惜しいなぁ(’14/6)


最近、『サイレントブレッド』という小説を読みました。

作者は、北林一光と言う方。実は、この方の小説は前に『ファントムピークス』とい
う作品を読んさのを思い出しました。それは、ありうる近未来的な一種の『怖さ』を覚
えた作品でした(後述)。

で、この作品はがらっと違う作品で、こちらは「怖さ」ではなく、ある意味、私的には
後味はよい作品です。

いずれにしろ、両者とも私には印象深い作品です。多分に、私にとって、作品の場
所的な興味もあるものとは思いますけどね(^_^;)。

しかしながら、残念ながら、この作者の方は、最初の作品「ファントムピークス」が
第12回松本清張賞最終候補にノミネートされ、出版される前に病死されたとのこと。
ですから、今回読んだ「サイレントブレッド」も遺稿ということです。

実に惜しいです・・・

さて、ファントムピークスの方は、少しだけネタバレしますと、「ひぐま」が出てきます。
実は、たまたま、ネットで北海道などで起きたヒグマの事件を目にして怖い思いをし
ていたときでしたから、前述のように『恐怖感』を感じたのですが、秋田でひぐま関
連事件が起きたとき、私はこの小説を真っ先に思い出してぞ〜っとしました。
なぜなら、ひぐまが出てきますが、小説の舞台は長野県だからです。

このサイレントブレッドも長野県が舞台になっています。作家の仮想地かと思いまし
たら実在の地だったので驚きました。『カクネ里』という地名が出てきます。
北アルプスの鹿島川上流の最奥地、鹿島槍ヶ岳の東側に実在する地です。
厳しい沢登りか、冬に稜線から下るしか行けない無人の地のようです。

東京に住む大学生の、失踪した父親の車が1年後に長野県で発見されたことから
物語が始まりますが、働いている母親の代わりに車の引き取りに出かけたことが
発端になり、母親さえも知らなかった父親の秘密などをはからずしも登場したたく
ましいヒロイン?らの協力の元、全てが解決するまでにこの大学生の男の子が精
神的に成長していくのが見てとれて、そこに一種の「救われる」ほのぼのしさを感
じました。

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