定義に異議あり
東日本大震災以降、ネット上には『御用学者』という批判的用語が並んでいます。
東日本大震災における東電福島原発事故により、「反原発」意識の高まりから、原発の
維持・発展を担ってきた原子力工学者・地震学者や、「反原発」に不都合な学説を述べ
る学者=『御用学者』というラベリングをし、一方、反原発科学者=誠実な科学者とい
う『権威付け』をしているわけです。
しかし、私はこういう風潮に大変違和感を感じているのです。但し、攻撃されている学者
擁護での話では決してありませんし、また、私自身は原発推進派でもありません。
悲観的見地(物理学者への不信感と現実主義)からの極めて消極的維持派でしかあり
ません。
私は、科学の世界を「政治的イデオロギーで判断する」ことには反対なんです。本来、科
学というのは、そういうものを超越した存在であるべきと考えています。但し、現実的に
はそうではなかったという思いは十分感じています。ですから、別コーナー(ここ)で独立
して批判展開をしているところです。「科学者」と言えど、一介の人間でしかないからです。
今回の東日本大震災・福島原発事故により、マスコミ等には「科学・科学者への信頼性
が低下した」というような主張がありますが、私から見れば「ちゃんちゃらおかしいわ」な
のです。そんなものは、元々、マスコミ・メディア界が率先して扇動してきた「幻想」と「科
学者の驕り」でしかなかったからです。それがたまたま、はからずも露呈しただけなので
す。人々は知らな過ぎるのです。
元、ロンドン天文台長だった方が、著書の中で、「純粋に科学だけを追求する科学者は
19世紀以降皆無となってしまった」と書かれているそうです。この意味わかりますか?
これは私の勝手な思いなのかもしれませんが、私は『御用学者』というのは
自分の利益(金、地位、名誉等)のために自分の「知見」「信念」を
曲げて権力側にすり寄る学者(※)
と考えています。この場合、主体は「権力側」であり、「学者」は『従』というわけです。
その意味で、イタリアの地震裁判で告訴され一審で敗訴したイタリアの権威地震学者は
まさにそれに当ると考えています。それはここで述べたように、はからずも弁明していた
ように「地震予知はできない」と考えていながら、「科学的根拠も無い」(検察側の告訴で
の言明)のに行政側の意向に従って安全宣言に同意し、付帯的解説もしなかったゆえ
なのです。これこそ典型的な『御用学者』でしょう。「地震予知はできない」という自分の
知見を曲げたのですから。
しかるに、今回批判されている原子力工学者、地震学者は本当に(※)でしょうか?
私は違うと思うのです。では何かですが、もう一つのコーナーに通じる意見ですけど、
学者は自分の『知見』を権力側・世間にアピールして学者としての
利益を得ようとしてきただけ(※※)
というのが私の考えなのです。したがって、学者が『主』なのです。
多くの人は、主従を逆にしているのです。科学者というのは御自分の『学説』を正しいと
考えておられるゆえに、そこから発言をします。
「権力サイド」というのは勿論、専門科学では素人ですから、例えば、専門家権威筋が
揃って駄目と言えば無理押しできないわけです。専制君主ではありませんから。
結局、今回噴出したことは、単に
専門学者の『知見』というのが期待されていた程、大したものでは
なかった
というだけにすぎません。「大したものだ」というのは「専門科学者の驕り」とマスコミ等に
扇動されてきた「一般下々の幻想」でしかなかったのです。
報道されているのは、『御用学者』、『誠実な学者』とラベリングされているだけで、基本
は「アカデミズム科学」の範疇でしかないのです。それが理解されていないのです。
「地震予知はできない」というのは、現在のアカデミズムの正統地震学での話に過ぎない
わけで、絶対的真理でもなんでもないのです。
後ヅモで「表層的」側面だけで批判攻撃しても本質的では無いのです。
そうではなくて、我々一般下々も為政者も、「科学の権威を無条件に信じてはいけない」
ことに気が付くべきなのです。「アカデミズム科学権威」が実は多くの政策に能動的に関
与しているのです。従でなく主なのです。ですから、失敗は「科学者の原罪」なのです。
一部の科学者だけのものではないのです。
科学者の皆さんには是非わかって欲しいのですが、「信頼を無くすのは一瞬、信頼を取り
戻すには血のにじむような苦労が必要である」のです。
見ていると、地震学者さんは口とは裏腹に本音では全然反省などしていない感がします。
それゆえ、別コーナーで批判をしたためたのです。真の反省というのは弁明とか、口先だ
けの反省の言葉だとか、ちゃっかり科学的根拠も無く基準数値を変えるとかそんなことで
はありません。御自分達の今までの知見が真理なのかどうか一から考え直すことなので
す。
('14/7)
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