後味悪いミステリー小説、ドラマ(’10/8)


殺人がありミステリー小説としてのある文庫本小説を読みましたが、極めて不愉快なラスト
で後味悪い思いがずっと残っています。

私は根が単純ですから、非現実世界としての小説・ドラマにはハッピーエンドを求めます。
そういう意味で前述のものは私にとってはバッドエンドそのものでした。
その内容からある意味差支えがあるかもしれませんので題名は書きませんが・・・

で、ネットで「後味が悪い小説」で検索してみました。
やっぱり実に人間って様々だなぁと感じました。ずばりこの小説を「後味が悪い」と書かれ
てはいるのですが、私のように完全否定ではなく、読者を騙すミステリーの手法と評価する
意見がありました。感性の違いなんですねぇ。

結構、これまで読んだ小説にはある意味、現実世界の影が落ちていて、「腑に落ちない」面
も多々でてきましたけど、それでもやはり非現実世界としての救いがあったんですけど、こ
の小説にはそういう救いが皆無なものでした。こうまですっきり感が全くない小説もないな
というのが私の読後感でした。

私は悪党小説は嫌いではありません。悪党といっても主人公なんですね。絶対的立場の
悪党の親玉の話ではないのです。悪党ですけどむしろ彼らに感情移入できてしまいます。
たとえば「蘇る金狼」などです。彼らは基本的には個人です。そして見苦しい卑怯さがあり
ません。

しかし近年、溜飲が下がらないバッドエンドの小説、ドラマなどが増えてきましたね。
現実世界に照らせば確かにそうなるのかもしれませんが、小説・ドラマは非現実世界であ
るゆえに価値があるのではないでしょうか?少なくとも私はそれを求めます。世の中、
ネット検索すると「こういう感情、性格、くせは俺だけだろう」と思っていたことを同じ人がい
るのを目にして驚くくらいですから、前述の感性の方は他にもいらっしゃると思いますが
ねぇ。

子供用番組でさえ、すこしこういう傾向が見られますね。特撮主人公が最終回前に死んで
しまうとか、映画に続くで無事終わらせないとか。昔は考えられなかった内容のものがあ
ります。私からすると提供側の自己満足な気がしてなりません。
最初から敵の正体がわかっているものは別として、草創期の子供用ヒーロー番組では敵
の首領が仮面をかぶっていて正体がわからず最後にばれるというものもありました。そし
て最後には悪は滅びるという非現実的荒唐無稽物語でしたけど、子供心に溜飲が下がっ
たんですね。むろん、主人公ヒーローはやられたかと思っても結局無事という話になって
いて一方的に主人公ヒーローが悪をぼこぼこにはしませんから話が続くのですが(笑)

ま、私も年とともに当然感性の変化はあり、荒唐無稽な探偵小説や絶対正義みたいな
ヒーロー物から離れましたけど、それでも「悪が栄える。生き延びる」というのは感性と
して受け入れられません(^_^;)。高みでの納得ができないからです。
やっぱりどこかで非現実的な小説・ドラマには溜飲が下がる結末を望んでしまうんです
ね。「溜飲が下がらなくても」おもしろいと納得されていらっしゃる方たちの感性は私に
はどうしても理解できません。何か観念的な世界で全てを覚めた目で見るのが正しい
のだと思い込んでいいらっしゃるんじゃないのかなぁと思えてしまいます。

「自分の感情に素直になればよい」などと言いきるには私の中に違和感があるんです
けどそれを捨てていかにも「俺、客観的だろう」というような言動は何か嘘くさい見せか
けの綺麗ごととしか感じられないんですがねぇ・・・

ま、人それぞれですから何が正しいなどと言い切りませんけどね。私の感性とはずい
ぶん違うなと思うだけです。

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