鮎川哲也と「朱の絶筆」の件(’15/10)
題名の作品の内容紹介ではないのですがm(__)m
鮎川哲也さんの作品は四十数年前の学生時代、色々と読んだ覚えがあります。どの作品
の本だったか忘れたんですけど、後ろに作品リストがあり、新本が書店にないと古本屋で
見つけていくつか買って読んだ記憶もあります。題名が私の興味をそそるものが多いとか
列車に係るものとかそういうこともあったと思います。
題名と言えば、ディスクン・カーのものもそれで買った(リストにあるものがあまり本屋には
なくてそれほど読んではいませんですけどね)ことがありました。
実は、よくある「○○殺人事件」というような題名はあまり好きではなく(読まないわけでは
ないのですが)、意味深長な題名の方がそそられるということもあります。
で、鮎川さんの作品では、例えば「黒いトランク」(後で知ったのですが、クロフツの「樽」
とプロットは似ているんですよね−ネタバレm(__)m)というのがあり、確か、早い時期に読
んだ記憶があるのですが、もう一つ、「黒い白鳥」は最初勘違いして、かつて北陸本線に
存在していた特急「白鳥」号のことかと思って読んで、がっかりした記憶もあります(^^;
それは、作品の中に列車名が題名になっていたものがあったからです。「準急ながら」と
か・・・
さて、鮎川さんの作品に出てくる名探偵は一人だけではないのですが、一つには鬼貫警
部と部下の丹波部長刑事ものがあり、これは比較的好きな部類でした。鬼貫物は名前だ
け使用?した「刑事鬼貫八郎」というのがあり、今もスカパーのミステリーチャンネルで再
放映されていますけど、全然イメージも原作とは違いますなぁ。
これとは別に、完全書斎派の、嫌味な名探偵「星影龍三」シリーズというのがあります。
私は「傲慢不遜」という方が大嫌いなので、この名探偵も大嫌い、ですからこの名探偵
シリーズはあまり読んだ記憶がないのですが、自分の本棚漁っていたら、文庫本の「朱
の絶筆」が出てきました。いつ買ったのか忘れていて、恥ずかしながら内容もすっかり
忘れていました(^^;。
少しネタバレになりますが、警察が最後に頼った形で、最後の最後になってこの星影龍
三がそれも現場に来ず、電話会談みたいな形で出てきて犯人あてするというものです。
で、ときにあるのですが、途中で作者から読者への犯人あて挑戦状があります。
沢山ミステリーを読んできたくせに、推理力皆無の私、恥ずかしながら当てられず(とい
うか当てようという意思もなく考えない)私でしたが、大団円の後にまだページが続くの
で何かと思ったら・・・
どうやら、連載を頼まれたものの、じっくり練っている暇がなくて、短編の旧作に手を入
れて長編にしたてたそうで、その旧作とそのときの事情が述べられていました。
驚いたのは、その旧作はまず問題編というのが出され、犯人と犯行の詳細あてクイズ
応募みたいのをやり結果が記載されていたことでした。犯人を当てた回答が結構あり、
4つのポイント設定に対して、完全正解はなかったそうですが、いくつかはズバリ当てた
方達がいらっしゃっという事です。すごい推理力をお持ちの方っておられるんですねぇ。
ところで、折角、題名まで出しましたので、ほんの少しだけ内容紹介。
軽井沢の奥深いところに住居を構えて移り住んでいる、人気を鼻にかけ、傲慢不遜の
作家、篠崎豪輔が、雑誌社の社員、田中が原稿を貰いに行き、原稿が完成する(口述
したのを女性の助手が清書、それに作家本人が朱を入れる形であって、その清書が
遅れているということで手伝ったりしたというわけですが)のを待つ間、何者かに殺害さ
れる・・・。第二部がそれで、この編集者・田中が一人称になっているというものですが、
色々な人間がそのとき、この屋敷を訪れていて、刑事らが泊まりこんでいたにもかかわ
らず、連続殺人が・・・というものです。
ちなみに、この小説の中の登場人物の一人が、ホウムズをけなし、エラリークィーンを
買っているというセリフを吐いていますけど、鮎川さん本人の評価だったのかな?
私自身は、江戸川乱歩・少年探偵団が探偵小説好きの原点であり、次がコナンドイル
の名探偵ホームズものでしたし、それより後で読んだエラリークィーンものはちょっとと
いう輩ですので評価が違いますなぁ(^^;
そういえば、私はアガサクリスティの作り出した「灰色の脳細胞」名探偵ポアロ物は好
きですが、ドラマでは、自らを名探偵と言うなど、ちょこっと嫌味なところもある人物像
ですなぁ・・・
(’15/10)
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