列車事故について(’15/5)
私は、過去、出張とかツァー旅行等で飛行機を使ってきましたが、本質的に
飛行機は好きになれません。スカパーのナショジオというチャンネルでメー
デーという航空機事故を扱ったテレビ番組があるのですが、見ていると本当
に怖くなります。
一旦飛行機事故に合えば、よほど運がいい限り間違いなく待つのは死です。
そしてその事故は、その人にとって、何回飛行機に乗ったかという確率的な
ものではない怖さがあります。かつて、羽田沖日航墜落事故というのがあり
ましたが、飛行機が嫌いでそれまで一度も乗ったことがなかったのに、出張
でやむおえず初めて乗った方がその事故機に搭乗されていたという話を聞
いたことがありました。幸い、その方は命は助かったそうですが。
そのとき、1970年代頃だったか(もっと後だったかな?)テレビで放映されて
いた兼高かおる世界の旅という番組を思いだし、兼高かおるさんは沢山、
飛行機に乗られているのにずっと無事だということを思い出した覚えがあり
ます。
そういうことから、時間的余裕があるなら、少なくとも国内では鉄道で行く方
が安心できるというのが正直な気持ちです。
しかしながら、列車でも、100%安全ではないという現実を現代でさえ知らされ
る事故や「あわや」ということが今月でも発生しました。
基本的に、列車事故は「レール」の上を走るものという宿命的なものかもしれ
ません。そして、鉄道界では「安全」ということの研究開発に力を注いできたよ
うですが、やはり、どうしても抜けがあり、人的要因が関与してしまうようです。
前述の航空機事故もメーデーという番組を見ていると、本当、人間は神には
到底なれないということがよくわかります。実に怖い、人間自身の宿命かも。
一つは、5/21に米国で発生したAmtrack脱線事故。報道では、ワシントンから
ボストンまでの東海岸の人気コースだそうで、カーブで発生、原因は大幅速度
超過(2倍)だとか。ネット上にそのカーブの航空写真がありました。
Amtrackというのは自前の鉄道は所有しておらず、鉄道会社所有の線路を借
用して豪華旅客列車を走らせているのですが、事故の起きた区間はPTCなし
という昔ながらの区間だったそうです。日本で言うATCは鉄道側と列車側に装
置が必要だそうですが、線路所有の鉄道会社が独自仕様ですから、そこを走
る列車はそれにマッチした装置が必須で、国内でも他JR同士ではそのシステ
ムが異なるため、乗り入れには共用性が必須とのことです。
ネットによれば、米国は意外ですがこういう鉄道安全技術に関して先進国で
は一番劣っているそうですね。以前発生した事故から米国内でPTCの義務
化が議論されたそうですが、当然、莫大な費用が発生するゆえ、鉄道会社の
圧力で導入が遅れているとのことです。
思うに、早々と自動車社会化し、鉄道自体が廃れたことから、日本や欧州の
ような鉄道が国民の生活に密着した国々とは事情が異なったものと思います
ね。ま、最初から今に至るまで全て私鉄であるという米国事情もあると思いま
すが。9.11事件以後、旅程を鉄道に切り替える方々が増えたとも聞きますし、
石油危機以来、貨物列車輸送が見直されて増えていると聞きますので、鉄道
システムインフラの遅れはますます重大課題になるのではないかと思います。
ただ、ATCがあればというだけではダメということを思い知らされたのがかつ
てJR西日本宝塚線の尼崎のカーブで起きた速度出し過ぎによる脱線転覆事
故でしたし、つい最近、5/22に長崎本線で発生した「あわや特急同士の正面
衝突」事件でした。
事故とかは得てして、関与している人間の『想定外』のところで起きるものです。
そして、「人間」自体にそれを補完させようというのは所詮、「人間」ゆえに無理
というものなんでしょうね。
少なくとも、今回の長崎本線の事件、大事に至らなかったのですが、鉄道シス
テムに詳しくない私には驚きのものでした。写真がネットにありましたので
勝手に転載しますが、気が付いた運転士が非常ブレーキをかけたため下記で
停止して事なきを得てますけど、間は約90m強しかなかったそうです。35km/h
で侵入したそうですから怖いですね(列車は車のように即停止できませんから
ね。線路を走ることによる宿命か?)。
長崎本線には単線区間があり、上下線は駅で入れ替えが必須ですが、この誤っ
て入線してしまった列車はその手前で異音で点検停車したために列車の遅れが
出て、本来の駅ではなく臨時にこの駅で入れ替えすることになったわけで、運
悪く点検停車した地点が信号から駅寄りという微妙な箇所、運転指令所と運転
士の結果的に連絡不十分でそれぞれの思い込みが起こしてしまった事件のよう
です。ですが、システムの詳細を知らなかった私にはまだ疑問が残っています。
それはネットの映像とか実際に先頭車両にのっていて信号とか線路を見ていて
よく問題なくうまくできているなと感心していたゆえですけどね。
で、列車は車のように運転士がハンドルでカーブを曲がるわけではなく、あくまで
車輪は線路に沿ってしか走れないわけです。運転士は目で相手側の車両を見て
いたわけですから、当然、ポイントが自分の列車の直進方向になっていると思
い込んで既定の35km/hで進んだようですが、実際にはポイントはこの待避線側
になっていたということです。通常、そのときは信号が赤で停止してポイントが切
り替わるのを待つのですが、運悪く点検停止していた位置が運転士にとっては
信号を過ぎたあとだったようで確認できなかった?ようです。
う〜ん、よくわからん???
待避線に電車がいるなら、図の上の本線上に電車がいる場合、当然ポイントは
下図(a)のはず。そして、電車が直進方向線路に入り込んだ後、(b)に切り替わっ
て待避線の電車は出発可能なはず・・・。ところが、まだポイント過ぎない前にポ
イントが(b)だったということですね。う〜ん・・・、わからん??
(b)になっていたら、当然、直進方向の信号は「赤」。不幸にも点検停止した位置
は運転席が信号を過ぎた後だったという・・・。で、運転士は待避線に電車がい
るのを見てますから、運転再開goが出れば、当然ポイントは(a)になってるはず
と思ったわけで・・・。一方、運停指令室は列車を直接可視できない・・・
こういう異常時は運転指令室と運転士の電話やり取りだけがポイントになるとは
いやはやですなぁ。
かつて起きた信楽高原鉄道事故と異なり、同じJR九州同士・・・
これと前述の米国の情況見て、別項で紹介してきたように、米国では平面交差、
所謂ダイヤモンドクロッシングが普通にある・・・よく事故が多発しないか不思議
でなりません。本数が少ないゆえか?貨物列車が多く、日本のような時間厳守
主義ではないためか?でも、怖さを表現した映像がYouTubeにありました。説明
見たらreal videoではなく作者が意図的に編集したものとありましたけど、怖さを
警告するためではないかと思いますね。
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