ネットに見られる強い「科学者信奉」B
書き落としていましたが、私は多くの人々に、
優秀で多くの学識がある科学者が間違えるはず
がない
また、中には「とんでも」学者もいるけど、それは少数であり、
多くの学者が一斉に間違えるなどと言う事がある
はずがない
という「信仰」に似た強い思い込みがあるのではないかと思います。
少なくとも前者については、学歴を問わず、市井の多くの方は「信仰」とか
言う以前に、自然に素朴にそう考えていると思います。そういう私も、長年
間違いなく同じだったことを告白しておきます。
一方、後者は、理系の多くの方がそう考えていることと思いますし、私は、
そのことをとやかく言っているのではありませんが、この4年間、色々と調
べて来た中で、これは「ほんとう」なのかという疑念が湧いてきました。
そして、これを特にアカデミズム系科学界に属している人達と思しき方達
が主張していることに強い違和感・不信感そして失望感を抱くようになった
のです。そして、それが私一人の勝手な思い込みではないことを前項で示
しました(『背信の科学者たち』について)。
繰り返し批判させてもらっているのですけど、ネット検索すると、
多くの科学者が正しいとしているから正しい
と、あたかもそれを黄門様の印篭のように言う方がいるのは事実です。
ですから、セントラルドグマ反対者の方達は皆、そういう主張への不快感
から「信者かい?」と反発されています。
ところが、前項で述べましたように、そういう批判への反論として、
多くの科学者が正しいと言うから信じているわけ
ではなく、きちんと学んだ結果、確かにそれは正
しいと理解できたから正しいと主張しているので
ある
というのがありました。「信者などといっしょくたにしてためにするような攻
撃されてたまるかい」という逆不快感からでしょうし、恐らく、アカデミズム
科学界に属されている方の言だろうと思います(勿論、私の感触だけです
から間違っているかもしれませんが、丁寧な口調からそう感じたと言う訳
です)。
しかしながら、私はそのような主張をされている方達に、是非お尋ねした
いことは
その基本パラダイムの最初の論文、そして様々
行われたであろう科学界におけるそれに関する
ディスカッションの詳細(誰がどのような反論を
し、それについてどのように再反論がなされたの
か、反対者は最終的に完全にしゃっぽを脱いだ
のか)について全て御存知なのですか?
ということです。なぜこのような疑問を出しているかといいますと、色々
調べた中で、有名な複数の科学者がそれに反対し、最後まで納得しな
かったいう情報を目にしたからです。また、ビッバン宇宙論や進化論
には複数の科学者が属する異端説があるということを目にしますと、
本当に正しいと言うならなぜ、当のアカデミズム
科学界の中に複数の学者が属する異端説があ
るのか?
と問いたいわけです。
結局、大学を含めた「学校」で学ぶものは多くの科学者が正しいしてい
る「セントラルドグマ」だけですし、それに属している後世の科学者の
書いた教科書で学ぶわけです。ですから、教科書を書いた科学者や
それを教科書として採用した「教師」の説明から、最初に「正しい」とい
う疑いなど微塵も抱かない考えの前提があって、その路線の上で、教
科書執筆者や教師の意図に従って理解できたと考えているのは間違
いないことではないでしょうか?
逆に、理解できないと思う人も、内容がおかしいからなどという疑いな
ど抱くことなく、自分自身の才能を嘆いているのではないかと思うので
す。
結局、科学における「セントラルドグマ」は「真理」だから「セントラルドグ
マ」になったわけではなく、多数決(即ち、多数の学者の主観的コンセ
ンサス、しがらみ等)で「セントラルドグマ」になっているというのが真実
であり、前述のような「多くの学者が一斉に間違えるなどと言う事があ
るはずはない」というのは『神話』にしかすぎないのではないかと思うの
です。
しかるに、例えば、物理学を専門で学ばれ、理解できたと自負されてい
る方達は、その後もアカデミズム科学界に属されている方のみならず、
離れられた方達の多くも、学んだ「セントラルドグマ」自体には微塵も疑
いなど抱かれていないでしょうから、反対論や異端論支持を目にする
とき、条件反射的に「わかっていないのに何ほざいているのだろう」と思
われるのはわからないわけではありません。
しかしながら、ネットサーフィンしていますと、学生時代は学んでつゆほ
ども疑いを抱かなかったが、改めて調べ直して考えた時、おかしいと思
い始めたとして、反対論をアップされている方もいらっしゃるのです。
そしてそこには、「科学者信奉」から覚めてしまったスタンスが見受けら
れます。ですから、その「セントラルドグマ」を専門で学んでいないど素
人だけがいわばけちつけているわけではないということは明白な事実
であり、意を強くしているところです。
いずれにしろ、本項で私が主張したかったことは、
「『セントラルドグマ』に反対する・異説を唱える輩はそれを理解
しようとしない・できない『とんでも』さんである」と決めつける寄り
所として「あなた方が『正統性』があると考えている根拠」と言う
のは、「そのようにあなた方が『信じている』だけのもの」であり、
実のところでは、「あなた方が気が付いていない・気がつこうとも
しない非常にはかないものでしかない」のですよ
ということです。
くどいのですが、結局、そこに流れているのは間違いなく、前述のように、
多くの学識がある優れた科学者が揃って間違えることなどある
はずがない
という、自らは気付かないままでいる、強い『科学者信奉』なのです。
特に、アカデミズム科学界に属している人の場合は、言わば『自己防衛』
であったり、『自尊心』からでしょうが。
目次に戻る