廃線問題について思う(’13/5)
私の人生の間、全国で多くの鉄道が廃止されました。鉄道は一旦廃止されてし
まうと、未来永劫、ほとんど復活は困難です。
これは私のような鉄道好き人間にとっては悲しく寂しいことですし、利用者に
とっては切実な問題でしょう。当然、廃止されずにいつまでも存続されるのが
利用者や私らのような鉄道ファンにとってはHappyではあります。
しかしながら、それを『車社会化が悪い』と社会批判して車利用者を非難した
り、『鉄道は公共交通機関だから電鉄会社は赤字でも我慢しろ』とか『儲け優
先主義』と電鉄会社を悪のように攻撃非難するのはあまりにも身勝手な暴論
としか思えません。
鉄道好きの私は乗車経験ないままに多くの鉄道が廃止されてしまったことか
ら退職して自由な時間がとれるようになった今、速攻でとりあえず廃止問題
が出ている名鉄の2路線(蒲郡線、広見線の新可児~御嵩間)に乗車してき
ました。そして鉄道ファンの私にとっては色々と見るべき楽しい路線でした。
そういう路線だからこそ沿線人口は少なくて生活路線としての利用者も少な
いというのは必然的でしょうが。
ま、乗りに行ったのが平日の昼間と言うこともあってか確かに車内はがら~
んとしていて、2両編成でも勿体ないくらいな状態でした。それでも観光客や
私のような鉄好きでない地元利用者はいましたから、廃止されればさぞ困る
方達がいるだろうなとは思いました。
共に今は暫定的に沿線自治体が援助金を供出することで廃止が先延ばしに
はなっていますけど、大変失礼ながらざるで水をすくっているようなもので結果
的には単に問題を先送りしているだけにしか見えないのは私だけでしょうか?
ここもそうですけど、単に『乗って残そう』というスローガンを掲げても全然解決
にはならないと思うのです。ただでさえ沿線住民自体が少ない上に車社会して
いる現状を考えればこんなスローガンをいくら掲げても解決にはならないのです。
ネットにも「『乗って残そう』では残らない」という意見がありました。逆転の
発想をせよというようなものでしたが。また、よその成功例を見ての二番煎じで
もだめですし、単発イベントやってもそんなものは一過性のもので焼け石に水
でしょう。
問題はそれらの『存続運動』が地元民総意のものなのかということと自治体の
意識(廃止が自治体の存亡にかかわるというような真剣さの有無)にあるので
はないでしょうか?我々、鉄道ファンは所詮無責任な『よそもの』に過ぎません
から応援団にはなれても主人公にはなれないのです。
全廃されてしまった岐阜市の名鉄市内線の場合、資金援助に反対運動まで
あったと聞きます。少ないながら市民やこの市内線に接続されていたやはり
廃止されてしまった名鉄揖斐線などからの利用者はいたわけですが、邪魔物
扱いする市民もいて市としては廃止を飲まざるをえなかったわけです。
市民側の存続運動自体も所謂「よそもの」の応援があっても、肝心の市民自
体からそれほど賛同を得られなかったようです。
自治体自体が、「廃線になると鉄道が来ない街になってしまう」というメンツで
捉えていては絶対に解決しませんし、ましてや存続を電鉄会社の社会的責任
など叫んでもそんなものは身勝手な責任転嫁ですし、車社会化した今、『乗っ
て残そう』というようなスローガンをいくら掲げてもむなしくな~んの解決にもな
らない無意味なことです。
存続させるべき最大の解決策は恒常的によそからの人々に乗ってもらえるよ
うにするしかありません。不便なところを宅地開発しても見向きもされません
し、例え来ても必然的に車を足にするだけでしょう。
その路線だけの中小電鉄会社の場合は廃線即倒産ということになりますけど
その路線がone of themの大手鉄道会社の場合は赤字路線整理に過ぎない
わけですから鉄道会社の意識も異なり同じ努力を求めてもむなしいだけです。
地元民でないよそからの人に乗ってもらうというのは「言うは易くするのは難し
い」でしょうが、①まずは沿線に魅力的な場所を作り、また、②車でなくその電
車で行きたいという気を恒常的に多くの人々にさせるしか手はないでしょう。
『箱モノ』を作るだけでは解決にはなりません。すぐに飽きられてしまいます。
元からある遺産をPR活性化するとか『箱モノ』なら時々、リニューアルするとか
が必須条件となります。要するに『観光』をおまけ的なものではなくこれしか生
きる道はないという必須的なものにすることです。そして、それが地元民にとっ
ても利益になるようにすることです。
鉄道網の発達が道路網より進んでいる東京圏とは違う地方では観光地という
と「車で」という方々も多いです。近年、高速道路網が充実してきていますから
余計そうでしょう。しかしこれはその一つに家族数人で行くと車の方が絶対的
に安いからというのも理由にあります。
私なぞそうで、ドライブを目的としていない場合、本当は鉄道で行きたくても一
人ではない場合には結局、車を使わざるを得ないことになるわけです。
ですから、それでも『その電車に乗ってそこに行きたい』『その列車に乗ってみ
たい』という気にさせる以外に乗客数を増加させる手はないのです。
そしてそれが大手私鉄の一路線を廃止させず存続させる唯一の手段ですから
その方向で知恵を絞るしかないでしょう。
ただ単に、焼け石の水でしかない資金援助で問題を先送りしていても何ら解決
策にはならず『無駄金』でしかない気がします。そんな金があるならもっと知恵を
絞って有効に使うべきではないでしょうか?また、所謂「有識者」ではなく、広く
一般の方々の活性化策に関する意見を募ることも大切だと思います。
今回乗車してきた名鉄が廃止提案を出してきている名鉄蒲郡線も広見線の新
可児~御嵩間もそれぞれ同じ名鉄からの乗り換え駅でである吉良吉田駅、新
可児駅とも同じ名鉄路線同士なのに駅の改札の中に中間改札ができてしまっ
ていて、事実上別扱いしてしまっています。そしてどうも「笛吹けど踊らず」で改
善などされてはいないようですから、このままの状態がずっと続くとはどうして
も思えませんでした。寂しいですが、今のままではいずれ廃線化になるのは間
違いないなと思ってしまいました。
廃止になった路線の映像・写真をテレビやネットで見るたびに「自分で乗ってみ
たかったし、沿線で眺めたかったなぁ」ともう未来永劫それができないため廃止
にならざるを得なかった事情は理解できるので余計に残念無念な気持ちになっ
ていますけど、皆が鉄道ファンじゃないのですから、鉄道ファンだけ希望しても
それはむなしいだけですけどね。
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