度完全に回転しての平均値
 を示している。マイケルソンによってなされたように、二
 番目の短い波はその読み値の最初と二番目の半分の平均で
 ある。これは各々180度は干渉縞変移の決定において等
 価であるのでなされた。


と補足され、更に、これにMM実験で期待された読み値の理想的変化を重ねたとして下図を掲示
されています。
 

そして、

 大変特筆すべきことは、この「null」実験に置いて、我々
 は風に期待されたように厳密に読み値が上昇・下降して
 いるのを見る。このことは、それ自身によって、非ゼロの
 風の検出の明確な証拠である。


と結論づけられています。勿論、Dayton MIllerの色々な条件を排す形での膨大な実験はそれを
確実に示していましたが、M.M.実験も実験の厳密性は劣るものの、Michelsonの分析が不十分
だっただけであり、きちんと再分析すれば、同様の結果を示していて

 エーテル風に期待されたように厳密に読み値が上昇・下降していて
 これは、非ゼロのエーテル風の検出の明確な証拠である


という件の方の主張には説得性が十分感じられますがいかがでしょうか?

1905年にEinsteinが"Special Relativity"を引っ提げて科学界に登場し、彼のその時の発言から、
たちまちのうちに、"Ether(現在は"Aether"と表記されています)という語彙はタブー視されてしま
い、それまで盛んになされていたそれに関する「理論的研究」はたちまちのうちに途絶えてしまい
ましたけど(sagnyac、Michelsonなど"ether"の存在を是とする実験物理学者らはその後も色々な、
それを検出する実験を行いましたけど、ちゃっかり"Einstein's supporter"らが勝手に解釈論で、
"relativity"の証拠扱いしてしまいました)、上記の分析グラフは、「エーテル」なる媒質がなく、
EinsteinのpostulateUが正しいなら絶対に出てくるはずがない実験観測結果ではないでしょうか?
そして、数値的な話は、元々の実験理論が、太陽系自体の運動を考慮していないものであった
だけと言うことは間違いない事実であることも留意すべきです。

要するに、

 マイケルソン=モーリーの実験はエーテルを否定
 するものでもEinsteinのPostulateUの実験的証拠
 でも金輪際なかった!


ということに他なりません。
当時の科学界は"Special Relativity"に魅せられてしまい、こういう事実を無視してきただけなの
です。綿々と誑かされ続けて来たというわけです。
海外では、どんどん"Relativity"のおかしさに気が付いて積極的に発言するscientsitsが増えてき
ている感がしています。一方で、"relativists"は当然として"Einstein's supporter"は十年ひと
昔の説をマントラみたいに唱えたり、繰り返し引用したようなとんでも解釈でほころびを取り繕う
など必死になってこの理論を宗教の神聖な教義であるかのように堅守しようとしていますね。
そして、前に紹介したようにYouTubeにありますが、大学内では、そういうEinstein's supporter"が

 ♪We all believe in Relativity,Relatvity,Relativity・・・

とまるで「讃美歌」か「お経」のように歌ってますなぁ・・・

 ('17/1)

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