メディアの恒常的な愚挙の現れ


興味の範囲外だったためか、その方の存在すら知らなかったんですが、「全聾、
被爆二世、絶対音感」などと持ち上げられていた作曲家の作品が皆、ゴースト
ライタの手によるものであったことが、当のゴーストライタの方の告白により
明るみに出たというニュースが、私の取っている新聞の一面にもなって騒動に
なっています。
まるで、ミステリー小説に出てくるようなシチュエーションで驚きました。

早速、「どういうこと?」とネット漁りをしてみて、驚き呆れ果てました。
やはりというか、純粋にその『作品』自体の価値評価というより、「全聾」という
「ハンディキャップ」と共に、「被爆二世」という『付帯条件』でメディアが持ち上
げた『偶像』だった感がしています。ゴーストライタの方が、会見で「売れると
は思わなかった」と述べたレベルの作品だったというのが真実を表しているの
ではないでしょうか?

当の本人もゴーストライタがいたことを認めたようですが、追求から逃げたい
連中の常套手段である「体調不良」を理由に自ら出てきて弁明などしていない
ようですね。
ネットではもう「ペテン師 作曲家」というキーワードだけでヒットするように罵倒
の嵐ですから、もうこの方の音楽人生は終わりでしょう。更には、作品を提供し
て18年間の付き合いの中で、「全聾」という感じがしなかったという証言がゴー
ストライの方から出ており、そういう疑いが他でも露呈しているそうで、疑わしい
という意見が沢山でてきています。更には、広島生まれではないらしく、被爆二
世というのも本当かという疑いまであるとか。

ところで、告白されたこのゴーストライタの方、音楽大学の非常勤講師を務め、
今では、御自分名での作品も発表されて評価されている方だそうですが、なぜ、
そういう御自分の地位まで棒に振りかねない告白にあえて踏み込まれたかは
彼の説明で理解できました。週刊誌がかぎつけたからではなかったんですね。
どうやら、告白する引き金になった直接的理由はこのゴーストライタの方が支援
してきた義手の少女バイオリストに絡まる当の作曲家の仕打ちにあったようです
ね。売れ出してテレビにまで出られるようになった当の作曲家の驕りが結局、こ
ういう仮面人生の破綻をみたようですね。何か、本当に、小説見ているようです。

しかし、なぜ、こういう人が生み出されたかというのが最大の問題の気がしてい
ます。ネット情報の真偽は不明ですが、売れないロックミュージシャン崩れの、
この自称?作曲家を音楽活動の手助けをしてやってとこのゴーストライタの方に
引き合わせた人物がいるそうです。その方かどうか不明ですが、どうも、壮絶な
虚構を最初にプロデュースした人物?(組織?)があるみたいですなぁ。
それはそれとして、こういうシチュエーションの人物というのは利用しようとする
連中が確実にいるわけです。自分達の思惑を広げる「道具」にしようとした一部
メディアと「売れる」ことで儲けようとした連中。

最新作?は18万枚も売れたそうですけど、前者の連中の巧妙な扇動に、そうい
うシチュエーションへに感動しやすい多くの日本人が乗せられたのでしょうね。
当の本人でなく、「商業主義」が悪いのだと言っている方がいましたけど、それは
いつものためにするあまりにも低レベルのすり替え言説でしかありません。
「買いたい人」がいなければ「売れない」のは当りまえだからです。
そして、その筋の人々が「評価」しなければ、情報は広がらないのです。
純粋に作品そのものを買っていなかった方もいらっしゃるようですが、ハンディ
キャップのある作曲家というシチュエーションゆえの遠慮が働いたようですし、
有名作家・評論家が持ち上げたことで、作品の純粋な質でなく、前述の付帯条件
が喧伝されて「売れた」わけです。これらの方は、別に、お金を貰って心にもない
提灯評価したわけではないと思いますが、恐らく、その評価には付帯条件が影を
落していただろうと思いますし、いくら弁解しても結果が全てですから、彼ら自身
の評価が低下したことは間違いないでしょう。

当の虚構作曲家は壮大な虚構の主人公を演じたピエロかもしれませんが、それ
で、いい思いをしてきたゆえに罪は非常に重いです。何か、全聾は本当か(障害
者手帳を持っているからというのは絶対的真実の条件では無いようで、診断医者
の偽造事件というのもあったそうですから)ということで当局が調査に乗り出した
とか。

私がこの項をしたためたのは、表面化して以来、この「ペテン師」とネットで罵倒
されている人がどうのこうのというためではなく、そういう「偶像」を作り上げたメ
ディア、それに加担してきた人々への批判をしたいという思いからです。
本当の被害者は、そういう思惑にまんまと扇動されてしまってお金を出した一般
国民だけでしょう。ただし、そういう扇動に乗りやすい自分自身を反省すべきと思
うのですけどね。ま、近年はインターネットの定着化もあって、フィルターかけら
れたマスコミの一方的扇動に踊らされない方々が確実に増えて来ていますけど、
まだまだですねぇ。
ま、間違いなく、偶像を作り上げるメディア側は真の同情などというものではなく、
御自分達の思惑の喧伝材料にしているだけでしょう。なぜなら、過去、利用価値
のないものは殊更無視してきた歴史がありますから。私はそれが許せないのです。

いいですか?メディアも持ち上げた評論家達も、決して、「被害者」でなく、一緒に
なって虚構を広げて国民を騙した「加害者」そのものですぞ!(-_-メ)。
手のひら返しで彼一人悪者にしても駄目。同罪です。 ('14/2記)

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