エラリー・クイーン「中途の家」(’16/10)
あまりエラリークイーンの探偵小説は読んでいないのですが(バーナビー・ロス名のXの
悲劇」「Yの悲劇」,「Zの悲劇」は読みましたが、クイーン探偵が出てくる本チャン側は。)
たまたま角川文庫本(昨年1月初版)を買って読みました。表紙に、鼻眼鏡をかけ、三つ
揃えのスーツを着込んだエラリーらしき人物とひげを生やした父親リーチャードクイーン
警視らしき?人の絵が描かれているやつです。なぜか、その絵にひかれて買った記憶
があります。
それにしても、「中途の家」(原題も"HALFWAY HOUSE")とは妙な題名ですね。ま、読め
ばなるほどと思いますが、「まえがき」(記録者がいるという設定で、そのJ.J.マックなる人
物がこのタイトルに対してとやかく言っているので笑えてしまいますけどね。
結構、題名で興味を持って書くことも多い私ですから、その興味とは裏腹なようなこの題
名、ひょっとしたら、この前書きをちらちらと読んで買ったのかもしれません。
ちょこっとネタバレになりますm(__)m
一人の男が妙な家で殺害されました。「中途の家」というのはこの家の事。殺された男は
実に巧妙な二重生活を送ってたゆえにややこしいことに・・・。その一方の顔は英国上流
社会夫人の夫、もう一方はエラリーの友人の弁護士の妹の夫。
妹が殺人犯と決めつけられ、兄とエラリーの努力むなしく、有罪判決が。
しかし、その後、エラリーが見事に真犯人を割り出して解決というお話です。その推理は
分かりやすく見事でした。二重生活のどちらの顔で殺されたのか?犯人は?動機は?・・
これは伏せておきます。ま、被害者が巧妙に二重生活を隠し通して来た中で行ったただ一
つのことが事件の要因になったことだけ書いておきます。
あとがきよんだのですが、私は未読ですけど、エラリーの作品に「にっぽん樫鳥の謎」と
いうのがあるのですが、原題は"The Door Between"であり、全然違うらしいですね。江戸
川乱歩の誤解が招いたものらしい・・・
もう一つここに興味深いことが。小説の中で、クイーンが「二十から二十を引くと、何が
残る?」と尋ね、エラリーが自ら答えてるところ。どうやら原文は"everything"。で、訳
本の訳を4つ紹介されているのですが者で訳が微妙に違う・・・「全部残っているんだ」
とか。で、この角川文庫版は
味がありますよね。
(’16/10)
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