『科学的手法』に関して(’14/12)

海外サイトにはこまめに文献を探してきて紹介されていらっしゃる方がおられ、そこ
からのリンクたどって読むことも多々あります。
つい最近、その文献の中の一部だけ取り出して、ご自分の批判言説に利用されて
いるものを目にしました。
それは、Evolution of the Scientific Method という1988年のessayみたいなもので
す。このessay自体は、科学的手法の歴史について述べたものであり、現代批判
のものではないようですが、その中に、"science"というものの草創期としての
ギリシャ文明時代、そしてギリシャ文明が衰退し、ルネサンス時代の状況が示
されています。引用しますと(下手な訳を参考までにつけておきます)、

 The Greek succsesses are attributable to two techiniques:
 abstraction and generalization.So sccsessful were these
 techiniques in developing mathematical thoery, that the
 concepts were extended to other disciplines, but with much
 less sucsess.
 However, the process of looking for absolute truth through
 reasoning alone was so ingrained in the Greek thinking
 patterns that they igonored the experimential evidence
 which was contrary to their elegant theorems and proofs,
 an egotistical tendency which still raises its ugly head
 from time to time today.

 (ギリシャ人の成功は二つの技術に帰せられる:抽象化と一般化。
 数学的理論において、これらの技術は大変成功したので、その概念
 が他の学問分野に拡張されたが、あまり成功しなかった。
 しかしながら、合理性のみを通して絶対的真実を見極めようという
 手法はギリシャ人の思考パターンに深く根付いていて、彼らのエレ
 ガントな理論と証明に反する実験的証拠を無視した、その自分勝手な
 傾向は時を経て今日に至るまで、その醜い頭をもたげている


なんと、私が本コーナーで批判してきた体質は科学の草創期のギリシャ時代から
綿々と続いてきた不治の病巣みたいなものだったわけですねぇ・・・
更に、本essayでは続いて、

 Even after the Greek decline ,questions in the scientific
 domain were genelally settled by invoking the phrase
 "Aristotle says", or "Euclid says".

 (ギリシャが衰退した後でさえ、科学領域の問題は一般的には、
 「アリストテレス曰く」とか「ユークリッド曰く」というフレーズの
 呪文を唱えることで設定されてきた)

と述べています(紹介している方は、現代では"Einstein says"と言っていると皮肉
っていますが)。

もう一つ著者の意図とはずれる訳・理解かもしれませんが、引用しておきます。

 That is, for one to really know, one must experience.
 Truth comes from the correct interpretation of the
 experience.
 Hpwever, we can and do vicariously accept the ecperiences
 of others and incorporate them into our own "knowing"
 information base, but that is not science, that is faith.

 (すなわち、真に知るためには実験が必須である。
 真実は実験の正しい証明からもたらせられる。
 しかしながら、我々は他の実験を代理にして受け取り、それらを
 我々の「知っている」情報のベースに組み込むことができやって
 いるが、それは科学でなく信仰である)

essayでは20世紀におけるscientific methodを七つに区分してあげていますけど
ここでは紹介しません。私には、建前と実際が乖離していて、前述の科学の草創
期の体質が今にまだ綿々と続いていると感じていますから。
                           ('14/6)

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