欺瞞的言説@


科学に関する件ですが、あえてこちらに書きます。

世相に疎いのか、最近「子宮頸がんワクチン」に関する全国一斉告訴騒ぎが起きたというニュー
スは目にしていたのですが、男ゆえか私の興味からはずれていて調べたりせず、どういうものか
について不案内だったのですが、たまたま、あるところで、この件に関する別の告訴の話題を目
にしました。それで、上記のワクチンのことをもう少し知ったのですが、WHO公認で世界で義務
化の動きまであるものなのに、副作用の訴えが相次ぎ、厚労省では一旦義務化を保留として調
査委員会を設けていたということを知りました。

で、前述の「別の告訴」というのは、その委員会の委員長を務められた方が女性の科学ジャー
ナリストと雑誌を名誉棄損で告訴したという話題でした。
それは、その科学ジャーナリストが一緒に訴えられた雑誌に、その委員長の調査報告に鑑み、
実験データの一部にねつ造があると書いた記事に対するものだそうです。告訴内容としては、調
査は独立のワーキンググループでなされ、委員長はそれをまとめて発表しただけなのに彼が主
導してそういうデータ捏造をさせたというように見えるような記事を書いたということだそうです。
そもそもこの件については不案内ゆえ、そのことを書いている方の一方的記事かもしれませんが、
その科学ジャーナリストが記事で指摘したデータ捏造(というか、実験室でのチャンピオンデータ
だけで原因だと決めつけたというもの)は発表のスライドを作ったと自称した人物のちくりだった
そうで、その後、連絡がとれなくなっていたのに、きちんと裏取りしないで記事にしたという話らし
い・・・

これって実はややこしいんですよね。WHO勧告があり、厚労省の指導があってなされたものの
ようですが、ワクチン投与は医師の仕事。お医者さんは効果があると考えている・・・
で、前述の科学ジャーナリストの方は医者兼の方だそうですから、その立場で事態を見ていたこ
とは間違いないでしょう。一方、その委員長の方は疑念を抱いていた方らしい(信州大学副学長)
そもそも対立する構図みたいですね。その実験をしたのは同じ大学の別の教授の研究室だった
そうで・・・

これも一方的記事なのかもしれませんが、その科学ジャーナリストは患者に対して強引な取材
をし、家族含めて誹謗するようなことも書いていたらしい・・・?

ま、一方的記事を見ただけですので、本当のところはどうなのかわからないのですが、ネット見て
いたら、法的手段を取った委員長批判のブログがありました。前置きが長くなりましたけど、私が
これを書いたのは、その批判の中味に不信感と不快感があったからです。
その人は、「科学だから論文の世界ではっきりさせるべき」と書いていました。確かに一見すると
正論に見えます。しかしながら、告訴の中味は「名誉棄損」です。実際はどうなのかわかりません
が、信頼性が不明な人物のちくりだけで、委員長がデータ捏造を主導したかのような記事を書い
たというようなものだそうです。ですから、「科学だから論文の世界ではっきりさせるべき」という
のは「真偽」と「正邪」を混同させて一般大衆が目にする雑誌に一方的に悪者的に書かれた話と
科学界内の話をごちゃまぜにしている欺瞞的言説だと思うのです。

STAP事件と同様で、純粋な科学的な「真偽」論議がなされる前に、誰かを「悪者」に仕立てた一
方的情報が一般社会に流されてしまったわけで、その時点でもう科学界内部に留まる話ではな
くなっているのです。

ま、私がこの件不案内だった理由の一つはSTAP事件みたいにネットやマスコミ・メディアが大騒
ぎしてこなかったからだろうと思いますが、こちらは対象が国立大学の「副学長」で、あちらは確か
に理研が大々的に発表したからということもあるのかもしれませんが一介の若き女性研究者。
「叩きやすい」状況だったことはド素人でも推測できます。マスコミ・メディアは決して公正・公平で
はありませんから。
あのとき、ネット上では弁護士をつけたことを批判する意見がありました。全く同じ構図なんです
ね。純粋な科学的な「真偽」論議以前に徹底的な「人権無視」がなされたわけで極めて欺瞞的言
説なのです。しかし、小保方さんは博士号まで奪われて科学界を追放されてしまいましたけど、
未だ裁判などの法的告発はされていませんよね。
もっとも、講談社の意図は不明ですけど、代わりに私記「あの日」を出版して一矢を報われました
けどね。これとか、あのSTAP HOPE PAGEに対して、博士号もはく奪され、捏造科学者のレッテ
ルを貼られて日本科学界から追放されてしまっている事実を完全に無視して不可能なのに「論
文で反論して欲しい」と宣った連中がいて、驚きと怒りがわいてきましたけどね。冒頭の話はそれ
と同じ構図なのです。

どうみても、彼らの頭の中には、科学コミュニティを一般社会から超越した特権階級だという意識
が見え隠れしてなりません。それなら、「表に出さず最初から中だけでやれよ」と言いたいです。
表に出てきた時点で「一般社会的事件」になったということです。科学コミュニティ内の地位の問
題だけではなく、社会的地位の問題になったのです。それを知ってか知らないでこうやっていか
にも正論であるかのような欺瞞的言説で大衆を愚弄するのはやめていただきたいものです。不
愉快千万です。そんなものはご自分たちの「むら」の中だけでやっていただきたい・・・ま、お馬
鹿な三流科学ライタが煽ったりしますが・・・

いずれにしろ、どうもこういう名誉棄損裁判って見ていますと、「科学的問題」自体など判決には
あまり影響しないようですね。どう見ても「くろ」としか思えない「論文捏造事件」で、そういう批判
攻撃を受けた方が名誉棄損で告訴して勝訴した事件を目にしていますから。


                            ('16/9)

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