現実とノスタルジアの狭間で(’14/2)
ネット眺めていましたら、あの米国で貨物列車が復権しつつあるという情報を目に
しました。確かにYouTubeにも何マイルもある長大編成の貨物列車の映像もありま
した。また、スカパー鉄道チャンネルの「世界の鉄道と模型」という番組でも結構、
貨物列車の映像があります。
さて、日本ではかつては、どんなローカルな支線でも黒い有蓋者(ワム等)、無蓋車
(トラ等)、タンク車(タキ)などを機関車の後ろに繋いでとことこ走っていたこと
を思い出しました。かつては大手私鉄も貨物列車を走らせていたんですね。忘れて
いたのですが、名鉄瀬戸線でも旧・大曽根駅にデキ(名鉄電気機関車)や有蓋車が
あったのを思い出しました。
しかし、道路の拡充もあってトラック輸送に追われて衰退するにつれ、かつては沢
山あった工場引き込み線も大半が廃止され、一方、トラック輸送に対抗するため、
旧・国鉄末期より、JR貨物(JRF)に引き継がれているように、コスト・物流速度など
からの貨物輸送の合理化のため、昔の色々な貨車連結の代わりに、コンテナ輸送
車(コキ)がメインになり、大きな操作場が消え、貨物列車自体走っているのは幹線
が大半で、ごく一部、特定メーカの貨物輸送で幹線以外の路線で専用貨車がほそ
ぼそと走っている程度になってしまっていて、鉄道ファン特に貨物列車ファンの方達
には寂しい限りですね。
そうなると、「もうこれ以上、貨物列車は減って欲しくない」という希望が増してきて、
すぐ口当たりの良い「エコロジー」を持ちだして「鉄道復権」の錦の御旗にしたり、国
営だったゆえに、親方日の丸で圧力も受けやすくムダが多くて超赤字になり、それ
ゆえに民営化がなされてしまったことを軽視して国鉄時代がよかったなどと言い、
JR旅客会社の方針を批判したり、お役所などの意識を攻撃したりと、ネットではか
んかんがくがく論争が見られます。
私自身の中には、かつての貨物列車の姿がノスタルジアとしてありますけど、効率
化という時代の波には逆らえませんので、かつては好きではなかったコキでも機関
車で牽引されている貨物列車というだけで見かけるとすごく嬉しい気持ちになって
います。スカパー鉄道チャンネルのCMで「貨物列車が来ると神に感謝したい。そん
なあなたに鉄道チャンネル」というのがありますが、似たような気持ちになっている
最近の私です(^_^;)
で、復権なんですが、今、トヨタ自動車は毎日、東北工場への部品輸送を専用の青
いトヨタコンテナで鉄道輸送しています。しかし調べてみましたら、輸送費が格安に
なるように日通などと一緒になって工夫したゆえのようですね。大企業で大量安定
輸送ゆえに可能だったんでしょう。極小貨物では無理みたいですね。
米国の場合は、ガソリン代高騰でトラック輸送費が高騰したこともあるそうですが
日本ではトラック協会が輸送費への転嫁を我慢しているらしいので同じにはならな
いらしいですね。国情の違いと言えばそうなんですね。
よく、勝手な時だけ、海外ではどうのこうのという方達がいますけど、表面的な面だ
け見て言っている例が多々ありますね。日本はやはり、「日本的な」面がありますの
で、海外と一緒にはならないんですね。しっかりと調べないとそういう無責任なため
にするような虚言に流されてしまいます。
名古屋近辺にはまだ、1会社貨物がいくつか残っています。そして、それが会社の
利益頭になっている中小私鉄などがあるので実は驚いています。そういう中小の鉄
道会社にとってはあれだけの貨物本数で利益頭でやってけいるということは相当、
貨物料金は高額なのかと考えてしまっています。未だ、そういう貨物列車を利用し
ているメーカは未だにちゃんと引き込み線を有しているんですよね。
ネットで調べた結果を別項で示しましたが、西濃鉄道は「赤ホキ」が収入源になっ
ていますし(旅客は扱っていない)、三岐鉄道は力扱いもしてはいますが、メインの
収入源はセメント輸送や「白ホキ」ですし、衣浦臨海鉄道はその「白ホキ」がメイン
の収入源なんですね。ということは未来永劫、安泰ではないということです。
セメント業界は不況でセメント列車輸送は次々に姿を消してしまっていて、この近辺
でも、住友大阪セメントのセメント輸送が経営のメインであった樽見鉄道が旅客輸送
だけになって廃線の危機にあるくらいです。一社輸送だけだった紀勢貨物は昨年3
月廃止されてしまいましたね。この地にはまだ、同じ紙輸送は王子製紙春日井工場
からのものがありますけどね。
さて、かつてなぜ大手私鉄が貨物輸送をしていたかですが、国鉄沿線でなく私鉄沿
線に工場がある会社の便のためだったようですね。で、私鉄だけでは全国ネットは
できませんから、旧・国鉄(現・JR)にも寄りの駅で接続していたのですが、その国
鉄末期より貨物輸送の縮小合理化もあって成りたたなくなって廃止されたようです
ね。私鉄自身の沿線内に閉じた貨物輸送ではなかったようです。
かつてのローカル支線の貨物列車輸送と同じだったということですね。
私はちょろっと考えて、基本1台という道路事情に左右され、運転者不足が問題化
している自動車輸送より、一度に沢山運べて時間的にも安定している貨物列車輸
送が今一度見直されてもよいのではないかと思ったんですけど、そんな素人がちょ
ろっと考えるような甘い話ではないようですねぇ。鉄道の保守・維持は基本鉄道会
社の自己負担でやらねばならないわけです。利益のために手抜きをすると今、問
題化しているJR北海道みたいな事態になってしまうんですよね。じゃぁ、国鉄時代
はというと大きな事故を起こしてきたわけですから民間会社だからという論理も実は
ためにするおかしなものです。ですから、利用者負担は必然的に大きくなるわけで
す。トラック輸送とか夜行バスというのは運営会社自身は道路には責任を負わなく
て済むわけですから、事が起きた時の安全負担には大きな差があるわけです。高
料金になるのは必然的でしょう。そして、時間的問題がありますからかつての小荷
物運送が鉄道輸送に戻るというのは不可能に近い気がします。
やはり、本質的にはトヨタコンテナのように、大量に安定輸送するようなものを扱う
大手会社が同様に知恵を絞って逆に貨物鉄道輸送の方がメリットがあるという決断
を下す事が鉄道貨物復権の現実的な姿ではないかと思います。
米国の貨物列車映像を見てますとみなコンテナ車なんですよね。ま、狭い日本とは
違い広い国土の国ですから、宅配便などというのは成立しないのかもしれませんけ
どね。国情の違いもありますけど、米国の鉄道会社は昔から民間会社だということ
も忘れてはなりません。
ま、米国の鉄道はそもそもは『貨物輸送』の目的で作られたそうですが、日本の地
方ローカル鉄道だって同じような事情で作られたものも多い訳で、旅客輸送は言わ
ばおまけのサービスだったわけですからそういうローカル支線は昔からさえ、旅客
輸送は赤字だったことを考える必要があります。ノスタルジアやちょろっと考えた
だけでとやかく言えてしまう話ではないようですね。残念ですが・・・
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