都会でのSL走行って(’13/2)


我が名古屋市内にある第三セクタの「あおなみ線」で市長肝いりでのSL実験走行
2/16・17の二日間走ることになり、昨日2/16には市の誘導した沿線の撮影スポットな
どには報道によれば約18000人程度の人が集まったらしいです。
希望乗車募集には定員1200名に対して応募総数が12万人もあったとか(聞くところに
よると1枚で4人分までだそうですから約3万枚の応募だと思われますが)で競争率
100倍だったとか。

もともと、この「あおなみ線」は途中に名古屋貨物ターミナルがある今はJR貨物の所有
(?)の名古屋西臨港線を利用し、その先金城ふ頭まで線路を新規に引いて地下鉄の
代用として市が第3セク方式で作ったものですが、思惑がはずれて不振をかこっている
ため、その活性化案として市長(どうやら市会議員の発案らしい?)から出てきたのが
SL定期運行案だったようです。

で、今回はJR西日本から機関車・客車・機関士を借用しての影響確認の実験走行とい
う位置づけだったそうですが・・・。騒音とか煤煙散布状態調査をしたようです。

私がとっている地元の中日新聞ですけど、名古屋市民版では提灯記事、三面下部では
辛口批評がありました。巧妙と言うかなんというか、名古屋市民以外はこちらの辛口批
評しか目にできないのですから恐らくこちらがこの新聞社の意思の気もします。

で、そこにあったのですが、今回の実験走行では約4000万の費用が投入されたそうで
す。2/14に行われた事前習熟運転1往復と片道5kmわずか20分走行を実験走行本番
1日3回で二日間のために発生した費用らしいです。
そして、昨日の新聞でのJR東海社長談話、今日の新聞での定期観光運転している大井
川鉄道のコメントでは名古屋市側の考えの「甘さ」を指摘していました。

元々鉄道が好きでしたが、長い間離れてしまっていてまた最近、その「好き」が復活した私
ですけど、この話がでてきたとき「ええっ?あおなみ線にSL?」と実はかなり否定的な感覚
でいましたし、名古屋貨物ターミナルまでと聞いて短距離すぎるなぁと今もどちらかというと
決してあおなみ線の活性化には繋がらないのではという否定的な思いがしていますので、
こういう他の鉄道会社からの現実的な辛口批評に珍しく反発ではなく「そうだろうな」という
思いがあります。もっともJR東海社長談話には少々反発を感じていますけどね。

SLは日本では昭和40年代に旧・国鉄が無煙化のために全廃してしまった機関車です。
私は60過ぎの人間ですから勿論、SLが国鉄で定期運行していたのをリアルタイムに見て
いた輩であり、鉄道ファンですから当然ながらSLには郷愁を感じていますし好きです。
最後に国鉄定期運行のSL牽引列車に乗ったのはもう私の故郷の岐阜県では非電化の
樽見線(現・樽見鉄道)の貨物列車くらいでしかSLを目にしたことがなかった1967年春に
旅行で長野から北陸本線に入る普通客車列車(客車列車が好きでわざわざ客車列車を
選択したのです)でしたが・・・ホームで待っていたらなんとSL牽引で驚くやら嬉しいやら
でしたが。残念ながら当時はカメラなるものを所持していませんでしたので写真はありま
せんけどね。

しかし、前述のように日本ではSLは旧・国鉄が1970年代に無煙化と近代化のために廃止
してしまったものなんですね。
今、イベントや観光で復活して走らせているところはどういう路線か考えてみる必要があり
ます。JR東日本、西日本、九州などのイベントSL列車は大都会付近ではなく自然の多い
ところでの運用なんですね。東京や大阪や福岡で走らせているわけではないんですね。
民家も人口も少ないまたはなくてしたがって乗客の少い路線部の活性化のためにわざわざ
走行させているわけです。そして、そういうところはSLには辛い登り勾配があるゆえに
煙と蒸気を沢山はきながらあえぎあえぎ頑張って走るというSLファンが皆感じていると
思う(少なくとも私がそうですけど)魅力があるんですね。
おのずと「SLが走るのにマッチした風景」というのはあるわけです。そしてネットにあふれ
る写真もそういう場面が大半なんですよね。これが私が「大都会の交通機関のあおなみ線
にはSLは似合わない」と感じたことなんです。「SLが走るならどこでもいい」というわけでは
ないのですね<私的には。それがまだ普通だった昔ならそれはそれでいいのでしたけどね。

で、もう一つ現実的な問題がJR東海社長談とか大井川鉄道のコメントなんですね。
ネット見てましたらSLファンではない沿線住民の方の「洗濯がほせなかった」という切実な
意見がありました。今回の実験走行のポイントは煙突から吐き出される煤煙の程度なんで
すね。ニュース映像見る限り、黒い不完全燃焼の煙は出ていなかったようですけど煙は固体
ですから当然影響は出るでしょうね。

後重要な問題は40年以上前に廃止されたSL機関車をどこからどのように調達するかと機関
士・機関士助手の確保でしょう。今、SL運行している鉄道会社は皆、旧・国鉄OBの方の指導
でまずは養成してから運用に入っているようですね。大井川鉄道は機関車入手に5500万くら
いかけたそうです。地方の中小鉄道にとってはですから会社の命運をかけての投資だったと
思いますが、幸いにも大井川鉄道はそれがマッチした山中を走りますし、先に温泉地もありま
すから先駆的な歴史と相まってうまくいっているんでしょうね。
まねしても二番煎じですし、皆うまくいくわけではないはずです。維持をどうするかという問題も
ありますしね。どうやら、JR東や西のイベント運営は費用対効果でやっとこさとんとんレベルら
しいという意見もどこかで目にしました。ファンサービスと遊び心でやっているのだろうと思いま
すね。西は幸い、国鉄時代から動態保存の梅小路機関区を引き継いでいたから可能だったん
だと思います。東は知りませんが、東京地区が日本の人口の4割近くが居住し、綿々と都市が
広がっているゆえに住民の方々の自然へのあこがれが強いのと鉄道交通の便のよさなどが
あきることなく次々とイベント列車利用者を生み出すという背景や人口が多い分、昔SLを走ら
せていた国鉄OBの方も多いでしょうから可能なのでしょうが、それでも「定期運行」は秩父鉄
道とか真岡鉄道くらいしかないようです(秩父鉄道は沿線の小学校?に保存されていたSLを
貰い受け社員から機関士希望者を募って国鉄OB?の方の指導で養成したというのを昨年
スカパーの鉄道チャンネルだったか旅チャンネルだったか忘れましたがどちらかの番組でやっ
ていて知りました。ただ、どうやら昨年夏に車庫内で脱線事故があり、現在は運休しているとか。
ただしここはセメント輸送の貨物列車もあるためにELも所有していてELでの観光列車もありま
す)。
JR東海はあまり遊び心はない感がしていますが、まさにJR東海社長談話の中で、煤煙問題ど
うするのかという当然の指摘とこちらが実は私的にはがっかりしたのですが、「JR東海はSL
の継承もなく機関士もいなのため協力はできない」と名古屋市長構想にひややかな反応をして
ました。JR東海はSLどころかELもDLも客車も最早所有していない唯一のJR会社ですから
ねぇ。分散動力車の電車と気動車の運転士しかいませんから(聞くところではSLどころかEL、
DLでも機関車の運転はこういう分散動力車より難しい技能を要するそうですね)。
地元の鉄道会社がこれでは名古屋市長構想は夢物語で終わりそうですね。肝心の「鉄」の人
からも批判的意見はあっても支持意見は目にしてませんしねぇ。
尚、前述で私が「がっかりした」と書いたのはこの市長構想への非協力発言云々ではなく、今の
経営陣が続く限り、高山本線とか紀勢本線とかそういうJR東海路線で沿線利用者も少なく、した
がって列車本数も少ない所での観光イベント客車列車自体今後もありえないなというのを恐れと
か反東海「鉄」の方の一方的な中傷誹謗ではなく現実にその通りであることがわかってしまった
ゆえです(:_;)。残念ながら遠いところまで旅行ついでにお金をかけて出かけないとそういう体験は
できそうにないなと・・

ま、恐らく今回沢山の人が集まったのは新幹線が走る大都市でのSL走行という物珍しさからの
一過性の興味でしかないではないかと思いますがどうでしょうか?新聞の名古屋市民版には新
幹線とこのSLのコラボレーション写真が掲載されていましたけどね。
名古屋市民、JR東海の社員、そして「にわか撮り鉄」ではない昔からのコアな鉄道愛好家の方
達にはそれぞれどのように写ったのでしょうか?私の勝手な感想としては「今回のこれだけで
十分だったな」というものですけどね(でも、わざわざ見るために出かけようと言うほどの熱意は
鉄道好きの名古屋市民のくせになぜか湧きませんでした(^_^;))。

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