日本の科学ジャーナリズムの限界(改)

近年、インターネットの発達により、我々一般国民でも、労せずして海外情報に
ダイレクトに接することができる時代になり、例え私のように外国語が駄目な輩
でも、そういう海外情報にアクセスしている方々が速攻でそういう情報を紹介し
ていただける時代になりました。

こういうのを目にすると、日本のメディアによる報道というものが、実に多くのフィ
ルターがかかったものであるかがよくわかります。
それにしたがって、日本国民の中にはマスコミ、メディアへの信頼性が低下して
きているのは事実でしょう。要するに、最早、マスコミ、メディアの連中の思惑通
りに思い、扇動されたりしない国民が増えて来ているということで、昔のようには
いかないことに彼らは臍をかんでいるだろうと思います。彼らのネット批判という
のは、そういう身勝手な思惑によるものであることは明々白々でしょう。

一方で、『科学ジャーナリズム』についてはどうでしょうか?
見ていますと、せいぜい、政治的・イデオロギー的な面でどうのこうのという議論
(『御用学者』批判など)または最近の発表論文疑惑という科学ジャーナリズム
というより、社会部向きの報道くらいであり、純粋な「科学」自体に関する話題は
ほとんどないような気がしています。
私の思惑のキーワードで検索しても、そういう面でのものがほとんどヒットしない
んですね。なぜでしょうか?

ネット見てましたら、「科学ジャーナリズムの使命は『最先端の科学を国民に分
かりやすく伝える
』こと」という意見がありました。恐らく、多分に科学ジャーナリ
ストという人達の意識はそうであろうという気はしていますし、一見して、いかに
も「もっともらしい」意見です。

しかしながら、「これは『ほんとう』でしょうか?そして、本当にそうしているので
しょうか?」
私は、はっきり言って、大変失礼ながら、特に日本の科学ジャーナリズムという
のは、「不十分な理解のまま」『日本科学アカデミーの官製発表』を垂れ流して
いるだけに過ぎない
のではないかと思っています。

なぜ、こんなことを言うかといいますと、冒頭に書いたように、日本では全く報
道されたりしていない科学情報が海外メディア報道には沢山あるからです。

では、なぜそうなっているのでしょうか?
私は、日本では「科学ジャーナリズム」に限っては、「科学情報」の真偽判断を
全て「日本科学アカデミズム界」におんぶにだっこしているから
だと考えている
のです。大変失礼なことを言うのですが、要するに、御自分達で十分調べて考
えるのでなく、全て日本の『科学アカデミー』の思惑にそのまま従ってしまって
いるのではないかということです。
そして、それは、彼らの中には、「その分野の科学の権威のご意見が真実」と
いう強い思い込み(それが一番安全というおかしな安心感)が綿々と流れてい
るからという気がするのです。

で、「その分野の権威」というのは、当然ながら、「その分野のmain stream
権威」というわけですから、そのmain streamを脅かすようなものには否定的な
わけです。その結果、日本では報道されないような海外の科学情報が沢山出
てくるわけです。

で、我々、一般日本国民が知るのは、そういう情報を目にするのは、ダイレク
トのネット海外情報であったり、又は、科学のmain streamからはずれた、「日
本科学アカデミズム界」とそれに疑いを抱いたりしていない人達から「擬似科
学」「とんでも」本と罵倒攻撃されているような本とそういうものに興味がある方
達によるネット上での紹介記事からくらいなんですね。ですから、特別、そうい
う物に興味のない方々は、学校での「日本科学アカデミズム界」の思惑に従っ
た「科学教育」で習い覚えた知識と、せいぜい、その後の前述のような状況の
日本の科学ジャーナリズムからの知識に留まっているわけで、そういう日本の
状況は、「その分野のmain stream」のみが許されている様相を呈している「日
本科学アカデミズム界」にとっては実に都合がよいわけです。
再三、指摘していますが、「科学は合理的」という神話が信じられ続けています
しね。

私は、「日本における『科学』」のあり方の深刻な問題は、「学校教育」、「科学
ジャーナリズム」そして「官の行政」に至るまで、悉く、「日本科学アカデミー」
主流派の支配下におかれていることだと思います。
例えば、あれだけ地震予知は可能だと吹聴して多大な科学予算を得てきた地
震学者に対して、一般下々の批判は沢山あっても、あまりメディアからの批判
は少なく、ましてや、理論自体に疑念をはさむような科学ジャーナリストは目に
していませんね。社会部報道のような原発事故と原子力工学者批判に便乗し
た断層学者の活躍報道が目につくくらいです、しっかり調べて考えれば、その
非科学性に気がつくはずなのに全くやりません。だからこそ、ここ で糾弾した
ような大変な虚構にもころっと騙されてしまう訳です。

本コーナーでは再三、繰り返し、批判してきていますが、「科学アカデミズム界」
による『擬似科学批判』なるものは、決して「正義」という理由なんかかからで
はなく、そういう「日本科学アカデミー」による日本の科学の総支配体制の綻
び−すなわち、一般国民からの基本的な科学教育とmain streamアカデミズム
科学への疑念の拡大と相対的なmain streamアカデミズム科学者権威の低下
−を防衛する意図によるものだとしか思われてなりません。
こういうと、「そんなものは異端派による下種の勘ぐりだ」と反発されるかもしれ
ませんが、そういうスタンス自体が異端派擁護者を増加させているのです。

そして、これまた、日本の科学ジャーナリストはそれに気がついておらずにそ
のお先棒を担いでおり、それをいいことにして、ネットではその「日本科学アカ
デミー」の尖兵隊がmain stream科学アカデミズムの正当性主張と、それに反
対したり、異端のものには「とんでも・低脳・馬鹿・デンパ」などと名付けて嘲笑
・中傷罵倒することで、総がかりで綻び防衛に躍起になっている感がしていま
す。

そういう状況下の日本ジャーナリストの中からは、決して『背信の科学者たち
』(ここで触れました)とか、「宇宙論の危機」 (ここで触れました)というような
著作は出て来ないと思いますね(共に、和訳は出てますが)。

どうやら、西欧では、異端説の公開報道・異端本の出版有無はそこの経営側
・編集長等の指向でなされている(出す方は「公平」な視点が伺われる)が、
日本では、おかみすなわちmain streamの科学アカデミズム権威の意向が強
く働いている気がします。

ですから、前述のように、main streamに不都合(説明できない)ような科学情
報は報道されませんし(あっても所謂、「きわもの」番組内での扱いくらい)、
異端本はそれで売っている出版社くらいからしかほとんど出ていない(だから
こそ、窪田氏の反相対性理論本が、あのNHK出版から出されていたと聞いた
時はびっくりしたのですが)状況ですよね。

ただ、そのネットでも不可解なことがあるのです。ここまで書いて来たmain
streamアカデミズム科学にとって不利とは思えない情報で意外にヒット数が少
なすぎるものがあるからです。そして、結局、詳細まで不明のままという・・・
例えば、あるサイト記事から検索したのですが、googleで「金星Maxwell山写真」
で検索してみてください。最初のページの上の方に画像一覧というのがありま
す。その右端の下の方に、白黒の等高線みたいな画像があります。
この画像に言及したサイトがほとんどなく、2ページ目の下の方にある、
AstroArts というサイトにかろうじてあります。そして、私はそこを見るまで、こん
な話は聞いた事ありませんでしたし、それは私だけ不案内というより、少なくと
も日本語サイトではなかなか検索にひっかからないことからして、少なくとも日
本では一部の方にしか知られていないのではないかという思いをしています。
2001年とちょっと古い記事であり、そこにある情報元のLink先はもう消えてい
ますが。
このサイトの記事によれば、これは、

 プエルトリコのアレシボ天文台、ウエストバージニア州にあるグリーン
 バンク天文台の巨大パラボラアンテナの電波探査によって得られた
 画像


だそうで、なんと、

 観測は、アレシボ電波望遠鏡から金星に向けてレーダ波を打ち、反射
 波
を両方の電波望遠鏡で受信するという手法で行なわれたそうで、結
 果は、なんと金星地表の約1キロメートルの地形までをとらえることに
 成功した。
 今後、この「アレシボ-GBTレーダー・システム」により、多数の小惑星や
 土星の衛星「タイタン」などの観測が計画されている。


とさらりと書かれています。

しかしながら、これって、よ〜く考えてみるなら、凄い「技術」ではないでしょうか?
あの分厚い大気に包まれていて、これまで、その地表面については、せいぜい、
金星探査機の画像しか公開されてこなかったこと(現に、上記キーワード検索
でのgoogleの項目のアブストラクトでは初めのページでそれが出てくるくらい)を
考えると、そして、「ダイレクトにレーダ波を遠い惑星に打ち込んでいる」という驚
くべきニュースのはずなのに、ほとんどヒットせず、ここでも、写真と上記記事だ
けで、そのレーダー波の波長とか出力とかは具体的には触れていません(あの
ようなピンポイントで目的物が捉えられたということはレーザーなどだろうとは思
いますが)
し、どのような解析をしたかについても触れられていません。
(↑訂正:マイクロ波だそうです。誤解してましたm(__)m。海外サイトに原理手法
説明がありました)

また、「金星地表の約1キロメートルの地形までをとらえることに成功した」とあり
ながら、なぜか、他の画像は見つけられませんでした。
ちなみに、検索能力に乏しく、英語力の衰えている私には海外サイト記事を見
付けることはできませんでした(^_^;)。

今は2014年ですから、この記事から13年もたっているわけで、科学技術も日進
月歩してますし、こんな技術、更に出力アップなど応用しないはずはないと思い
ますから、話題にならず何か消えた形になっているのが不思議でなりません。
そして、上の記事ですけど、土星のタイタン観測に使用を計画しているという
なら、なぜ、土星本体とかそれ以外の星に対してやらないのかという疑問も出
てきます。金星の場合、既に1988年に探査機が送り込まれているのです。探査
機で調べたからという理由では無い気がします。莫大な費用がかかる探査機よ
りは安価でずっと容易にやれる気がします。
NASAの資料らしいものが検索ヒットしたのですが、そこには、こういう、レーダ
波を使っての惑星探査法について、既に1960年代から検討されていたとありま
した。

別項でも触れましたが、NASAは決して純粋な宇宙科学研究機関ではなく、軍
の下部組織なわけで、全て情報公開をしていないというのは決して「UFO論者」
の方達のためにするような言い分ではない(日本人には純粋な宇宙科学研究
機関と思い込んでいる方達も多い気がしますが)わけで、それは言わば、当た
り前なんですね(米国の「UFO論者」はそれを知っている上で情報隠しだと批判
しているわけですので、純粋な宇宙科学研究機関だと思っていて、そんなことは
ないと言うのは実態を知らない日本人くらいじゃないでしょうか?)ですから、何
かそれ以上の情報の広がりを避けようとしている事情があるのかもしれません。
main stream科学界の思惑などとは完全に別のところで・・・。
(私自身は、この写真のことにちらっと触れていて、そこで述べられている某本
から引用されている真偽不明の情報と、そういう動きがあった端緒とされて示さ
れていたある国の大学チーム(国名、大学名、リーダ教授名明記)のある驚くべ
き観測結果について情報源を色々検索した結果発見できなかった点を合わせ
て考えてある推理をし、それで一旦はarticleをしたためましたけど、結局、この
コーナーでアップするのは止めました。私の勝手な妄想かもしれませんしね。)

私は別に反米論者ではありませんが、日本の「アカデミズム科学界」は完全に、
米国アカデミズム科学界追従主義に陥っている気がします。で、その影響下に
ある日本科学ジャーナリズムも右に倣え状態の気がしてなりません。
すなわち、米国アカデミズム科学界権威情報だけを「正規情報」として日本アカ
デミズム科学界が受け、そして、その思惑に従ったものだけが、日本科学ジャー
ナリズムによって我々下々に流されるという形になっている気がします。
要するに、海外科学ジャーナリズムと日本科学ジャーナリズムとは壁があるわけ
です。「調査不足で知らない」のか、意図的なのか不明ですが・・・


いずれにしろ、日本のmain stream onlyの「アカデミズム科学界」とその意向に従
う物だけ垂れ流しているとしか思えない日本の「科学ジャーナリズム」だけを信じ
て、それ以外を頭から「とんでも」視するのは、私には、「真実」から目をそらして
しまっている愚挙だと思いますし、「それで飯を食っているわけではない」市井の
科学愛好家はそんな思惑にいつまでも流され続けていてはいけないと思います。

大変失礼ですが、科学報道見るたびに、

 『卑怯』と『間抜け』のコラボレーション

などという言葉が浮かんで来てしまいました。
('14/3)

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