伝言ゲームの危険性<イタリア地震裁判

『伝言ゲーム』なる言葉がわざわざあるのは、伝言して行くうちに情報がおかしな
方向にいってしまうことが多々あることによるのですが、ネットでぐぐっていると
まさにそういうのをつとに感じますね。

現代科学へのいちゃもんコーナーで触れたのですが、イタリアで地震学者達が告訴
され、弁護士は当然不起訴と思っていたら検察は起訴した
ということが話題になっ
ています。

で、googoleで出てくるタイトルやアブストラクト見ますと、何か、『地震予知に失敗し
たことが世界で初めて裁判沙汰になった
』というような、他国の人々がこれだけ
聞くと「え?なんで??」となってしまうのでしょう。伝言なのか同じようなタイトル、
アブストラクトが一杯並んでいますから・・・

しかし、これは情報が正確ではないんですね。なぜ、イタリアで市民が告訴し、検察
が不起訴にせず起訴に踏み切ったか・・・それは、地震が群発していた時期に、大
地震の6日前に起訴された地震学者達は
 大地震の来る可能性は低いとして「安全宣言」し避難
 の必要はない
」とまで断言してて市民を安心させてい
 たところ、6日後に大きな地震がきて被害を拡大させた

という理由によるものなのですね。
この安全宣言した」ということが起訴理由であり、単に「地震予知に失敗した」ので
はない
のです。
「来るかどうかわからない」と言っておけばよかったものを、「来ない」なんて断定して
しまった地震学者のおごりが「専門家が言ったから」と市民を油断させ、結果的に被
害を拡大させたことがと裁かれているわけ
です。

こうやって正確な情報に接するなら、少なくとも普通の一般市民感覚であれば、特に
イタリアが普通ではないなどというようなおかしな何か蔑視のような意見は出てきま
せんし、最初から「不起訴」で終わる話だなどというような思いも出てこないのではな
いかと私は思うのですが・・・不起訴になるだろうと高括っていた被告学者達と弁護士
は「地震予知はできない」として争う構えらしいですが、完全に矛盾してますなぁ(-_-メ)
予知できないのならどうして安全宣言などできたのか?」でしょう。9月結審らし
いですが普通なら学者側敗訴でしょうな。それこそ詐欺罪じゃないですか?
自ら墓穴掘ってますわ(笑)

しかしネット見ていると、そうでない人がいるんですねぇ・・・
彼らは殊更、『6日前の安全宣言』というキーワードには触れません。あくまで、「地震
予知失敗」という含みの多いキーワードでのすり替えをやっています
。これだけ聞くな
ら、「それで起訴はちょっとおかしいぞ」と思う人が多くなるからでしょう。
そして、彼らは一生懸命、この裁判はおかしいからすぐに無罪になるだろうという感じ
の勝手な予測をまき散らしたり、イタリア人気質だからと言ってみたり、告訴された学
者に同情してみたり、挙句は「地震予知に失敗したからということで刑事責任負わさ
れるなら今後地震学者のなり手はいなくなるだろう。で、誰が地震予知するのか」と
「予知などできない」というのが日本だけでなく世界の地震学者の認識だとばれてい
るのに(そして神戸大震災も北海道地震も今回の東日本大震災も予知できませんで
したね)
殊更市民を脅迫するような言説まで目にしました。

これらを目にすれば、どういう範疇の連中がこういう意見をまき散らしているかは明白
ですね。少なくとも地震学に無関係な一般市民ではないでしょうね。
私に言わせれば、「予知もできないような地震学をいつまでもやるだけの学者など、
不要ですからやめたければどうぞおやめくださいな。税金の無駄遣いです。いりませ
ん。」よくもこういうこと言えたもんだと呆れ果てているだけです(-_-メ)

伝言ゲームの怖さはこういう所にあります。悪意で一部重要点を省略したり、ひどい
ときは改ざんしたりしますからねぇ(-_-メ)



目次に戻る