京極夏彦作品(’14/12)
何冊も読んだし、本コーナで触れたと思っていたのですが、なぜか、書いていなかっ
たようです。京極夏彦さんの「京極堂シリーズ」。
ご存知のように、とにかく分厚い、しかも講談社本では上下二段。妖怪物語ではない
のに、底に流れるメインテーマは最初のページに絵が出ている特定の『妖怪』。
私とって、この小説の一番面白いところは、勿論、「推理小説」ですけど、とにかく登
場人物(それも常連の)が、多く、ほかのサイトで目にした丁度よい語彙を借用します
けど、皆、『キャラが立っている』・・・。場面場面で別々の登場人物がそこの主人公
的存在になっていて、とにかく、淡々と垂れ流されない、そういう面白さがあります。
通常の推理小説と同様に、最後の種明かしをする形の名探偵的存在は古本屋兼神
主である京極堂主人・中禅寺秋彦ですが、完全書斎派であり、それ以外の人物の
数々の活躍というか、そういう場面が多々あり、そこに天才的超人探偵ものと異なる
面白さを感じている私がいます。すなわち、単に「謎解き」の面白さだけではなく、
それぞれにキャラが立っている沢山の登場人物の言動が楽しいというのが私の率直
の感想です。
映画化された作品も二つほどテレビで見ました。こういう映画化・ドラマ化されたもの
は、往々にして原作とかけ離れたものになったり、役者が自分の抱いていたイメージ
と異なるので、ある意味、がっかりすることが多々あります。
その点、映画版の主要登場人物は中禅寺秋彦役の堤真一さんを除き、榎木津探偵
役の阿部寛さん、刑事・コバシュウ役の宮迫博之さん、関口役の長瀬正敏さんなど
は私のイメージにぴったりでした。ま、よくよく考えると私のイメージの中の中禅寺秋
彦役にぴったりの役者はいないかもしれませんけどね。もうちょっと年上で渋いイメー
ジですからねぇ。ですから、そういう意味ではキャストでがっかりということはありませ
んでした。原作と脚本が異なるのは仕方がないことでしょうし。
それにしても、中禅寺秋彦等に語らせる知識というのは作者の知識・知見だと思い
ますがすごいものですね。これは作家デビュー前から培われていたものなんでしょう
か?それにしても、単に付けは的知識ではこういう事件の底に流れる人物を支配す
るテーマにすることはできない気がしますから、すごいですね。いつも感心して読ん
でいます。で、どの作品も間をおいて二回以上読み返してます。どれが一番という
ようなランク付けはできていません。それぞれに面白かったというのが本当のところ
です。ま、それにしても読めない漢字が出てきますねぇ(^^;。姑獲鳥とか・・・
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