ニコラ・テスラ〜なぜ不当な扱い?(1)(’14/6)
Nikola Teslaという方を御存知でしょうか?
一部の方達から"mad scientist"という蔑称で呼ばれ、『オカルト』的な「まともで
ない」存在としてしか知られていない・・・。これは実に嘆かわしいことです。
もし、この方が、実は、
どれだけ世界の現代の電気文化に貢献した偉大な
超天才発明科学者であったか
を知るなら、それがいかに大恩人に対する不当な扱いであるかがわかるで
しょう。Wikipedia見れば、彼による優れた驚くべき発明(特許)の数々をご覧いた
だけるはずです。
カルフォルニア工科大学の教授のDavid L.Goodstein博士がレオナルドダビンチ
になぞらえて、"one of Saints of Science(科学の聖者の一人)"と讃えて
いる方なのです!!
♪ああ、それなのに、それなのに・・・
When I learned that Nikola Tesla invented the radio, and not Marconi,
I was shocked.
(Nikola Teslaがラジオを発明したこと、Marconiでなかったと知った時、
私はショックを受けた)
これは、"Why was Nikola Tesla forgotten?"で検索した時、最初の方に出てきた
サイト(⇒Nikola Tesla - The Forgotten Genius)の最初のところにでている一節
です。文責者は、Nikola Teslaについて書くように求められたとき、その名も知ら
なくて戸惑ったと・・・。で、ふと子供の頃、博物館で目にした"Tesla Coil"を思い
出したと・・・。で、調べてみたときの驚きを率直に語ったのがこの一節です。
googleでは"Why was Nikola Tesla forgotten"が登録keywordになっている
くらいで実に沢山、"Nikola Tesla" - "forgotten"というarticleが出てきます。
日本では、「世界的発明王」といえば、幼少の時から「エジソン」の名前だけ
教えられ、関係しない一般国民には「テスラ」の名などほとんど知られていませ
んが、冒頭の引用文が示すように、実は、本場米国でさえ全く同じ状況のようで
す。
日本では恐らく、"Nikola Tesla"という名を知っているのは、せいぜい物理系、
又は電気系の方(学者、学徒、出身者/それでも知らない方も多いでしょう)か、
オカルト系に興味がある又はそれに対する批判者くらいではないかと思います
が、本国アメリカでさえそんな状況下にあるようですから当然と言えば当然なの
かもしれません。
そういう私でさえ、恥ずかしながら、
・ACシステム(発送電、ACモータ等)の発明者
・SI単位系で磁束密度の単位[T](テスラ)にその名前が付けられた
・IEEEにはその名を冠した「テスラ賞」がある
・Free Energyなどオカルト系では名前や彼の実験と称せられている
ものでその名が知られている
くらいしか知見はありませんでした(^_^;)。
それゆえ、真実を知った方達の驚き・嘆きが、前述のように、googleにおいて
"Why was Nikola Tesla forgotten"を登録keywordにしたのでしょう。
あまりに奇妙で不思議な話ですから。
そのことを論じる前に、調べたNikola Teslaの簡単な略歴を示しておきます。
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・1856年、現・クロアチアのセルビア人家庭に生まれ、長じて、the Technical
University at Graz, Austria, and the University of Pragueで実験物理学、
電気工学、高等数学等を学んだ。
・1882年から"Paris for the Continental Edison Company"で働き始めた。
(Edisonは既に世界的に『発明王』と知られ、既に電気会社を興して経営者
になっていたのである。Edisonに憧れてのことであった)
・1884年に御大・Edisonに招かれ、「セルビア系アメリカ移民(immigrant)」とし
てアメリカに移住した。
・Edisonへの不信感(*1)及び、発明したACシステム(発送電、モータ等)の優
位性を主張し、DCシステムに拘るEdisonと対立、袂をわかつ。
・1888年に、TeslaのACシステムに目を付けたライバル電気会社Westinghouse
社の創業経営者Westinghouseに多相交流の特許を売却。(*2)
・1893年、Westinghouse社はのシカゴ博覧会のACシステムによる電気供給契
約を勝ち取る。そして、同時にNikola Teslaの名声も上がった。
・1895年、Westinghouse社とGE(Edisonの会社)は共同で、Tesla理論に従う
ACシステムでのナイアガラ瀑布の発電所が完成。(*3)
・1919年、Westinghouseの死と共に、Westinghouse社は(会社発展の恩義を忘
れてか)それまで友好関係を築いて来たTeslaとの関係を解消した。
その後、一時は銀行家Morganなどの資金援助を得ていたこともあったが・・
・1943年にホテルの一室で周囲の市民にも知られること無く孤独のまま86歳で
生涯を終えした。(*4)
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(以上は主として前述のサイト記事によりましたm(__)m)
(*1)EdisonはTeslaに報酬を約束して発明の仕事をさせたが、その結果だけ奪
い、約束を反故にしたとかでTeslaはEdisonに悪感情を抱いた。
(*2)EdisonはTeslaのACシステムを"Death Current"と中傷し、電気椅子デモま
でやって攻撃したようですが、Teslaの勝利に終りました。
(*3)GE社にいた、Steinmetz博士(この方も一部物理学者・電気工学者にしか
名を知られていません)が送電などで優れた技術開発をしたようです。
(*4)最後の頃の唯一の友は一羽の鳩(peagion)だったそうです。
さて、本題に戻ります。
Why was Nikola Tesla forgotten?(なぜNikola Teslaは忘れられた
のか?)
その事情を知るため、英語サイトを漁りました。共通してあるのは、本国アメリカ
における「教育」です。教科書には一切Nikola Teslaの名前は出て来ないそうで
す。だから、日本でそうなのは当然なんでしょうね。要するに、「誰でも知ってい
るおじさん、おばさん」というのは教育の場とか子供用雑誌とかで出てきて一生
記憶に残るものですからね。ですから、当然ながら、こういうことは「普通の」サ
イト見てもわかりません。
どうしても、特別なサイトによるしか見えてこないのです。その点で参照サイト自
体で引いてしまわない方がよいと思うのです。私は、もともとそういう嗜好もある
輩ですけど、自分自身の判断がありますので、「覚めた」目で見ることができる
と考えているところです。そういうサイトの一つThe lost journals of Nikola Tesla
というサイトがヒットして、そこにあまり知られていない情報がありました。そして
その情報のいくつかは数少ないですが他のサイトにもありました。
信じられないような情報もありました。
私はその名前しか知らなかったのですが、ワシントンにあるかの「スミソニアン
博物館」では"Edison"ただ一人の半人像(bust)の所に、「Teslaの発明」がまで
もあたかもEdisonの功績であるかのように並べられているそうです。そして、発
行している7/8inchもある厚さの発明に関する本でもEdisonの名前は偉大なア
メリカの発明家として記載されているのに、"Nikola Tesla"の名前は完全にomit
されてしまっているそうです。
もう一つ、本国アメリカ人が知らないから当然ですけど我々日本人の大半が知
らなかった虚偽の事実・・・このは博物館及び前述の発行本ではMarconiがラジ
オの発明者とされていることです。実は、ラジオについては先にTeslaが発明し
特許を得ていて、Marconiの発明とされているものは、それをかなり盗んだもの
だったのが事実であり、裁判沙汰になって、結局、Teslaの主張が認められた、
すなわち、
ラジオを発明したのはTeslaであった
のですけど、残念ながらその判決が出たのはTeslaの死後だったようです。
でも、これはMarconiは会社を興し財産と名声を築いた後のこと・・・
訴訟相手は死んでしまってますし・・・。多くの人はそういう史実を知らない。
なんだかなぁと思いませんか?前述のスミソニアン博物館はそういう真実を隠
してちゃっかり名声と財産を勝ち取ったMarconiを讃えているだけ。そういう「い
んちき」を堂々とやってきたわけで、一種の「詐欺的洗脳教育」では?(-_-メ)
これだけ聞くだけでも極めて不当ではないかと怒りが湧いて来てしまうのですが
更にこのサイトのintroductitonの冒頭で述べられていたことを考えますと、私が
このコーナーを立ち上げ、ずっと抱いて来た一般に述べられている「科学の歴
史」って一体全体なんじゃいという不信感がまた深まりました。
このサイトのintroductionの冒頭でこれまた極めて不当な話が述べられていま
す。John W.Wagnerという教師が彼の三年生の生徒にTeslaが偉大な発明家で
ある話をし、この先生と生徒達は多くの人に手紙を出し、寄付を募ってTeslaの
"bust"をスミソニアン博物館に送ろうということになったそうです。
(⇒この話は事実のようでここにはこの先生及び生徒達そしてそのbustの写真
があります)
製作自体は女性とが自分の彫刻家の父親を説得したそうですが、やはりTesla
の名前は知られていなかったようです(アメリカの学校でも一切教科書に出てこ
ないそうですから、それゆえでしょう)。やっと苦労して完成し、スミソニアン博物
館に寄付しようとしたら、なんと、電気・近代物理学専門のここの館長である、
Benerard S.Finn博士は「使えない」と受け取りを拒否したそうです。
驚くなかれ、この方は、「どうしてEdisonのbustだけ置いているのか?」という質
問に、なんと「彫刻家が骨相学者であり、Edisonの頭のbustを試したかったから
だ」と答えたそうです。前述のDavid L.Goodstein博士との認識の違いには驚くば
かりです。電気が専門なのに、そんな程度しか認識していない人が館長してい
る「博物館」ってなんでしょうかねぇ(-_-メ)
こういう有名博物館があえて「意図的」(私はそう断言したく存じます)に隠し、子
供のころからその名が教えられていないゆえに、誰もこういう疑念を抱かず、
Teslsaの名誉は「意図的に」消されてしまっている感がします。このサイトでは、
Edisonに関して
he merely copied the work of others to promote his business
enteroreise...
and Sumisonian wants you to believe he was America's 'King of
Electricity'
(彼[Edisonのこと]は単に他人の仕事を彼のビジネスを進めるために
コピーしただけ・・・
そして、スミソニアンはあなた方に彼がアメリカの「電気の王」だった
と信じさせたがっている)
と糾弾しており、更に、
Edison used Direct Current(DC),a technology invented and developed
by others,before his time,as a means of powering his incandescent
lamp.Big business and the media have exaggerated this story so
much that now everyone believes Edison is father of our system
of electrical power.
(Edisonは彼の時代の前の別の人達により発明され発見された技術
である直流(DC)を、彼の白熱電灯の電力源として用いた。
Big businessとメディアはこの話しを大げさに宣伝したので、今では
誰もがエジソンが電力システムの父だと信じている)
と告発しています。
冒頭で紹介したページの方には、
Tesla proposed future inventions, but his accounts were
frequently distorted by the popular press"
(テスラは未来の発明を提示したが、彼の評価はしばしば
popular pressによってゆがめられた)
とありました。どうやら、どこの国もpress and mediaの実態は同じようですなぁ(-_-メ)。
それにしても、これは驚くべき、一種の「洗脳教育」ではないでしょうか?
今日、世界の人々が享受している『電気文明の発明者』としての貢献度は、疑
い無く、
Nikola Tesla>>Thomas Edison>Marconi
なのに、どうして???
(続く)('14/6)
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