面白い「荒唐無稽小説」(’14/1)


私はいい年こいて、荒唐無稽な小説が好きです(^_^;)。

本屋で、「警視庁暗殺部D1」(矢月秀作)という文庫本を見付け、一挙に読みました。
本当に「荒唐無稽」なんですが、痛快なんですね。

少々、ネタバレですm(__)m



法で裁けない悪の主犯を裁判にかけず、抹殺するというお話です。部の直接のトップは、
は、表向きは、かつては組対の鬼と言われたのに、今は年下の上司に馬鹿にされてい
る昼行燈の菊沢。コードネームは「ツーフェイス」。警視庁内に「第三者委員会」なるもの
が秘密に設置され、その下に、第一調査委員会、第二調査委員会があり、そこで案件
がクロまたはグレーと判定されたものがツーフェイス率いる暗殺部に下ろされ、クロ判
定案件や、グレーの場合はそこが非合法的な徹底調査をし、クロと判断されたとき、三
部署ある暗殺課(D1〜D3)の執行人が刑の執行をする・・・
「・・・。よって、桜の名の下に、極刑に処す」と告げて。

D1というのは1課であり、リーダー(課長)はコードネーム「ファルコン」周藤一樹。
元、刑事。妹をなぶり殺しにした三人の少年を射殺して自首し、刑に服していた経歴。
射撃の名手で執行人の一人。
他のチームメンバーはそもそも警察官でなく曰くありの人物ばかりで男3人、女2人。
もう一人の執行人はコードネーム「サーバル」神馬悠大。刃物遣いの天才。全国剣道
大会で優勝する腕前が災いして喧嘩相手を三人も死なせてしまい、剣道界から追放さ
れ、少年院出所後、やくざの用心棒になり、その強さから「黒波」の名で恐れられた存
在だったが、潜入捜査班に現行犯逮捕され刑務所に入っていた人物。
工作班はコードネーム「ポン」栗島宗平。元自衛官。PKOの工兵として派遣されたが、
がゲリラに襲われ負傷したショックでPTSDになり閉じこもりになっていた人物。
情報班の一人、コードネーム「クラウン」伏木守。約者経験もある元探偵。わなにはまり
無実の罪に問われ、無実は証明されたものの職を失っていた人物。
もう一人の情報班はコードネーム「リブ」真中凛子は元・銀座のNO.1ホステス。彼女に
嫉妬したママに雇われて襲った男を逆に殺してしまう。正当防衛が認められたが頬に
傷を負い、もうホステスには戻らなくなり、整形をした上で介護士の専門学校に通って
たい女性。もう一人の女性はオペレータ役。コードネームは「チェリー」。元レディース
の頭で、敵対グループに単身で乗り込み、全員に重軽症を負わせて、傷害致傷で逮
捕され、出所後、コンビニで働いていた女性。
以上の人物が、皆、それぞれの役割をきちんと果たし、確実に下された命令を実行し
ていくというもの。

簡単に終わった案件で仕事ぶりの紹介があり、ファルコンの思い出の形でメンバー紹
介があり、そしていよいよ本筋の案件へ入ります。実に小気味よく、痛快です。
そして、ちゃんと全てを隠匿するためのアントという組織もあって協力して処理してい
くというもの。その組織の長も、警視庁技術職員で昼行燈老人。コードネームは、
「ベンジャー」加地壮吉。

本篇の最後の悪人抹殺の舞台と方法はこれまた痛快でした。こういう、荒唐無稽な
話はやっぱり面白いです(^◇^)。エログロの西村寿行シリーズも面白いんですが、
あちらははちゃめちゃでグロすぎるきらいがありますからね。

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