警視庁追跡調査班シリーズ「暗い穴」(ネタバレあり)(’16/3)


堂場舜一さんの「警視庁追跡調査班」シリーズの「暗い穴」というのを読みました。

で、ネット上でもそういうご意見を目にしましたが、内容的に、このシリーズに合わないと
いうか・・・。違和感を抱いてしまいました。このシリーズの他の作品のように読後の爽快
感が全然湧いてこない・・・ま、彼らの事件への係りも、いつものようなのと違い、人手不
足のお手伝いと言う形でのものでしたけどね。


----------以下、ネタバレですのでご注意!----------------

読み終えるなり、私は、「サイコパス」という言葉を思い出しました。で、この犯人は単な
るサイコパスのみならず、人心かく乱の天分があるという感じでもうひとひねりついてい
ます。魅入られてしまって、死体の始末をさせられる者たち(「たち」・・・複数です)。
こんな人間が実在するなら本当に怖いですねぇ・・・

さすがの西川・沖田両刑事も苦労させられていますね。
私が「後味の悪さ」を感じたのは、犯人がそういうサイコパス+人心かく乱の天分者であ
ることと、そのそも最初の犯行がどうやら小学生時代だったようなのが、それだけは頑強
に認めようとしないところで終わっているからです。当時の取り調べ刑事もその天分に丸
め込まれてしまったようですね。・・・これこそ「追跡調査班」の仕事だと両刑事は最後
に追跡調査することを決めました。ま、確かにこれ以上続けて書いても冗長的になるだけ
だとは思いますが・・・こういう人物が犯人だとどうしても読後の爽快感は湧きませんね。
いかに「性善説」などというのが、「お花畑思考」でしかないことを証明してますね。
こういう人は小説の中だけではないらしいですね。「サイコパス」などという語彙があるく
らいですから。サイコパスが殺人事件を起こしたら、被害者は救われませんねぇ。怖い
です。

「悪の教典」のように最初からそういうサイコパスが主人公であることがわかっているの
と違い、読んでいたらそうだったというのはちょっと嫌でした。
設定は全然違いますけど、「Yの悲劇」も結局は犯人は一種の「サイコパス」でしょう。
犯人設定自体が異常ですけどね。
                             (’16/3)

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