この1861年の論文の第一章は"The Theory of Molecular Vortices applied to Magnetic
Phenomena(磁気現象に適用された分子渦の理論)"となっています。
彼は、当時まだなされていなかったFaradayの発見した電磁誘導現象等の数学理論化を抽象的
なものではなく、物理的に意味をなし、その理論が次の実験観測のヒントになることを目指して
数学理論化を試みた(マックスウェルはどう考えたのだろうか?C〜1855年頃の最初の論文から
(1)研究姿勢〜で触れたように1856年の論文の前書きで述べています)のでしたが、その数学理
論化に置いては、確立している既存の物理理論からのアナロジー(analogy)を使いました。
当時確立していた「物理学理論」というのは、所謂「力学(Mechanics)」であり、これをベースとし
ての「物理的アナロジー」で数学理論化を図ったのでした。これは既に、ケルビン卿(W.Thomson)
が熱流理論に適用した手法でした。Maxwellの論文のそこかしこに、Professor Faradayとこの Professor W.Thomosonの名前・引用が出てきていますので、この二人から大きく影響を受け
ていたことは間違いないでしょう。
とし、「力線(line of force)」に言及しています。
彼のいう「力線(line of force)」は「磁力線(line of magnetic force)」であり、今でいう「磁界
の強さH」の値に相当する概念を「磁力(magnetic force)」と称しています。
誰でも知っている磁石の近傍でのばらまかれた「鉄粉」が形成するあの形に言及し、