ディクスン・カー「死の時計(Death Watch)」(’18/5)
もうずっとやっている図書館通いですが、先般、早川ポケットミステリーの、ディスクン・カー「死の時計」
というのを発見して、早速借りて読みました。
これは、私が約50年弱前の学生時代、まだ所謂「探偵小説」好きだった頃、作品名を忘れてしまったの
ですが、文庫本の後ろの小説のPRの所にディスクン・カーものがいくつか示されていて、その題名が
「おどろおどろしい」というか、そういうものが並んでいたため、当時「読みたい」と思いましたけど、本
屋では見つけられずに、結局そのままになってしまっていた中に、「死時計」という題名のものがあり、
その云十年前に目にした題名のものそのものだと判断したからでした。忘れていましたが、生きている
間にこうやって偶然と言うか、発見したのに驚いたのでした。
で、最初のページを見て、唖然としてしまいました。活字が汚いんです。で、いつの発行かと後ろを見
てみましたら、なんと1955年再発行・・・約63年も前に発行された訳本だったのでした(私が小学生の
頃のものです)。しかしながら、価格を見たら、なんと¥1400(本体\1359)とありました。そんな古い
のが、そのまま廃刊にもならず、消費税が入るようになった今も販売しているのかと気になりました。
ま、裏表紙の写真を見て、初めてディスクン・カーと言う人の顔を今頃知ったのでしたが
ディスクン・カーという方は1906年生まれのアメリカ人。1930年に処女作「夜歩く」を出されたそうで、
裏表紙の説明によれば、「彼独自の不可能趣味と怪奇趣味に満ちた作品」で絶賛を博したとありま
した。だから、当時私はそのリストにあるタイトルにひかれたんでしょうね(今でも、そういうタイトルの
小説には関心がありますが(^^;)
フィル博士という名探偵役が出てきます。名探偵物につきものの、警察の浅い考えで、真犯人の思
い通りの人が危うく、犯人とされてしまうところでした。ま、「そんなんで殺人事件を起こすのかいな」
と私が探偵小説に飽き足らなくなった原因みたいな動機でした。そして、何かこいつ怪しいなとは
思っていた人が真犯人でした。で、直接証拠がなく、フィル博士の謀で巧妙な悪魔の如き謀りこと
をした犯人を追い詰めて自ら白状させて(警察的取り調べではありません)解決というものでした。
ま、しかし、私が「タイトル名」から最初に抱いたわくわく感に対しては、「な〜んだぁ」という作品で
した。「怪奇」の方はあまり感じませんでしたので。「怪奇趣味」なら、江戸川乱歩の方が数段面白
いです。
(’18/5)
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