one way speed of lightとは?(’14/5)
海外サイトを漁っていましたら思いがけない情報を目にして驚きました。
一瞬、私だけが思い込んでいて知らなかったのかと思ってしまったのですが・・・
皆さん、光速ってどうやって測られたかを御存知だと思います。前にも書きまし
たが、1984年に正式に度量衡で定義されたc=299792458 m/sというのは、原
子時計発明者のLouis Essenという方が責任者として測定がなされ、1957年の
"General Assembly of 12th the Radio-Scientific Union"で公式に承認された
ものだそうですが、その測定は"two ways speed of light"すなわち、光を反
射鏡で往復させて測定されたものです。光速を測定した実験ではありません
がマイケルソン=モーリー実験も反射鏡で往復させていますね。
ですから、私は当然ながら、それ(往復法)でしか「光速測定」は困難だろうと思っ
ていました。所謂"one way speed of light"測定は18世紀のまだ無限・有限の
議論がなされ何かわかっていなかったころになされた誤差の大きい概略のもの
くらいだけだろうと思っていたのです。そしてそれは、ネットでなされているような
後述の後ヅモ説明からでなく、単に「速度が速すぎるから」という素朴な理由での
考えでした。
ところが、海外サイトに学術論文のpdf文書があり、そこに"one way speed of
light"測定がなされたこと、そして、その実験結果では往復で光速が異なってい
たことが述べられていました。「ええっ?!」と驚きました。
これは、カナダのトロント大学のRanzanという学者の論文です(⇒ここ)
論文は"Canadian center of science and education"発行の"Applied Physics
Research vol.5 no.4 2013"で題名は、な、なんと
Einstein’s Simple Mathematical Trick –and the Illusion of a
Constant Speed of Light
というもので、"DSSR"と称する新理論を提起されていて、ここにも同じ方の同様
の主張があります。
驚きましたのは、勿論、近年、"one way speed of light measurement"がなされ
ている(妥当性は別として)ということとこのような驚くべきタイトルの論文が物
理学者により論文で発表されたと言うことです。
この学者の主張には「etherは存在する」というのがまずあります。
ご存じとは思いますが、「光速一定=etherは存在しない」ということですから、光
速が一定でないならetherを否定できないことになります。
私が賛同できるのはそこまででこの方のDSSR理論については理解できません(^_^;)
尚、参照文献として、Giftという方のものが沢山挙げられています。
また、論文ではないのですが、Mullayという方がその実験をした結果を示し議論
を受けているサイトもありました(往路・復路で光速が異なり、往復の平均は、知
られている光速に一致しているというもの/粘着攻撃者がいて物別れで終わっ
ているようですが⇒ここ)。
ま、当然「異端」扱いなのでしょうね。海外サイトでも"one way speed of light
measurement"に関するFAQがあり、回答は否定的ですから・・・。
ただ、Answerで私と同じ素朴のものがある一方、気になるのは(科学者はそうい
うスタンスでしょうが)「循環論」そのもので、Einsteinの同時性の話を持ちだして
きてtwo clocksだけ考えた上で"impossible"とする回答があったことです。
上記のMullayという方はone clockだと言明してますが論争相手は納得していな
いようです)のどうもそこには「そんな(Einsteinの理論根拠に反するような)
実験及び結果はあるはずがない、あって欲しくない」という願望が伺えて仕方が
ありません(うがちすぎかもしれませんが、全く別の理論・試験結果からの否定
でなく、自分の理論根拠で否定しても循環理論でしかない気がします)。
勿論、私は自分の思いの証拠だからと言って、むやみに「これは正しい」と主張
する気は毛頭ありません。今のところ態度は保留です。
ただ、どうやら、こういう意見が出てくるのは、1905年にSpecial Relativityを発表
したEinsteinの"No ether"という主張への反発が長年くすぶってきた中で、その
後の現代の理論が、"Specisl Relativity"への拘りからか"ether"という用語こそ
科学者は避けてはいますけど、その意味では「姑息」な気がしますが、ほとんど
同じような概念のものを別名で使用しているという実情もあり、日本ではほとん
ど知られていない(一部の海外サイトを見ていらっしゃる方?くらい)のですが
西欧など海外では"ehter"の名前が復権しつつあるようで、前述のような論文な
どが出てきたのもその一つのような感がしています(よく、「噂話」「伝言話」のよ
うな形でEinstein自身、"General Relativity"を構築する上で、"ether"の存在を
認めたというのがありますが、擁護派の中に、1907年に既に"no ether"の概念
をEinstein自身が否定していたと言明している学者もいるらしいです。
産み出した張本人の思惑とは異なる所で、「神聖な教書」になってしまったんで
すねぇ)。
(’14/5)
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