線路好きが高じてきています(59)('20/8)

  〜昔あったAMTRAK"Black Hawk"のルートを辿る〜

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今回もずっとやっている「線路が好き」という私の全てネットから得た情報のヨタ話で、アメリカの鉄道のいわば
「紙上旅行」(というか、google map/google earth/YouTube画像での机上鉄道旅)です。
線路と地図好きの私は未だに飽きもせず、google earth/mapで線路を眺めています。
勿論、マニアックで、独りよがりのものですので、自分のメモ代わりの記事でしかありません(^^;
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ちょっと前に偶々、OpenStreetMapというサイトを発見、そしてこのmapはアメリカの鉄道地図をあたって
きた私にとっては鉄道がきちんと描かれていてなおかつ路線名もかなり付記されていて大変ありがたい存在と
なっています。

そんな中で、そこに記載されていた路線名に関してググってみたところ、かつて存在し今は無きAMTRAKが
使用していた路線であることを知りました。そのAMTRAKの名前は、私にとっては魅力的な"Black Hawk"。
1974〜1981までの7年間、Chicago, IL〜Rockfield, IL〜Dubuque, IA間を走っていたそうです。
(注:IL;Illinois州、 IA;Iowa州)

調べていた路線は、Canadian National(CN)Freeport subdivision(Chicago, IL〜Freeport, IL)。
Illinois Central(IC)の路線で、AMTRAK"Black Hawk"が走っていたのはこの旧IC時代のことです。IC自身
はAMTRAKが発足する1971年より以前の1967年にこのルートの旅客列車(passenger train)を廃止していた
ためか、AMTRAK発足時にはこのルートの列車は設定されませんでしたが、州などの強い要望により設定した
のがBlack Hawkだったのでした。で、てっきり、この"Black Hawk"というのはICの旧passenger train名か
と思いましたら、違っていました。旧ICのpassenger train名は"Land O'Coln"(これはWatetloo, IAまで走っ
ていました)。開設にあたってAMTRAKはこの名前を推奨したそうですが、Illinois州の強い要望で、Illinois州
にはなじみのあったかつてのCB&Qの列車名の"Black Hawk"に決まったそうです。

        図1 旧AMTRAK"Black Hawk"全路線

図1において、Chicago, IL〜Freeport, ILはCN Freeport subdivision、Freeport, IL〜Dubuque, IAは
CN Dubuque subdivisionです。

図2にCN Freeport subdivisionの起点付近のやや広域図を、図3に詳細図を示します。


    図2 CN Freeport subdivision起点付近(広域図)
    図3 CN Freeport subdivision起点付近(詳細)

当該"CN Freeport subdivision"は図3に示す点がChicago側の起点となっています。
図2,3において、St Charles Air Lineは歴史的な路線で、現在はUnion Pacific(UP)BNSF
Canadian National(CN)の共有trackとなっていて、図2に示すように、Chicago Riverを昇降式稼働鉄橋
で渡り、Union Stationの南側の線路群をover crossし、BNSF Chicago subdivisionに繋がっていま
す。北方からやってきてdiamond crossしているのはMetra RI(Rock Island District)で、Lassale
Street Station
Joliet, IL間のpassenger train路線です。
St Charles Air Line、CN Freeport subdivisionと接続されている東側の路線はCN Chicago subdivision
で、図2に示すように、北方からのMetra ME(Metra Electric)/SSL(South Shore Line)をビル内
(McCormick Placeというところ)でover crossしてMetra ME/SSLの東側に位置して並行して南下して行
きます。このCN Chicago subdivisionはIllinois州を縦断する旧ICのmain lineです。
Metra ME/SSLは電化路線ですが、元々はChicago近郊のpassenger trainにも力を入れていたICが建設した
もので、Metraに売却したものです。
尚、St Charles Air Line→CN Chicago subdivisionにはAMTRAK"City of New Orleans"等が走って
います。図2からわかるように、St Charles Air LineはUnion Stationに直接繋がっていませんので、これの
Union Stationから/への接続はswitch backが余儀なくなされていて運行のネックになっているようです。

CN Freeport subdivisionを南西に辿っていくと図4のところに行着きます。

        図4 NS Chicago Lineとdiamond crossing

北方からSouth Branch of Chicago River昇降式稼働鉄橋で渡ってきたNorfolk Southern(NS)
Chicago Linediamond crossして南西に進んでいきます。
Orange LineChicago Transit Authority(CTA)の路線でこの辺りでは高架となっています。
Union Stationから南側に出発して図4の昇降式稼働鉄橋を渡るpassenget trainは八つのAMTRAK、二つの
Metraで、うち、AMTRAKのTexas EagleLincoln Serviceと、MetraのHC(Heritage Corridor)
は図4の分岐線*1に入っていきます。旧AMTRAK"Black Hawk"もこのルートでした。

このすぐ先は図5となります。

        図5 図4の先、分岐線*1がCN Freeport subdivisionに合流

図5のように、NS Chicago Lineからの2trackの分岐線*1が合流してsingle trackとなり、Freeport subの西
側trackに合流。渡り線aがあるので、実質Freeport subの2trackに合流していることになります。

この先、西(北)側trackから1本の側線が分岐(図省略)して、合わせて3trackで南西方向に進んで行きます。
Google mapやOpenStreetMapではDan Ryan Rxpyをunder crossした先で、この側線は小ヤードに入るよ
うに描かれていますが、Google earthでは、その小ヤードの大半の線路群は既に撤去され、2trackのみが残っ
ています。図6のようにこの付近にOrange LineのHalsted駅があります。。

        図6 Orange Line Halsted Station付近

進んで行くと、側線が本線(CN Freeport sub)に合流し、その先で、南方向にカーブしてきたSouth Branch
of Chicago Riverを渡ります。

   図7 南方方向になったSouth Branch of Chicago Riverを渡る

そのすぐ西で、Orange LineはAshland駅があり、CN Freeport subdivisionはBridgeport(MP4.4)
CN Freeport subdivisionとCN Joliet subdivisionに分かれます。Orange LineはCN Joliet subと同様
ここで南西方向にカーブしていきます。

図8 CN Freeport subdivisionはそのまま進むFreeport subと南西方向のJoliet subdivisionに分岐

現AMTRAK"Texas Eagle","Lincoln Service"及びMetra"HC"はここからCN Joilet subdivisionへ入っていきま
す。旧"Black Hawk"はそのままCN Freeport subdivisionを進んで行っていました。

当該CN Freeport subdivisionを先に辿りますと、図9のところに至ります。

図9 CSX Blue Isaland sub、NS CR&I Indsutrial Trackとdiamond crossing

図9において、Chicago Sanitary & Ship Canal(運河)はSouth Branch of Chicago Riverと西方の
Des Planes River(Mississppi Riverの支流であるIllinois Riverの支流)との間を結ぶ運河です。
Chicago Sanitary & Ship Canalを北方からそれぞれのtrack別々の鉄橋を渡ってきた4track(西側2trackの
CSX Blue Island subdivision、東側2trackのNS CR&I Industrial track)とdiamond crossして
います。また、図のように、南側に2trackのBNSF Chillicothe subdivisionが始まっていて、しばらく
の間、Chicago Sanitary & Ship CanalとStevenson Expresswayの間で、北側2trackのCN Freeport
subdivision、南側2trackのBNSF Chillicothe subdivisionが並行で西方向に進んで行きますが、やがて、当該
CN Freeport subdivisonはChicago Sanitary & Ship Canalを北側に渡り、BNSF Chillicothe subdivisionと
離れて行っています。

図10 CN Freeport subdivisionはChicago Sanirary & Ship Canalを渡る

先に進むと図11のところに至ります。

図11 BRC Kenton Line subdivisionとdiamond crossing

図に示すCN Crawford Yardですが、google mapではヤードらしくいくつものtrackが描かれていますけ
ど、google earthを見るとほとんど撤去されていて、最早「ヤード」としての面影は残っていないようです。
そのすぐ先で、南北方向のBelt Railway of Chicago(BRC) Kent Line subdivisiondiamond
cross
しています。

このすぐ先にCN Hawthoren Yardがあります。

図12 CN Hawthorne Yard

Hawthorne Yardを出ると西北西方向なり、図12で北側に図示されているCecero Intermodel Yardを通
過してきたBNSF Chicago subdivisionをover crossします。3trackのBNSF Chicago subはAMTRAK
"Califronia Zephyr"、"Southewest Chief"、"Illinois Zehyr & Carl Sandburg"
及びMetra
"BNSF"
のPassenger trainが利用しています。

図13 BNSF Chicago subdivisionをover crossing

CN Freeport subdivisionはここまで2trackでしたが、Broadview, ILでsingle trackとなります。

     図14 Broadview, IL@ 2track→single trackに

そしてすぐ西で南北方向のIndiana Harbor Belt Railroad(IHB)をover crossします。

     図15 Broadview, ILAIHBをover crossing

図14の分岐線*2はCN Freeport subではなく図のようにIHBへの渡り線でした。

進んで行くとElmhurstとVilla Parkの境界部付近、丁度Salt Creekの上で東西方向のUP Geneva subdivision
をunder crossします。このUP Geneva subdivisionはMetra "UP-W"が走っています。

     図16 UP Geneva subdivisionをunder crossing

さらに進んで行くと、Mungerで図17のようにCN Leithton subdivisionをunder crossします。

     図17 CN Leithton subdivisionをunder crossing(Munger)

この先で、今度はUP Belvidere subdivisionをunder crossします。このUP線 Belvidere subdivisionは
CN Freeport subdivisionと同様、Rockford, ILまで行っています。これについては後述します。

     図18 UP Belvidere subdivisionをunder crossing(South Elgin)

すぐ先で、Fox Riverを渡ります。

     図19 Fox Riverを渡る

この先、北東方向となり、やがてGenoa, ILでCanadian Pacific(CP) Davenport subdivision
over crossします。CP Davenport subdivisionは西のSavanna, ILでMississppi Riverを渡る路線で、前の
Milwaukee Road、そして東の方Big Timberから先Chicagoまで、Metra MD-W(Milwaukee District
West)
となります。

     図20 CP Davenport subdivisionをover crossing

この先、いよいよRockford, ILへと続きます。北東方向に進む当該CN Freeport subdivisionは東方からのUP
Belvidere subdivisionに接近し、 しばらくRockford市内を並行に西方に進んでいます。

     図21 Rockford, IL@

やがてUP Belvidere subdivisionは北東方向に進み、当該CN Freeport subdivisionはそのまま西方に進んで
行きます。

     図22 Rockford, ILA

Rock Riverを渡る前に西側から入る形の南方向への分岐線があります。これは、Illinois Railroad(IR)
Rockford Branchで、BNSF Aurola subdivision上の街Flagg Center, ILまでの路線です。

Rock Riverの西側は図23です。旧AMTRAK駅があります(東側から入る線路だけは残っていますが、西側への
合流線やホーム、駅舎は撤去されています)。また、UP Belvidere subdivisionは図のようにこの付近で終端
となっています。

     図23 Rockford, ILB

     図24 Rockford, ILC旧AMTRAK駅付近拡大

Rockfordを出るとほぼ西方に進み、Freeport, ILに行きます。CN Freeport subdivisionはここまでです。
AMTRAK"Black Hawk"はさらに先に進んでいました。Freeportから先はCN Dubuque subdivision
なります。まずはFreeportから先北西へ進んで行き、図25のようにWisconsin州との州境まで至り、その後、
南西方向に方向を変え、やがてMississippi River東岸側に至り、Mississippi River東岸沿いを北上してきた
BNSF Aurora subdivisionに北向きに合流します。

     図25 CN Dubuque subdivision(1)

CN Dubuque subidivisionは合流後、trackage rightsでBNSF Aurora subdivisionのtrackを使用して北上し
ていき、East Dubuqueで東側に分岐(single track)し、トンネルに入り、トンネル出口で2trackのBNSF
Aurora subdivisionをdiamond crossし、すぐにMississippi Riverを渡ります。

図26 CN Dubuque subdivision(2)East Dubuque

旧AMTRAK"Black Hawk"の終点はMississippi Riverを渡った先IOWA州のDubuqueです。
下図に当時の終点駅付近を示します。なお、図のように,今は駅舎と線路の間にIce Harbor driveができて
しまっています。

     図27 Dubuque

さて、AMTRAK"Black Hawk"が廃止されて以降、Rockford, ILやDubuque, IAにはpassenger trainが来なく
なって久しいです。で、Illinois州では"Black Hawk"復活の要望が強くあり、AMTRAKは復活検討を開始した
のですが、今回辿ってきた以前のルートは、現在はCNの所有で、本来AMTRAKはいずれの路線も使用する権利
を有するのですが、詳細を詰める中でCNとの話し合いは成功しませんでした。
そこで、Illinois Department of Transportation(IDOT)は以前からRockfordからはMetraの延長要
望があったこともあって、列車名は"Black Hawk"として、とりあえずRockfordまでとして現行Metraの延長の
形(Union stationからMetra Milwaukee District West[MD-W]終点Big Timber→UP Belvidere subdivisionで
Rockfordまで)という全くの新ルート提案を行いました。で、2015年発足予定でしたが、費用の問題が大きく、
当時の州知事の了承が得られず、延期され、その後の知事の了解が得られましたので、実現に向けて大きく動
いているようです。ただし、Rockfordまででも下記問題のクリアが必須です。

(a)現Metra線とRockfordに向かう路線(UP Belvidere subdivision)の接続線が必要
(b)UP側から予定しているUP Belvidere subdivisonは信号及びtrackの改良が必要であることの指摘あり
(c)中間駅をどこにするか(ElkhurtかBelvidereか−間が離れすぎているが)
(d)Rockfordの駅新設が必要

(a)に関しては現在の図を下図に示します。現在、両者の間には渡り線はありません。

     図28 MD-W線とUP Belvidere subdivisionの関係

この先、旧Black Hawkと同様Dabuque, IAまで行くとするとCN線しかありません。IDOTは話し合いに自信
を持っているようですがどうでしょうか?現在はUP Belvidere subdivisionとCN Freeport subdivision間に
は渡り線はありませんので新設が必要ですがRockford駅をどこにするかによっても位置の問題があるものと
思われます。
尚、このような動きもあって、もう長い間passenger trainが来ていないDubuque, IAの方でも期待感がある
ようです。ここにはこの昔のBlack HawkルートのみならずMississippi川西岸沿いでのルートの話もあるそ
うです。前述のように前のBlack Hawkの駅は最早使用困難ですが、別のところに先に作り、「駅はある、
あとは列車が来るのを待つだけ」とか言っているという話もネット上にありましたけど、西岸沿いの方も鉄
道会社の事情があって、簡単にはいかないみたいです。

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