scalar waveについて思う事(’15/10)
Nikola Teslaが生涯をかけて研究開発していたものに"wireless transmission of electrical
energy"(無電線送電)というのがあります。彼は、その実験室レベルの小型のものを実際に製
作し、それを特許庁に持ち込むことにより、1900年にpatentを取得しているようです。どうやら、
彼の不幸はその技術を合わせて「無線通信」にも採用しようとしていたことみたいですね。彼が
成功する前に、ずっと安価な無線通信装置が他者から出され、それで資金提供していたMorgan
財団が手を引いてしまったらしい・・・。また、折角、建設していた巨大な送信鉄塔と研究所は、
戦争が始まり、そのために取り壊されてしまったようです。
私が注目したのは、Teslaが上記下線で強調したように特許を取得していることです。日本もそう
ですが米国でもideaだけでも特許申請はできても、「特許権」を与えるには、特許庁が「あまりに
荒唐無稽だ」と判定したものは拒否されると聞いています。しかしながら、Teslaはちゃんと実験
装置を持ちこんで実証したからこそ特許権を取得できたわけで、そのことは、彼の目指した「ワイ
アレス送電」というのは決して荒唐無稽な脳内ideaではなかったことを裏付けています。
それにも係らず、長いこと見捨てられ忘れられてきたということはなぜでしょうか?
私は、少し調べて考えて、すぐになぜだかわかりました、"genious"の直観的天分というのは、そ
れがなくて、自分たちの科学知見だけからしか物事を判断できない方達に受け入れられなかっ
たからというだけのことでしょう。あまりに自分たちの科学知見から外れているゆえに、あえて無
視したのではないか(現在でもそうですが)と思うのです。そして、うがちすぎかもしれませんが、
だからこそ、Nikola Teslaにmad scientistなどと言うレッテルを貼って、そういうこと(自分達の科学
的知見では理解できない・説明できないために無視してきたこと)を隠してきたのではないか(そ
れには、マスゴミも使って)とまで思えてなりません。
具体的に言えば、従来からの物理学的知見でのMaxwellが最初に予測し、1990年代になって
Hertzがその存在を証明した、現在は、電磁気に関する「マックスウェルの方程式」(再三指摘し
ていますが、Maxwellのオリジナル式ではなく、明らかに1864年のMaxwellの最初のオリジナル式
から、Heavisidev≠0の時を省略し、かつ電磁ポテンシャルを消去して、自分自身がその確立に
参画したベクトル解析法を用いて書き直した、いわば"Maxwell-Heaviside equations"−海外サ
イトではこう呼称している方達もおられます−を現在はこう呼称しています)による「電磁波」では
説明ができないゆえです。なぜなら、この「電磁波」は「横波」(Maxwell本人もそう考えていたそう
ですが)であり、それで考える限り、「ワイヤレス送電」というのは実現性・実用性に乏しいからで
しょう。
しかしながら、Teslaは、これを"longitudinal wave(縦波)"と考えたようで、それが世に言う「テス
ラ波」ですね。ちなみに、Teslaは只の発明家ではなく、高等教育を受けていますので、当然、
当時の電磁気に関する知見は十分あり(だからこそ、現代文明が大きな恩恵を受けている「交
流電気」の祖になれたのでしょうが)、街の「発明家」だった(後で事業家−GEの創設者−として
成功して所謂"American-Dream"を実現した一人ではありますが)のEdisonや、純粋に「実験科
学者」だったFaradayとはそこが違います。決して、よくアカデミズム科学知見に合わないもの・
それと矛盾するものを「とんでも」「疑似科学」などと勝手にレッテル貼りし、見下していう人がお
られるような「物理を知らない素人」の思い付きではないということだけは間違いないことです。
前述のように、ある時まで、彼の研究には資金団体からの資金提供がなされていたのです。
さて、近年、外国ではTeslaが提唱して一人で研究されていた"wireless transmission of electric
energy(無電線送電)"すなわち、無線で電力を送受信することに主眼をおいて、彼の「テスラ波」
を"Scalar Wave(スカラー波)"だとして研究している科学者がおられて積極的に発信されて
いるようです。彼らは勿論、皆、現在、教科書に記載され学校で教えられている「マックスウェル
の方程式」はご存知の上でです。
すでに、本コーナーでは、退役軍人で在野の科学者Beardenという方がMaxwellが1873年に発
表した(当時の科学界では全く理解されなかったそうですが)quaternionを使用して拡張したも
のを研究し、これから"scalar wave"が導出されるとして積極的発言をしていること(更に、この
方は、"longitudinal wave"については20世紀初頭にイギリスの数学者Whittakerが数学的に導
出していることを紹介していること等も含めて、Maxwellの方程式(6)で紹介しました)、ロシアの
二組の科学者が同じく1873年のMaxwellの拡張版方程式を更に拡張して"scalar wave"を理論
的に解析していること(⇒Maxwellの方程式(1))に触れてきました。
そして、つい最近、他の科学者がwebで発信している論文を目にしました。ドイツのKonstantin
Meylと言う方の物で、この方はドイツのFurtwangen大学の電子制御の教授だそうです。論文
には肩書として"Prof.Dr.-Ing"(教授、Dr.-Ingはドイツ語で工学博士)とあります。論文の最後
に書かれている連絡先には"1.TZS(First Tranfer Center of Scalar Wave Technology)"とあり
そんなものがあることに驚きました。どうやらこの方もその筋では有名らしいです(但し、検索
でgoogle listの1頁に出てきたWikipediaはドイツ語版)。この方はまた、異なる観点で研究され
ているようです。
日本語サイトで「スカラー波」と検索しても、「とんでも扱い」するようなものが多くヒットするだ
けなので、"scalar wave"で検索して前述のKonstantin Meyl博士の存在を知った(英語の
web論文がありましたので)のですが、Beardenという方のことも少しわかりました。
calar wave and Tesla Shieldという
記事の中に、
Thomas Bearden, a retired Pentagon war games expert and active
consulting engineer to the Defense Department, has written a
number of papers on Scalar Wave systems and often lectures on
Scalar Waves at Alternative Energy conferences.
According to Bearden, the Soviets are way ahead of the U.S.
in Scalar Wave technology and are already using it against the U.S.
(退役したPentagon war games expertで、 Defense Departmentのコンサルタント
エンジニアであるThomas Beardenは、スカラー波システムについて多くの論文
を書き、代替エネルギー協議会でスカラー波の講演を行った。
Beardenに寄れば、ソ連はスカラー波技術において米国より先行しており、既に
それを米国に対して使用しつつある)
とあります。米ソ冷戦時代の話ですからかなり前のことですね。そこの記事によると、もう
かなり昔のことですが、米国大統領がレーガンの時代、レーガンが "Star Wars system"
というのを提示したことがありました。ただ、それの技術として「レーザー」の使用という
ことになっていたようですけど、当時、レーザーはまだそこまで技術進歩がなされていない
という批判もあったそうです。で、上記のように、Defense Departmentのコンサルトゆえに
どうもBeardenはNikla TeslaのTesla波に目を付けたみたいですね。既に前に触れましたが、
Teslaの死後、彼が滞在していたホテルの彼の部屋から論文等全てをFBIが没収したよう
で、真偽の程は不明ですけど、母国クロアチアからの要請に応じて返却したもの(Tesla
博物館に保管)以外返却せず、秘密文書で一般には非公開のままのものがあるらしく、
"Pentagon war games expert"であった退役軍人ゆえにBeardenは目にしたのかもしれま
せんね。また、この記事が事実なら、ロシアの二組もの科学者達が論文を出しているとい
うこともうなづけます。ロシアの科学アカデミーは旧・ソ連時代からのものですから、秘密
に行われていた研究がロシアになって公開されてきているのかもしれませんね。軍事面
から見れば、すぐにマスゴミが嗅ぎ付けて騒ぎになる西側諸国と違い、そういうことがな
く、国家主導で統制管理されていたゆえに、科学界の思惑によるようなタブー扱いはされ
なかったのだろうとも思います。近年、西側諸国では異端扱いで無視されているようなも
のが色々とロシア科学界(在野の一般ロシア人ではありません)から発信されてきたりし
ていますから。
残念ながら、日本のアカデミズム科学界は欧米の主流科学権威だけが尊ばれている感
がしていて、そこでの「科学的常識」だけが正しいと思われているためにタブー視されて
いるのか、そういう研究をしているというような話は聞こえてこず、だからこそ、日本語サ
イトでは「とんでも扱い」になってしまっているのでしょうね。
よく言われているように、物理学者はこの電磁気的な「縦波」の存在を否定していて、理
由らいきものも聞いてはいるのですが、前述のKonstantin Meyl教授の論文に書かれて
いました(⇒Scalar Waves)。
これはこの方の考えかもしれませんが・・・
@No highscool ever has built a "Magnifying Transmitter".
The technology simply was too costly and too expensive.
In that way the results have not been reproduced, as it
is imperative for an acknowledgement.
(どこのハイスクールも"Magnifying Transmitter"を建設できなかった。
その技術は、簡単には、あまりに高コストで、費用がかかりすぎたから
である。その方式では、結果が承認されるのに不可欠であるようには
再現されてこなかった)
AThe other reason, why this important discovery could
fall oblivion, is to be seen in the missing of a suitable
field description. The Maxwell eauations in any case
only describe transverse waves, for which the field
pointers oscillate perpendicular to the direction of
propagation.
(この重要な発見が忘れ去れた他の理由は、ふさわしい場の記述
がなかったことに見られる。いずれの場合もMaxwell方程式は、
field pointerが伝搬方向に直角に振動する横波を記述しているのみ
である。)
(注:Magnifying Transmitter:Teslaが1900年に特許取得した装置
に彼がつけた名前)
よく言われているのは、このAでしょう。Meyl教授の言うMaxwell equationsは現在学校
で習う「マックスウェルの方程式」と称せられているものです。前述のweb論文も彼の他
のweb論文もこれがベースになっています。この方の主張を見ると、Maxwellのオリジナ
ルのtheoryをご存知のようなのですが、なぜか(あえてなのか不明ですが)今のものを
ベースにされて論じられています。Bearden博士と異なり、1873年のものには言及され
ていないようです。
情けないことに、私、このMeyl教授の論文がよく理解できていないのでここでは紹介し
ませんが、Teslaの主張に関連して少し興味深いことが書かれていますので、紹介して
おきます。Teslaは地球の共振周波数を発見し、彼の測定では12Hzと言っていたそうで
す。ご承知の方もおられると思いますが、シューマン周波数というのがあり、これは、
7.8Hzで光速で進むものだそうですので、Teslaは、彼の発見した12Hzの波は光速の1.5
倍のものであると主張していたそうです(1905年の論文)。
既に書いてきたように、ロシアの科学者の最近の論文や20世紀初頭の数学者Whittaker
は"longitudinal wave"(scalar wave)は光速より速いと述べていますが、Teslaは自分の
観測実験からそれを見出していたわけですね。
ま、現在の工学世界では、「マックスウェルの方程式」の範囲内で収まっているからか
不都合を感じないためためでしょうが、現在の「マックスウェルの方程式」が電磁界現象
を現していると思われているので、そこからはずれてしまう「縦波」電磁波などありえな
いと思い込まれているようですけど(これが実在すると"soecial relativity"ってどうなるん
でしょうかねぇ?それも考えようとしない要因かも?)・・・
尚、論文記載内容によると、このMeyl教授は工学博士ゆえか、安価な代替試験用装置
を作って販売されているようです(すでにいくつかの大学に納入したとか)。そして、ご自
分も理論解析とともにその装置を用いて実証試験をされているようです。
科学界は欧米でも決して自由奔放ではなく、異端派はつらい立場であることは同じで
すが、研究資金を出す財団があったりしますし、何よりも「長いものには巻かれない」
とばかり、強い意志でやられる科学者もおられるようですね。国民性の違いかもしれ
ません。また、Meyl教授は物理学でなく電気制御の工学の方だからかもしれません。
いずれにしても、私は"wireless transmission of electric energy"というのには興味が
あります。それに興味を示した科学者が元祖Teslaに従ってscalar waveの研究に行く
ということは、"Maxwell's equations"の横波電磁波では無理だからではないかと思う
のです。小電力ならわかりませんが、今の高圧送電線レベルの大電力を無線でやる
というなら。いつまでも19世紀の知見から一歩も出られないのはおかしいと思います。
ひょっとすると、多くの科学者がこだわりを捨てて、一歩進みだせば、革命的進歩が
あるかもしれません。そういう可能性をかたくななこだわりで見過ごしていていいので
しょうか?
科学技術が進歩している現在、仮想実験でしかなかった電子の二重スリット実験とか、
Einsteinが量子力学に反対して究極の仮想実験としてボーアらに突きつけたEPRパ
ラドックスも覆す実験がなされましたし、あの「量子テレポーテーション」でさえ実証実
験に成功している時代です。仮想的なものと思われていたベクトルポテンシャルだっ
て実証実験で実証されています。19世紀〜20世紀前半とは時代が違うのです。
私は、多くの物理学者は19世紀前半にFaradayが発見した電磁現象とそれを理論化
したMaxwellの理論だけで「思考停止」してしまっているのではないかと思います。
TeslaはFaradayが発見できなかった現象を、彼の知識とinspirationにより実験的に見
出したのではないかと思うのです。これこそ、「脳内科学」ではなくreal現象を見逃さな
かった、本来の「自然科学」的スタンスではないかと思うのです。理論がないなら現象
をよく観察して造り出せばいいじゃないですか?Maxwellだって既存の理論がないとこ
ろから彼の才覚・inspirationでFaradayの実験結果を深く検討して理論化しているわけ
であり、既存理論からちょこちょこと数学的に導出したわけではありません。
既存理論に合わないと「そんなものはない」と実験観測結果を否定してしまうなどとい
うことは「自然科学」とは程遠い「思考停止」そのものではないですか?
('15/10)
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