私が思うSTAP騒動の問題点(’16/4)

本騒動については、本コーナーでは「科学も主観の世界であった」ことを示したSTAP騒動で、
そして、もう一つのコーナーでは、事実だから反論できないのか<「あの日」で触れましたが
それらとの輻輳もありますけど、改めて今、私自身が感じていることをまとめておきたいと思
います。

私は、STAP細胞騒動の最大の問題点は、喧伝されてきたこととは異なり、「科学」に関するも
のでありながら、その実は、

 『純粋な科学論議』などではなく、人間が織りなした
 極めて『世俗的な論議』に成り下がっていた


ことにあると思います。

私は、これを騒動発端当初から強く感じてきました。なぜなら、ネットに書き込まれた論文にお
ける「コピペ」指摘がたちまちのうちに、ネット界において、小保方さんへの総攻撃となり

 STAP細胞などありえなく、彼女の捏造論文なのだ(※1)

という決めつけ罵倒攻撃の嵐を呼び起こしたからです。そのとき、まず私の頭の中に浮かん
だ疑問は既に書きましたように、

 証拠も示されておらず、まして直接関係者でもないのにどうして捏造だと
 決めつけるのか?


ということでした。そして、本コーナーでは散々書き連ねてきましたが、今の私の中では、もう既
に、

 『科学society』というのは決して信じられているような「合理的で神聖な
 世界」などではなく、「極めて人間的−主観的・世俗的−世界」である
(※2)

とが明らかになってしまっていましたので、彼らの口調・内容から、直観的に、

 ネットで攻撃している方達の大半は『科学コミュニティ』に属している方達
 だな


と感じました。そして、大変失礼ながら、これは、発表時にマスコミ・メディアが大騒ぎして「ノーベル
賞候補」などと彼女を持ち上げたことに対する「反感」「そねみ」「ねたみ」が、小保方さんが30才そ
こそこの若い、私大出身のしかも女性研究者であった(しかも、そのような方が理研のユニットリー
ダという地位にあった)ことも重畳してこういう理不尽な罵倒攻撃をさせているのだろうと感じたので
した。更には、ネットの怖さですが、ネット上に、彼女の高校・大学時代の言動がまことしやかに暴
露され、それが膨らんで、ネット上では、早い時期からすっかり、

 彼女は元々嘘つき女であり、だからこそ、STAP細胞も研究捏造なのだ(※3)

という勝手なレッテル貼りが定着してしまったのでした。

そういう風潮がネット上だけにとどまればまだよかったのですが、一応「科学」を専門とする、「科学
記者・科学ライター」などが中心となった一部大学教授も含む日本の「科学ジャーナリスト」達が中
心となって、マスコミ・メディアを使ってそういうレッテル貼りを増長し、何度も言いますが、偏見と、
歪んだ正義感から、(※1)、(※3)でストーリを描き、そのストーリに都合のいい事象・発言(明らかに
彼女に対する悪意のあるいんちき発言までも)を集めて、そのストーリがいかにも真実であるかの
ように言い立てました。結局、諸般の事情を抱えていた理研は明らかに組織防衛のために、迷走
した挙句、矛盾した発表で、小保方さん一人をエスケープゴートにし、強引に幕引きを行い、一方早
大はそういう風に迎合して極めて不公平・不公正な形で彼女の博士号を剥奪してしまいましたね。
そして、この騒動の最大の悲劇は、世界的研究で分子生物学の発展に多大な貢献をされた優秀な
科学者を自殺に追いやったことです。笹井さんはどうみても、マスコミ・メディアの世俗的攻撃そし
て理研を含む日本「科学コミュニティ」と科学者としての良心の狭間で追いつめられたんだろうとし
か思えません。しかしながら、「盗人猛々しい」というか、それさえもネットを始めとして、小保方嬢の
せいにしてきています。さすがに、笹井さんを自殺においやる直接要因だとささやかれている、公共
放送なのに、一方的な小保方さん・笹井さん攻撃のけしからん印象番組をしたNHKはBPOにかけ
られています(私は、あんな、完全中立性が疑われるお手盛りのような組織は信用していませんが)
けどね。

さて、この問題は、本来、二つのものをごっちゃにしてしまったことにあると思うのです。それは、

 @科学論文のあり方
 A研究自体捏造だったのか


であり、本来これらは分けて論じなければならないと思います。

有名なベル研究所のシェーンによる高温超電導は、実験せずにデータ捏造していたのがばれた事
件でしたし、世界的に有名で世界中からポスドクが集まっていた生命科学の権威が立てた仮説を
他の誰もできなかったのに、地方大学での大学院生が次々に実験で証明し博士号確実とされたの
が、実はその男が全てねつ造実験であったことがばれた事件でした。実行犯は共に逃走していま
したね。それと比較したとき、未だ、小保方さんが一人で研究(実験)捏造したというような、絶対的
証拠など全然出てきていないわけです。
結局、@の論議が、極めてずさんな「情況証拠」と「決めつけの推測」だけでAにまで昇華されて
しまった(「科学も主観の世界であった」ことを示したSTAP騒動のarticleで、ネット上にて、出てきて
いた発言・理研の発表内容から時系列的に解析されてそういう結論は出ないことを示している方の
ことに触れました)わけです。但し、私が一番不快感を感じたのは、そういうきちんとした分析もせず、
ネット上で最初からあった根拠なしの(※1)であるかのような印象言動をしたり、確実にAと断定でき
できないためか(どうやら、彼らにとってはAの真偽などどうでもいいらしく−はっきりあろうとなか
ろうとそんなことはどうでもいいというような発言をしている大学教授までいるそうです−)、殊更、
「科学リテラシー」を前面に打ち出して@を過大に問題視し小保方攻撃してきた科学ジャーナリズム
でした。最も私がいらっ〜としたことは、そういう事を殊更問題視して小保方さん攻撃をする彼らに
不快感を感じた一般下々に対し、見下したように、「科学と科学界の厳粛性(みたいなもの)」を一
般の人々は知らないからそう思うのだと断定したりしていたことでした。
私などは、それこそ「よくそんなことが言えたもんだ、馬鹿め(怒)」という悪感情しかでてきませ
んでした。彼らの言う「綺麗ごと」など、実情を知ってか知らぬかわかりませんが(どうも、中部
大学の武田教授の音声ブログで述べられたのが事実なら、研究業績なしの教授とか、低レベルの
論文しかない教授らしい)彼らの脳内にある「理想論」でしかなく、本質的な「科学研究」とは直接関
係ないものだからです。現に、最初に問題視された「コピペ」など当の理研調査委員長さえしていた
ことがすぐにばれ、また、早大でも彼女だけではなく、沢山のドクター論文の修正があの後でおこな
われましたよね?その時、科学コミュニティはどういう処置をしましたか?明らかに不公平・不公正
な処置をしたではありませんか?前にも書きましたが、外国人科学者が、日本から出てくる英語の
科学論文なんてコピペまるけだと証言してますよ。
要するに、実情はそんなものであり、小保方さん一人を吊し上げる話でもなんでもないのです。

もっと言いますと、これは既に、続・相対性理論への疑念(22)〜更なる虚像の証拠〜でも指摘しま
したが、本来、科学の本質から見たらミスでしかないような大した話でもないことを殊更、「剽窃」と
して問題視するなら、

 あななたちは、Eisnteinが1905年に出した論文の基本的概念が悉くPoincaré
 が前年までに示したもののパクリでそれをreferenceとして一切示さなかった
 という驚くべき「剽窃まみれ」のものだったことなど知らないだろう


と言いたいのです。彼らが喜び勇んでメディアに登場して滔々と語っているいかにも「正論」なるもの
は、いくらえらそうに一般下々を見下すように宣おうとも、科学者も人間であり、それを悪いことだと
いうのなら綿々と世界の科学界で蔓延してきたことにすぎないのです。この方たちは恐らく真の科学
史など調べたこともないのでしょうね。勿論、「背信の科学者たち」など読んだこともない(絶版に
なっているそうですから読めないかもしれませんが、ネット上で重要な引用をされているサイトがあ
りますよ)でしょうなぁ。自分でそう信じているのかもしれませんが、一般下々を見下して誑かすのは
やめてもらいたいものです。彼らの言説など、「ちゃんちゃらおかしいわ」です。

ですから、本来の問題はAなのです。研究捏造こそ、科学にとっては最大の裏切り行為のものです。
しかしながら、本問題では、小保方さんがSTAP細胞を捏造したという直接的・絶対的証拠など一切
出てきていません。そして、一番けしからんのは、「あの日」の中で書かれているように、小保方さん
が発見したというのは、「STAP現象」であり、万能細胞としての「STAP幹細胞」を作ってそこの論文
を担当したのは彼女ではなく現Y大学のW教授であることをきちんと報道しませんでしたよね?そし
て、亡くなられた笹井さんは、それを見て確信した上で、却下されてしまった論文を通りやすく書き
直されただけなわけです。そういう事実は何か隠されたというか矮小化されてましたよね。

そして、情報が最初から偏向していたのか、私自身、事情がよくわからず、「本当にねつ造なのか」
それとも「見間違い・思い込み」だけだったのかという前に抱いて示していた疑問も、

 小保方さんが一人で実験し、一人で論文を書いたのではない(※4)

ことがはっきりわかった今、特に、小保方さんが発見したと主張されている「STAP現象」は彼女の
「見間違い・思い込み」という言わば「確証バイアス」などではないと断定してもいいのではと思いま
す。そんなものだったら、次のステップなどには進むはずがないわけですから。
しかし、どうしても、(※1)、(※3)だとしたい「反小保方」勢力は、ES細胞混入⇒小保方ES細胞窃盗
説をまことしやかに広めましたね。そんな証拠など結局見つかりませんでしたし、時系列的事象解
析から決してそれは証拠立てられないことを説明されているブログもありました。そして、後から
直接当事者でもない輩がなした兵庫県警への告発も結局、その証拠も出ずに捜査終了しましたね。

いずれにしろ、現在、「小保方さんがSTAP現象を捏造した」「思い違いをした」という証拠など、全然
ないことは明白ですね。恐らく、彼女は「研究捏造」については「冤罪」であり、彼女がしてしまったこ
とは、科学の本質とは直接関係のない、実際には蔓延していて見逃していただけに過ぎないような
そして、今回なされたように明らかに不公正・不公平で恣意的運用がなされている「科学むらの掟」
で、どう見ても「微罪」でしかないもの(刑法で云えば、例えばけ「立小便」のような軽犯罪法違反−
執行猶予中なら則、入獄されるそうです−)で、確固たる直接証拠もないまま、死刑宣告(研究捏造
犯扱いで不公正な形での博士号はく奪⇒日本科学コミュニティからの追放)としたものだという事で
す。

ネット見ていますと、

 世界の科学者が再現できていないから、やはりSTAP細胞はなく捏造なのだ

というようなことをいう方達がいます。しかしながら、これの真実は「正論」ではありません。 勿論、

 研究捏造⇒再現しない(※5)

のは当たり前のことですしかしながら、逆は必ずしも真ならずで、

 再現実験がうまくいっていない⇒研究捏造だ(※6)

と言い切れる絶対的証拠はないのです。現に、ネット上では、特に、医学・生命科学分野ではなか
なか再現性を得るのは難しいと書いている方達もおられます。要因として多分に「レシピ」もあると
思います。簡単にできるなら誰でもすぐに発見できるだろうというもっともな意見もあります。
更には、この事件とは違いますが、隠されているため知られていないのですが、「再現実験で再現
しなかった」という報告に、科学コミュニティ主流派の思惑にゆだねたような不正が入っていたもの
もあるようです(⇒New Inquisition(新しい異端審問)

ま、小保方さんは、全文英文のホームページ"STAP HOPE PAGE"を開設し、そこで、レシピの一
部を公開されているようです。私は、全文英語ということと、ホームページの趣旨から、彼女の強い
意思・意図を感じました。「捏造研究者」として追放してしまった日本の「科学コミュニティ」や、
「科学ジャーナリズム」など相手にはしないという意思を。世界は広い、海外ならしがらみのない真
の研究者が興味を抱いて研究の継続をしてくれる方もいるだろうという願い・希望が込められてい
ますね。確信的捏造犯なら普通は逃走してしまってやれないことですね。

極めてけしからん記事を目にしました。趣旨は、

 ホームページでやるのは間違っている。科学誌に投稿すべき(※7)

というようなものでした。これって、正気で書いているのでしょうか?
彼女は、「あの日」の最後の方で書かれているように

 こうして私の研究者の道は幕を閉じた

わけで、

 もう、小保方さんは「科学コミュニティ」で認められた「科学研究者」では
 ない


のです。この事実は極めて重いのです。なぜなら、正規の科学論文誌で受領される・正規の発表と
して受け入れられるものは、「科学コミュニティ」で認められた「科学研究者」だけということで
す。彼女は、博士号もはく奪され、ましてや「研究捏造者」のレッテルまで貼られて日本「科学コミュ
ニティ」から追放されてしまったわけで、最早、そういう権利さえ奪われてしまっているわけです。
したがって、(※7)など事実上不可能な話でしかないのです。
そんなことは部外者の一般下々の私でさえわかるのにこういうたわけたことを正論みたいに言う・・
明らかに、ためにするような言説でしょう。日本「科学コミュティ」の頭ごなしに、日本「科学コミュニ
ティ」が「捏造研究」と判定したものを管理できない形で海外に発信するなどけしからんと言うだけ
の話でしょう。しっかりしり抜けしているのです。彼女はもう無理やり「元・科学者」にさせられて
しまった今はとりあえずは一般下々と同じ地位でしかないわけです。日本「科学むらの掟」など当然
ながらもう無関係になっているのです。うがっていえば、これでSTAP細胞が再現されてしまうなら、
ご自分たちのなしたこと・判断はなんだったのかと海外における評価低下になることを恐れてのこと
ではないかとさえ思ってしまうのです。なぜなら、もしそうなったら日本「科学コミュティ」はメンツ丸つ
ぶれですし、日本科学者が折角発見したものをよってたかって潰して外国に得をさせてしまったとい
う国内批判が出てくるのは間違いないからです。

まず、「そんなもの注目されないだろう」という彼らの希望的観測は、海外の有名大学や製薬会社を
含む海外からのアクセス数が多大であったことで一つ裏切られましたね。
次は、「レシピにしたがっても誰も再現できなかった」か「再現できた」かのいずれかの段階に進むと
いうことで、その結論が出てくるまで、日本「科学コミュティ」と「科学ジャーナリスト」は首を洗って待
つしかないでしょう。

本質的な「科学の問題」はそこにあるのです。
本騒動の最大の問題点は、「反小保方感情」と「科学的真実の正否」がごちゃませに語られてしまい、
純粋・真摯な「科学的論議」でなく、「売らんかな」でマッチポンプさえやるマスコミ・メディアを巻き込ん
での(薄汚れた錦の御旗を持ち出しての)極めて「世俗的論議」に成り下がってしまったことにありま
す。

私が本コーナーで散々批判的に書いて来た、「科学界」の汚い部分を現在進行形で目にしてしまった
一件ではないかと思っています。反「CO2地球温暖化」学者が受けた仕打ちといい、科学界での嫌な
話ばかり、それぞれ、「進行形」の形で目にしています。ま、ブロードバンドの定着がこういうことを一
般下々が目にできるようになったのですけどね。間違いなく昔なら、「科学コミュニティ」の中だけで
こっそり処理されてしまって一般下々は知らないままだったのではないでしょうか?

                           ('16/4)

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