堂場舜一作品〜最新文庫本を読んで(ネタバレあり)(’17/2)
色々な刑事が主人公の警察小説シリーズ作品を出されていて、結構好きで読んでいる堂場瞬一
さんの今月(2017年2月)出版作品を2冊読みました。
@警視庁追跡捜査係シリーズ「報い」(ハルキ文庫2/18発行)
A「内通者」(朝日新聞出版2/28発行)
内容とは関係ない話ですけど、ちょっと出版業界の慣例に不案内なんですが、「内通者」の方
2/28第一刷とあるのですけどこの本買ったのはそれよりもっと前・・・「ん?」
で、あれだけ多くの「警察小説」を書かれているためか、テーマ的に目先を変えているものを考え
出されたというか、この2作品共、犯罪者とその犯罪の「動機」に驚きました。
これらについて書こうとすれば、どうしてもネタバレになってしまう点があります。ですから、
少しでもネタバレに近いことを読む前に目にしたくない方はこの項無視してくださいm(__)m
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本当は「怖い」というか、理不尽と言うかおかしなことで逆恨み的なものを買ってしまう見本の
ようなもの、二作品共・・・@はいつも角突き合わせている同期コンビの一人、西川警部補が直
接被害者ではないのですがその対象、そしてAの方は主人公の千葉県警捜査二課結城係長
がまさに理不尽な逆恨みで被害に会う、そういう内容です。
@は、2年前に起きた未解決の殺人事件に関して、病死した詐欺師のつけていた遺品の日記
を遺品を整理していた息子が読み、そこに犯人らしき人間−「高速のタツ」とか「チクリのタツ」
とかあだ名されたスリ常習犯−の目撃情報があったとして息子が警察に届け、追跡調査係の
沖田警部補が仲の悪い三井さやか刑事と庄田基樹刑事を連れてそのハコ師の辰見に事情聴
取をするため栃木に・・・所轄の宇都宮警察の新人刑事・三津が出迎えるのですが、一緒に
向かうも留守、そこへ当の辰見が殺害されたという一報、犯行現場は県警本部と目と鼻の先、
沖田「なんなんだ、このふざけた状況は?」
一方の西川警部補は奥さんの父親が亡くなり、忌引き休暇していて、この事件には最初から
関与していなくて・・・。で、復帰した西川は7年前の未解決強盗殺人事件を調べていたが特
異な殺害状況の類似性と辰見が「ちくりのタツ」と言われていたことから、殺害動機を探るべ
く、当時の刑務所仲間が何か知っていないか調べることを提案。しかし、また、事情聴取しよ
うとしていた一人、奥宮も殺害されてしまう・・・
沖田の暴走で、沖田も大けがを負うが2件の殺害犯人は判明し逮捕されるが・・・で、逮捕さ
れなければ、次は彼が殺されていた・・・はず。
頭が相当切れプライドが異常に高かったある人物の亡霊が起こした事件だった。過去に自
分を取り調べて彼のプライドを傷つけた西川警部補への挑戦状でもあったことが最後に判
明して。「う〜ん」
Aは単発作品。内部告発により千葉県土木局と汚職事件を追っていた千葉県警捜査二課
結城係長、この汚職事件に関しては決定的な証拠もつかみ逮捕直前まで進んでいたが・・・
結城係長に不幸が・・・小学校教師の奥さんが職場で倒れ、結局、亡くなられてしまう・・・
私も家内を17年前に亡くしているので、こういうシチュエーションはどうしても気になってし
まいます(^^;。で、家を出て一人暮らししている大学生の一人娘との関係・・・。その一人娘
に奥さんの葬儀の時に見知らぬ人間からの電話が。お前は結城の実の娘ではないと。
もう、完全な逆恨みそのものですなぁ。そりゃないわって・・・。これ以上のネタバレはやめ
ておきますが、一言、その「実の娘ではない」ゆえに関係したものです。そして、結城係長
にはどう考えても何も落ち度とかそういうのはないけど、ある意味。理不尽な人間感情の
標的になったということですなぁ・・・。タイトル「内通者」は大いに関係あります。彼らが
追っていた汚職事件は逮捕で解決しますけどね。
(’16/10)
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