恵那山(2191m)[黒井沢ルート]

      [岐阜県・長野県](2007/6/2)


【参考ガイドブック】名古屋周辺の山200(山と渓谷社)
【国土地理院1/25000地図】中津川

今回登りました山は岐阜県東濃地区最高峰で中央アルプス最南端の山とされている
那山
です。この山は深田日本百名山の1つです。
その意味でハイキングを少し上回る山ということで私にとってはこれから上を目差すため
の試金石(体力度での)のつもりでした。

しかし、合わせて少しでも重い荷物を背負うという訓練も兼ねていたため、初の10kg越え
ザッグを背負ったためか、ばてばて歩行となり、コースタイムも大幅にオーバーしてしまい
少しショックでした。ま、それでも無事に頂上まで登れ、ちゃんとお昼を普通に食べること
できましたし、それを見越して朝早くから歩きましたので明るいうちに下山できましたので
自分なりにはよしとします(^_^;)

それに今回も一期一会がありましたし、辛かった中に心休まる体験もしました(^_^)

この恵那山は登山ルートが4つあります。今回選びました黒井沢ルートの他、長野県側
からの広河原ルート(一番新しい時間が一番短いルート)、北部の神坂峠ルート、それに
元々は一番古いルートでしたが、長らく廃道化していたものを整備復活させた西側の
前ルート
です。

広河原ルートは水平距離は一番短いのですが、急登の連続だそうですし、神坂峠ルート
は興味はすごくありますがアップダウンがはげしいく体力を使うルート、そして宮前ルート
は一番距離が長く時間と体力が必要なルートということで、名古屋方面から一番ポピュラ
ーな黒井沢ルートにしました。

1.登山口までの往路

map_1   アクセス地図

登山口までの時間が不明でしたが、中津川ですから、せいぜい2時間くらいだろうと考え
朝早くそれでもまだ暗いうちに出発しました。カーナビをセットしましたら、到着予想時刻
は予想より早めでしたので、余裕綽々でした(^_^)。

春日井ICから東名高速道路に入り、小牧JCから中央高速道に。
小牧JCから中央高速に入るときはいつもそうですが、内津峠PAでトイレ休憩後一路中
津川ICへ向かいました。

そして、中津川ICの手前にある恵那峡SAで再びトイレ休憩。若い頃は遠かったんですが、
歳とったせいか最近は近いんです(^_^;)

中津川ICで中央高速道をおり、右折して国道19号線へ。そして、中村交差点から国道
363号線
に入り南下しました。

今回、めずらしくカーナビは登山口までの林道もきちんと認識して道案内してくれました
ので、それに従い川上(かおれ)集落のそばで左折し林道へ入りました。左折してすぐの
橋(中津川という川にかかる橋)を渡りすぐに右折して先に進みました。

川上をかおれと読むのは先日行きました天空遊歩道の先の山と同じなので少し驚きです。

さて、この林道、私のガイドブックは少し古い記事のためか、集落抜けると舗装がされて
いない荒れた道とあったのですが、ずっと先も簡易舗装がされていてこれはいいぞって思
ったんですが・・・終点近くのある部分でやはり簡易舗装がないダート道に。それも、とんで
もない悪路。穴ぼこあり、落石ありで「これって本当に車通れる道なの?」って心配になっ
てしまいました(^_^;)。慎重に走るところを選びながら時速10km走行。延々続くのでこれ
最後までなのって思いましたら、再び最後のほうがまた簡易舗装されていました。
なら、全部舗装すればいいのにってあそこだけダート残した理由が解せません。

尚、この林道、ところどころしかガードレールなどが設置されておらず、右(往のとき)
中津川側が切れ落ちてますので怖いです(^_^;)。

やっと登山口に到着。路肩駐車かと思ってましたら登山口付近は広くなっており、ちゃん
と駐車スペースがありました。既に1台駐車していました。狭い林道の途中でマクロバス
に出会いましたから、あれは団体さんを運んだものとすると既にこの黒井沢ルートで何人
かは上に登ったのかなと思いました(標準コースタイムを大幅にオーバーしたのにそれら
の方らしい人と出会いませんでしたから縦走されたのかもしれません)。

この林道、地図では先まで続いていますが、ここから先はゲートで通せんぼになってまし
た。実質的にはほとんど恵那山黒井沢ルート登山者用道路の感がしました。

登山口駐車場
                    登山口の駐車スペース

2.山歩き

map_02    登山道
 (黒井沢ルート)

2Lの水と途中のコンビニで仕入れたおにぎり・ゆで卵及び約0.5lのお茶のペットボトル
を入れたザッグは今回のコースでは多分不要ですがいざというときには便利なシェラフ、
マット(共に先日購入したばかり、避難小屋あるためいざというとき使用可能)、それに
先般の反省から購入したツェルトまで入れて今後の歩荷(ぽっか)の訓練も兼ねてと約
12kg以上もある重いザッグを背負いいざ出発。しかし、これは本当に重く、最初から、
ばてばて状況でした(^_^;)

登山口標識
                    右側の登山口標識
ゲート
                    ゲート

折角登山届け書いて持ってきたのですが、ポストが目の前にはなかったためまたしても
入れずじまいでした(^_^;)。あったのかなぁ?

ゲートの右側の狭い覗き口から跨いで入りました。
しばらくは黒井沢に沿っての林道歩きです。

最初は黒井沢の左岸(上流から見て右岸、左岸と呼びますので、往きの場合は黒井沢は
林道の左側にあります)を歩きました。このあたりは普通の林道でした。

やがて、左前方に沢を渡るコンクリートの橋が現われました。

黒井沢の橋
                林道は橋で沢を渡る

この橋を渡った途端、この林道はここから完全に荒れ果てていて最早林道の体をなして
いませんでした。上の写真ではわかりませんが車で入れたとしてもここまでです。
林道というのはそもそも木材運搬用に作られた道ですが、もう廃れてしまってるんで
しょうね。日本の山々の至る所に林道が作られ、自然愛好家を嘆かせているようですが
今は廃道化しているところも多々あり、大抵は危険なためゲートが設けられて一般車の
侵入を禁止してます。中にはきちんとした道でもゲート設けられていて長時間の歩きを
強いられる登山家を嘆かせているところもありますが、登山者のための道じゃないんだ
から仕方がありませんね。

いずれにしろ、ここはその昔はボンネットバスが走っていたとか。こんな山奥でなんで
って思うのですが、黒井沢商業開発なんてのがあったらしいです。

さて、橋を渡って右岸側の道になり、最早林道でなく単なる登山道化した道を北上しま
した。道は土砂崩れで埋まってしまい、黒井沢側にわずかに林道の跡であることを示す
コンクリート部分の歩けるところを通り抜けました。

崩れた土砂
                崩れた土砂で埋まった林道

やがて、恵那山登山口の標識が現れました。ここからは登山道です。

登山口標識
                ここから登山道の始まり

1/25000地形図は更に先まで林道等を表す実線が引かれていましたが、そんなものは
最早ありませんでした。

そして、黒井沢が右俣と左俣に分岐する北側部分にて左股を木橋で渡りました。

木橋
                左俣を木橋で渡る

谷沿いの道なので道というより沢のゴーロのように岩がごろごろしており、そのため、
道間違いをしないよう、そこかしこに赤ペンキで○や×や矢印が書かれていてわかりや
すく助かりました。

赤ペンキマーク
                赤ペンキの方向印

小さな沢を飛び石探して渡るところもありました。

やがて、また木橋を渡り、前方に営林署小屋が現われました。
戸はなく、またガラス窓もなくなっていました。中にガラス破片が積まれていました。
土間の奥が板床になっていて、何か古い箱がすみに置かれていました。

ここでザック背負ったまま小休憩しました。ここまで来るのに約40分で、ここまではガイド
ブックのコースタイムと同等でしたが・・・。

営林署小屋
            木橋を渡ると営林署の小屋が前方に現われました

道はここから左上方に進みました。沢とは離れましたが、相変らずいわがごろごろして
おり、倒木(上が通り易いよう削られていました)や木の根の自然の階段などがあって
歩きにくく重い荷物のせいか寝不足のせいか体力がどんどん奪われていきました(^_^;)

登るうちに前方に尾根のコルが見えてきました。このコル部を一旦長野県側に跨ぎ先を
進みますと、左側に野熊ノ池避難小屋表示が。で、そちらに進みましたら野熊ノ池避難小屋があ
りました。疲れていた私はここの縁側に腰を下ろしザッグを下ろしました。

高度計セットが狂っていて100mくらい低い数字を示していたのでまだまだ先かと思って
いましたので実はほっとしました。

ちなみにガイドブックには快適な避難小屋(無人)とありましたが、小さな小屋でした
から宿泊するにしても少人数のみでしょう。

野熊避難小屋
            小さな野熊ノ池避難小屋です

ここから少し登ったところに野熊ノ池がありました。
地形図は等高線の間が南北に広くなった部分に描かれているため、イメージしていた
ものとはずいぶん違っていました。

池の前には一個の四角いテーブルと4辺それぞれに置かれた長いすがありました。

そしてガイドブック通り、池の水が長野県側の藪の中に勢いよく流れ落ちていました。

野熊ノ池
            私のイメージと違っていた野熊ノ池

ここまでに2〜3人の方が後ろから近づいてこられたので立ち止まって先を譲りましたが、
ここでも一人先を譲りました。この方は早く、先のほうで戻られる途中で出会い、もう少し
ですよとにこやかに教えていただきました(^_^)。こういうのは嬉しいですね。

前述の池の水が藪の中に流れ落ちている部分を跨ぎ、先を急ぎました。

先に尾根のコルを一旦長野県側に乗越して北と書きましたが、登山道はこの池経由で大
回りして東側の長野県側から岐阜県との県境にある尾根主稜線(北西から南東方向)に
戻るようにつけられています。

野熊ノ池から1733m地点付近まで北上し、そこから唐松林の中を北東方向へ進みました。
そして、東から来ている尾根のコルのところでこの尾根に乗りました。

ここでガイドブックに記載があったように初めて山の間に恵那山が少し見えてきました。
最初はガスっていたのですが、すぐにガスが晴れて姿を現しました。まだまだ頂上は遠い
です。

恵那山頂上が
            やっと見えた恵那山頂上

ここからは特に左手が眺望がよく山々や遠くに市街地が見えました。で、しばらくここで
立ち止まっていましたら、2人組の中年男性の方が追いついてこられ、少し会話をしまし
た。西側に向かって歩いていることなどでしたが・・・。

やがて、主稜線と出会いここで北側に右折しました。丁度1992ピークの手前でお二人さ
んが休んでおられたのですぐ下のところで私もザックを下ろし、バナナを取り出して食
べました。お2人さんがおられたとこは丁度西向きに座れる枯れ木が道端に置かれてい
た所でした。

1992ピーク付近は枯れ木がいくつか立った不思議な光景のところでした。冬の厳しい環
境が忍ばれました。

1992mピーク付近
            枯れ木が立つ1992mピーク付近

ガイドブックの休憩を除くゲートからここまでの合計のコースタイムは135分となって
いましたが、ここまで何度もしてきた小休止時間を差し引いても私の場合、200分を既
に越えてしまっていました。ただでさえ体力に乏しく標準コースタイムでさえ登れたこと
がないのですけど、今回は最初からよれよれ状態でしたので、ちょっと情けないなって思
いました。そして、こんなではお昼までにも頂上につけないんじゃないかって不安になっ
てきました。

ここから道は少し下りになりコルを越えて再び上り坂になりました。
そして登山道は途中から尾根から離れ西側岐阜県側に巻く形でつけられていました。

直登でないからいいかと思っていましたが、この道がまた私の体力を余計消耗させてし
いまました。道には大きな岩がごろごろしていて、所々で木の根が張って段差がある場
所があり、更には置かれている木が濡れて滑りやすくなっていたりしました。

歩きにくい道
            トラバース道は歩きにくい道でした

やがて、南北にある尾根を乗越し、水場まで0.3kmの表示が。でも、なかなか着きませ
ん。

やっと着くと湧き水を管で流している水場でした。この水、すごく冷たくてとてもおいしか
ったです。私のこれまで出会った水場の中では最高の水でした。すでにお茶を飲み干し
たペットボトルと水場で入れようと車の中で飲み干していたペットボトルの2本に詰めま
した(^_^)。

水場
            冷たくておいしかった水場

水場を過ぎよれよれで歩いていましたら、後ろからすごい勢いで登ってみえる方がいた
ので道を譲ろうと立ち止まってましたら、登りか下りかと声かけられました。そして初
めてかって。彼は地元の人でよく登っているそうで、あと少しで避難小屋だからと先に行
ってからも励まされました(^_^)。

それで少し元気が出てがんばって登っていったんですが、疲れている私には無理は禁
物だったんですね。いつもは気をつけているんですが、つまづいてしまい前に転んでしま
いました。幸い顔などを打つことはなかったんですが、多分このときにかばったと思われ
る右手甲を痛めてしまいました(^_^;)。そのときは大丈夫でしたが、後になって痛くなって
きました。

前述の人に見られたかなって気にしましたが姿はありませんでしたので恥かかずにすみ
ました(^_^;)。

やがて、彼のいうとおり、ぼこって感じで避難小屋(まず目に入ったのは便所)が現われ
ました。やっとです。
頂上避難小屋付近には沢山の方がおられ、前述のお2人さんも食事をされておりました。

声をかけていただきましたがあまりの遅い到着で照れくさかったです(^_^;)。近くの神坂峠
からの道のそばの腰をおろせるところに腰をおろしザッグを下ろして昼食準備を始めまし
た。登り初めにおなかの調子も悪かったので少し心配でしたが、途中でおなかもすいてき
ていましたから大丈夫でした。そして塩ラーメンを作りましたが、二つ買ってきたおにぎ
りは1つだけしか食べられませんでした。後はコーヒーを作り、これも買って来たゆで卵
を食べました。

ついたときからときどき薄いガスが立ちこめ寒かったのでウインドブレーカを着込みまし
た。
山頂避難小屋
                   山頂避難小屋
山頂避難小屋便所
               まず目に飛び込んだ山頂避難小屋便所

やがて、前述のお二人さんは下山されて行きました。またどこかであるかもしれませんね
と声かけられまして・・・今日も一期一会でした。

食事を終わりザックを片付けてから小屋の前に運び、ここにデポしておいて、空身で南東
方向にある頂上を目差しました。さすが、空身は楽です(^_^)。少し上り坂でしたが、全然
きつくなくすぐに神社に到着。頂上はその先で更に少し登ったところでした。ここには沢山
の方が食事をされていました。で、三角点、頂上標識、それに展望やぐらだけぱちり。
すぐに元の避難小屋の所に戻りました。

山頂の祠
                   山頂の祠の1つ
三角点
                   三角点
頂上標識
                   頂上標識
展望やぐら
                   展望やぐら

1時間以上頂上で過しましたので十分休養もとれただろうと思い、また満足できたのと
ときどきガスって寒かったこともあったので、下山をすることにしました。

しかし、この山、下山も楽ではありませんでした(^_^;)

水場では再び水を汲みました。この水はゲートに到着するまで2本とも飲んでしまいま
した。暑くなると体が水を欲します(^_^;)。

帰り道でもこのトラバース道で3回もこけてしまいました。幸いどこも打たずに無事で
したが、一回は乗った丸太がつるつるで滑ったというものでした(^_^;)。

下山時にまだ登ってこられたご夫婦二組と6人ほどの男性ばかりのパーティ(銀マット
をザックの上に取り付けられてましたから泊まりかもしれません)と出会いました。

最初のご夫婦にはあと少しですよと声をかけましたら、奥さんが「もう歩くの飽きてい
た」からと喜ばれました。

そのうち後ろから話し声が・・・また下りでも追いつかれるのかと少し頑張りましたら
そのうちに声が聞こえなくなりました。でも、途中で立ち止まって休んでましたら追い
つかれてしまいましたので先を譲りました。

よれよれになってやっと野熊ノ池に到着しましたら、道を譲ったお二人と別のお2人が
休んでおられました。
この男性二人(老人と中年男性)は見かけなかったので「ん?」と思いましたら頂上ま
で登らずどうやら1992mピークから引き返したとのこと。折角登ったのに下り坂だった
のであきらめたとのことでした。

先のお2人に続きこのお二人も先に出発されていきました。私は更に少し余分にここ
で休憩していました。

それで少し元気が出てどんどん下り始めたのですが、ここも石がごろごろで歩きにくい
道・・・すぐにペースダウンしてしまいました。そしてお一人の男性に追いつかれ先を
譲りました。

そのうち、くだんの老人と中年男性が途中で休憩されており、「下りも楽でないね」っ
ておっしゃっていました。

私はここでお2人を抜いて先を進みました。足が痛くなり、結構よれよれでゆっくりと
おりたのですが結局最後まで追いついてくることはありませんでした。

ちなみにお二方が休憩されていたすぐ先の沢にかけられて一部が水につかっていた
木橋はつるつるで滑りやすくやばかったです(^_^;)。

やっとのことでゲートに戻りましたら、まだ数台車が止まっており、途中で先を譲った方
が手を振られました。この方は先に挨拶されて出発されて行かれました。

私はゆっくりと靴を脱ぎ、そして初めて持ってきた上の下着とシャツに着替えました。
しばらく準備でいたのですが、結局私が抜いたお二人さんはまだ戻られませんでした。

帰りは痛めた右手に力が入らず、やばい道のハンドルさばきに難渋しました(^_^;)(^_^;)

こんな時間は対向車いないと思いましたら曲がり角で出会いあせりました。
そしてやっと国道に出て中津川IC向けて走ってましたら対向車線をまずは救急車が1台
そしてそのあとちょっとしてから消防車が1台サイレン鳴らして走り抜けて行きました。
なんなんだろうと思いましたが、朝朝刊を見て氷解しました。
なんと私が下山した17:00過ぎに恵那山に樹木を種まきをしていたヘリコプターが墜落し
操縦士が亡くなったとのこと。驚きました。



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