量子(6)

量子力学についてネットサーフィンしていますと、主流のコペンハーゲン解釈
支持、対抗の多世界解釈支持、そしてボームのパイロット波論(前に書きまし
たように最初に物質波の概念を出したド・ブロイの説)と隠れた変数論支持?
があるとともに、どれも優劣はつけられないとする意見、電子の二重スリット
実験はパイロット波論の否定にはならないとする意見、更にはコペンハーゲン
解釈を誤解している人がいるという意見の他、否定論(もっとも否定論者は相
対性理論は正しいと思っているらしいゆえからのようですが)見受けられます。

コペンハーゲン解釈というのは私が読んでいる教科書によれば、

 @実験測定にかかる量に重きを置き、それらの量の間の関係を自然法則
  としてとらえる
 A「粒子」とか「波動」とか言う言葉は不完全で巨視的現象を表すのには
  使えるが、微視的な現象を表すのには用いられない。粒子像とか波動像
  はその一面を示すにすぎず、両方合わせて完全になる(相補的)


というものであり、

 Bハイゼルベルグの不確定性理論
 Cシュレディンガー方程式の波動関数Ψ(,t)に対してのボルンの確率論
  (点を含む体積dに粒子が見出される確率は|Ψ(,t)|^2dに比例)

がメインになっているものです。

これから、「確率波」とか称せられてはいますが、コペンハーゲン解釈派では
別に波動関数Ψ(,t)自身を「確率の波」だと主張しているわけではなく、
|Ψ(,t)|^2が観測時に粒子を見出す確率(規格化できるときは絶対確率)
であると主張しているだけなんですね。これを波束の収縮と称しています。
教科書には記述はありませんが、ネットによれば、波自体がどういうものか言
及しているわけではなく、また、その波束の収縮はいつ起きるか決める理論
はないとしているようです。重視しているのは上記@という考え方なんですよね。

で、この「確率」でしか見いだせないという考え方に、決定論の立場にたつアイ
ンシュタインやボームは反発したようです。「隠れた変数」があるはずだと。
しかし、最後の反論で出したEPRパラドックスは結局、アスペの実験で否定さ
れてしまいましたけどね(ネット見てると否定されたというのに納得されていな
い方もいらっしゃるようですが)。

いずれにしろ、量子力学からの思考実験でしかなかった二重スリット実験は実
証実験に故・外村博士らが成功しており、真理であることが証明されています
から、「波動」の性質は事実だということです。したがって、波動関数という概念
を否定する根拠はないと考えています。

私自身は、今のところはコペンハーゲン解釈というのが一番素直な解釈だと考
えています。勿論、
 ・なぜ波束の収束が起きるのか、それがいつ起きるのか
 ・Ψという波動関数自体は一体全体何者なのか
について言及をさけているということへの不満はあります。しかしながら、そこ
には証明もされない余計な仮定はとりあえず入っていません

パイロット波理論は「なぜ粒子を考えるのか」についての明確な根拠が示され
ていません。私に言わせれば「粒子」という「もの」に拘っているだけとしか思え
ず、それゆえ支持できないのです。前の項でも言いましたが、「決定論」であら
ねばならない根拠はなく、単にアインシュタインらの思想的なものにすぎず、私
には到底支持できる考え方ではないのです。「隠された『変数』」などというあま
りにも「数学的」発想も私には受け付けられません。

多世界解釈はその存在を知った最初は面白いとそれを専門に研究されている
学者さんの啓蒙書を読んだのですが、私が馬鹿なのか、どうもよく理解できず、
大変失礼ながら、何か「空想」に科学的な衣をつけたものって感じがしてます。
量子コンピュータが証拠のようにされているのですが、何か、よくある「その理
論だけで説明して他は考えなずにこれが証拠だとしている」例の一つのような
気がしてならないのです。

ですから、説に優劣はつけられないという意見には同意できないんです。実証
されない脳内だけの仮定がどれだけ少ないか
を判断基準にしてますから。


ところで、不確定性原理ですが、よく測定精度に矮小化されて説明されていま
すが件の教科書によれば、波動関数であることからの必然的結果である旨の
説明がされていました。これも誤解だけが独り歩きしている例ですね。

いずれにしろ、「Ψ」という波動関数ってなんだろうか?そして、波束の収束は
なぜ、いつ起きるのか?ということが私の一番の関心ごとです。

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