どうなるのか?(’14/2)


来年、長野〜金沢間の北陸新幹線の開業に合わせて、富山〜直江津間のJR北
陸線区間が第三セクタ化になると聞いていますが、その間のJR北陸本線から出
ていた支線はどうなるのでしょうか?

ネット情報では今のところ、そのままJR路線で残るらしいのですが、ということは
JRとしては直接独自でそこまで車両も乗客も運べない飛び地になってしまうんで
すよね?すごく、素朴に「なんだかなぁ」って気がします。

で、私が一番気にしているのは、高山本線なんですね。ここは、飛騨高山市や下呂
温泉という観光地がある岐阜県側はJR東海管轄で、終点・富山を含む富山県側が
JR西日本管轄となっています。旧・国鉄金沢管理局扱い部分がJR西日本路線に
なったといういきさつがあるそうですね。しかしながら、富山を通る在来線の北陸本
線がJRから離れ、3セクになるわけです。勿論、富山駅はJR新幹線駅となります
けど、新幹線と在来線は独立してゲージも違います。

私が気にしているのは、飛騨高山方面への関東・関西からの観光客の流れであり、
今はJR東海の東海道新幹線⇒名古屋発で途中岐阜駅から高山本線に入る特急
ワイドビューひだでという流れがメインだったと思うのですけど、JR東海そしてJR
西日本の思惑はどうなんでしょうか?

現在、JR東海はJR西日本の北陸本線を使用して富山まで特急しらさぎを走らせ
ていますが、北陸新幹線開業後は金沢(または和倉温泉)迄になるそうですから、
名古屋方面から乗り換えなしで富山まで行くには、今はこのルートより遅く、本数
も少ない富山行きワイドビューひだしかなくなるわけです。
JR東海の高山本線運営を見てますと、下呂温泉・高山という観光地に観光客を運
ぶことをメインにしている感がしますから、関東・関西方面からの乗客の流れにつ
いて検討しているとは思いますが、維持発展させるつもりか、じり貧でもいいやとい
うつもりか思惑がとんと見えてきません。

高山本線というのは本線とは名ばかりで単線・非電化路線であり、飛騨高山・下呂
温泉がなかったら、恐らく、国鉄民営化の際に唯一廃止された本線である名寄本線
と同じ運命をたどっていたかもしれません。JR東海側で昔からの市は人口が多く
ない美濃加茂市(美濃太田駅がある)・高山市だけですし、岐阜〜鵜沼間は名鉄各
務原線が競合路線であります。そして、先般、長良川鉄道に乗るため、太多線で美
濃太田駅に降りたとき、ちょっとカルチャーショックを受けたのですが、市の玄関口
の駅でワイドビューひだの停車駅・駅弁販売駅なのに、駅に人が少なく非情に閑散
としてました。また、時刻表からは窺い知れなかったんですが、岐阜〜美濃太田間
は高山線に乗り入れている美濃太田〜多治見間の太多線の気動車は朝夕、太多
線の区間だけ車両増結していること(多治見行きは岐阜から美濃太田までの高山
線区間は2両で来て、美濃太田で1〜2両増結、美濃太田行きは美濃太田で切り
離して高山線区間は2両で岐阜に向かう形)太多線区間で3〜4両も乗って初めて
知りました。だから、時刻表の列車番号の最後の文字が、岐阜〜美濃太田間はC、
美濃太田〜多治見間はDとなっているんですね。2両編成のときはワンマンカー
(気動車の場合、JR東海はワンマンカーはCを付けているようです)で、3〜4両編
成のときは車掌がいるんです。太多線は可児〜多治見間の利用客が多いんです
ね。岐阜県内の路線ですけど、多治見から中央西線で名古屋方面に通う乗降客が
多いんです。

結局、JR東海にとって高山本線は前述のように、下呂温泉・飛騨高山という観光
地まで観光客を運ぶというのがメインになっている路線であり、日常利用者用は乗
降客も少なくおまけ程度なんでしょうね。国鉄時代には存在した貨物列車もJR東
海区間には最早存在していませんし。

しかしながら、この高山本線は鉄道沿線の車窓という面で見ると実に魅力的な路線
なんですね。JR東海はそういう無形の「観光」をいかしていない気がします。すごく
勿体ないですよね。これは、何も「乗り鉄」さんだけではなく、子供たちにとっても、
大きな魅力でないかと思うのです。私は幼少の頃、まだ高山線がSLだった頃に、何
度か祖母に高山市の知り合いの所まで岐阜から乗ったことがありましたが、SLのば
い煙が目に入って痛い思いをしながらそれでも窓開けて車窓を楽しんだ記憶があり、
どうやらこれが私の鉄道好きになる一環だった気がしています。

ネットや鉄ちゃん達から合理化の権化と揶揄されているJR東海さん、一社独自でリ
ニア建設する予定で資金問題があるとは思いますけど、鉄道にノスタルジアを感じて
いる大人も多くいますし、子供の鉄ちゃんも時に見かけますので、少しくらいは遊び心
抱かれても心象の好転など決してムダではないと思いますよ。
すなわち、イベント列車を途中に走らせることです。私は美濃太田〜高山間がいいと
思うのですが。これならダイヤの余裕もそこそこあるのではないかと。そして、それに
は何よりも人目を引く列車でないとわざわざ乗りに来てくれないでしょう。
例えば、トロッコ列車とかSLとかDLでもいいですからお座敷列車などの静かな客車
列車というものです。JR東海は機関車を全廃してしまい、最早、機関車の運転士養
成もやっていないことは知っています。しかしながら、客車の1編成分くらい作るお金
は十分持っていますし、リニア建設費に比べればへでもない額じゃないでしょうか?
車両製造メーカの日車を子会社化しましたしね。後、機関車や運転士はJR貨物から
借りて来ればいいわけです。そういう編成を高山本線とか中央西線の木曽谷とか紀
勢本線の亀山以降とか飯田線とかでイベント的に使い回せば元取れないでしょうか?
定期運行ではないのですから使い回しも機関車・運転士の借用も大した問題になら
ないはずです。もう少し、仲が悪いと言われているJR東日本の遊び心を斟酌しても
いいのではないかと思うんですよね。JR東海路線でない路線でもブルートレインが
廃止されつつあるのに、未だにブルートレイン廃止の元凶みたいにくそもみそも一緒
にして鉄オタから攻撃されるようなことに企業イメージからも甘んじてもらいたくない
思いをJR東海地区の名古屋人ゆえに強く抱いているところです。

ネット見てますと、東海北陸自動車道が出来て、バス運行も早くなったから鉄道を使
わなくても行けるのでという意見もありますし、確かにそれを利用される方もいるとは
思いますが、奥の方では片側一車線になること、名神との接点の一宮JCの夕方にお
ける恒常的渋滞、そして、冬季の雪を考える時、やはり「定時運行」の面で鉄道が優
れていることは間違いありません。鉄道会社はそのメリットをPRし有効利用すべきで
はないでしょうか?そして、JR東海さんは、鉄ちゃんを毛嫌いせず、彼らがネットで撒
き散らしている悪いイメージを覆すことに努めて頂きたいのです。日常利用しない関東
・関西の18キッパーと違って、名古屋近辺の利用者にとっては旧・国鉄時代とは雲泥
の差のサービスしてくれているのですから。


JR東海にしろ名鉄にしろ、「人を目的地に運ぶ」というだけの視点でなく、「『鉄道』そ
のものに客を呼ぶ
」という視点をもっと持てば鉄道復権もありうる気がするのです。
そして、それは一部の鉄ちゃん向けだけでは一過性に終わってしまいあまり話題にな
らないのです。別に「鉄ちゃん」でなくても「鉄道で旅すること」自体を楽しんで乗ってく
れるような工夫をすべきでではないでしょうか?あまりに勿体ない気がしてなりません。

戻る